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熊本県の地震 1

被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます
突然の大震災により、言葉に尽くせない恐怖やご不安のなかにいらっしゃることとお察しいたします。度重なる揺れへの警戒や避難生活で、心身ともに大変な疲労が重なっているかと思います
まずはご自身と大切な方の安全と健康を最優先になさってください

この記事は専門家の皆さまによる学術的なご説明です
今回の地震の解説には✅がついています。見出しから選んでお読みください
最も重要なことは、7/31までの調査で日奈久区間の南西部には地震時の応力が残存している可能性が判明したことです。これにより, 近い将来, 断層変位を伴う大きな地震が発生する可能性が否定できないそうです


政府地震本部の情報概要

熊本県に被害を及ぼす地震は、主に陸域や沿岸部の浅い場所で発生する地震と、日向灘など東方の海域で発生する地震です

図1. 熊本県とその周辺の主な被害地震 政府地震本部

陸域の浅いところでこれまでに発生した被害地震は、主に別府−島原地溝帯に沿った地域とその周辺(布田川(ふたがわ)断層帯・日奈久(ひなぐ)断層帯に沿う地域など)で発生しています

2026年7月28日に発生した熊本県宇城市周辺を震源とするM7.1の地震は、2016年の熊本地震の際に破壊されず、逆に力が加わってひずみが蓄積していた日奈久断層帯の南側区間(割れ残り区間)で発生しました

布田川断層帯・日奈久断層帯

布田川(ふたがわ)断層帯は、阿蘇外輪山の西側斜面から宇土(うと)半島の先端に至る活断層帯です。日奈久(ひなぐ)断層帯はその北端において布田川断層帯と接し、八代海南部に至る活断層帯です

図2.布田川断層帯・日奈久断層帯 政府地震本部

日奈久断層帯は、上益城郡益城町木山付近から葦北(あしきた)郡芦北町を経て、八代海南部に至る断層帯です。本断層帯は、概ね北東−南西方向に延び、全体の長さは約81kmである可能性があります。日奈久断層帯は過去の活動時期から、益城町木山付近から宇城市豊野町山崎(うきしとよのまちやまさき)付近まで延びる長さ約16kmの高野−白旗(しらはた)区間、宇城市豊野町山崎から芦北町の御立(おたち)岬付近に分布する長さ約40kmの日奈久区間及び御立岬付近から八代海南部に位置する長さ約30kmの可能性がある八代海区間に区分されます。日奈久断層帯は、断層南東側の相対的が隆起する上下成分を伴う右横ずれ断層であり、一部では断層が並走して小規模な地溝帯を形成しています

布田川断層帯は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村から上益城郡益城町(かみましきぐんましきまち)木山付近を経て、宇土半島の先端に至る断層帯です。本断層帯は、概ね東北東−西南西方向に延び、全体の長さは約64km以上の可能性があります。布田川断層帯は、断層線の分布等から、阿蘇村から木山付近に位置する長さ約19kmと推定される布田川区間、木山付近から宇土市中心部に位置する長さ約20kmの可能性がある宇土区間及び宇土市住吉町(すみよしまち)から宇土半島北岸に沿って宇土半島先端に至る長さ約27km以上の可能性がある宇土半島北岸区間からなります。このうち、宇土区間の一部と宇土半島北岸区間は、従来認定されておらず、重力異常の急変帯の分布などから布田川区間及び宇土区間東部の西方延長部において地下に伏在する活断層として新たに推定されたものです。布田川区間は、南東側が相対的に隆起する上下成分を伴う右横ずれ断層であり、一部では複数の断層が並走して小規模な地溝帯を形成しています。宇土区間及び宇土半島北岸区間は、南東側が相対的に隆起する上下成分を伴う可能性があります

図3A.布田川断層帯・日奈久断層帯 政府地震本部
図3B.布田川断層帯・日奈久断層帯 pdf p237

【日奈久断層帯の活動】

2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震(M7.1)に関する情報 日本活断層学会 災害委員会

2026年7月28日16時27分頃に熊本県熊本地方の深さ16 kmを震源とするM7.1の地震が発生し、熊本県の宇城市と氷川町で震度7を観測したほか、北陸地方から九州地方にかけて震度6強~1の揺れが観測されました(気象庁)。震源位置、規模、震度分布、地殻変動情報、現地報道映像等からみて、日奈久断層の活動による地震である可能性が高いと考えられます

地震の概要

発生時刻 7月28日16時27分
マグニチュード 7.1(暫定値)
発生場所 熊本県熊本地方 深さ16km(暫定値;速報値 深さ約10kmから更
新)
発震機構 東北東―西南西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型(速報)
震度 熊本県の宇城市(うきし)・氷川町(ひかわちょう)で震度7を観測したほか、北陸地方から九州地方にかけて震度6強~1を観測

図4. 震央分布 7/29/17:00 ~ 7/30/17:00までの地震活動 気象庁

本震に伴い,熊本県中部では地表地震断層が出現し,道路や農地,宅地などで連続的な地表変位が生じたことが分かっています。7 月 30 日の現地踏査に基づき,地表地震断層の分布と変位の特徴について予察的な調査結果です

■7 月 30 日の調査で明らかになったこと
1)既存の活断層トレースから約 100~300 m 北西側に,既知の活断層とほぼ平行に延びる新たな地表地震断層が確認された(下の図 1)
Loc.1 では 80.5 cm の右横ずれ変位,37 cm 北西側が低下する縦ずれ変位,Loc.2 では 80cm の右横ずれ変位,31 cm 北西側が低下する縦ずれ変位,Loc.3 では約 19.5 cm の右横ずれ変位,23.2 cm 北西側が低下する縦ずれ変位をそれぞれ確認しました。さらに南西では,水田や道路に亀裂が認められ,Loc.4(八代市平山新町)では 3.3 cm の右横ずれ変位が確認したされた。このことから,断層変位は Loc.2 から南西に向かって急速に減衰していることが明らかとなり,Loc.4 の八代市平山新町を地表地震断層の南端と判断した
2)既存の活断層トレース(中田・今泉編,2002;後藤ほか,2018)上に位置し,明瞭な谷の屈曲が認められる地点を踏査したが,明らかな地表の断層変位は確認できない

✅7月30日実施した予察調査(その1)と31日の調査結果を総合すると,以下の点が明らかとなった

1) 令和8年熊本地震に伴う地表地震断層は,益城町砥川から八代市平山新町まで, 延長約38 km にわたって生じたことを確認しました
2) 肥後高田駅周辺から日奈久温泉周辺にかけての既存の活断層トレース(中田·今泉編, 2002;後藤ほか,2018)上では,明瞭な地表地震断層は確認できないこのことは, 今回の地震では日奈久断層带日奈久区間の南西部が活動しなかったことを示していますそのため,日奈久区間の南西部には地震時の応力が残存している可能性があり, 近い将来, 断層変位を伴う大きな地震が発生する可能性も否定できません。
文献
中田 高·今泉俊文編,2002,「活断層詳細デジタルマップ」,東京大学出版会,DVD2枚, 解說書68p,付図1葉.
後藤秀昭·楮原京子·熊原康博·小山拓志·千田 昇·中田 高(2018):1:25,000活断層
図「八代(改訂版)」,国土地理院.
本報告に関わるお問合せは kumakuma@hiroshima-u.ac.jp(熊原)までお願いします。

図5. 震央分布図 気象庁


図6. 地表断層調査 日本地理学会
図6. 震度分布 気象庁

地震前後の空中写真画像から変位を判読し、変位が不連続になる境界(変位境界)が明らかにされた。変位境界は八代平野東端に沿って北東-南西方向にみられ、最大で2.1mの右横ずれが計測さた。(2026年7月31日)

✅(国土地理院 7月30日更新) 「だいち4号」の観測データを使用し、SAR干渉解析を行いました。 日奈久断層帯の北西部では最大約1mの衛星から遠ざかる変動、南東部では最大約10cmの衛星に近づく変動が見られます

✅2.5次元解析結果では、日奈久断層帯の北西部で最大約1mの東向きの変動、最大約50cmの沈降が見られます. 国土地理院

✅今後の見通し

この地域では過去に、大地震発生から1週間程度の間に同程度の地震が続発した事例があることから、揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、最大震度7程度の地震に注意してください。特に地震発生から2~3日程度は、強い揺れをもたらす地震が発生することが多くあります。
今回の地震活動域は広範囲に広がっており、地震が発生する場所や規模によっては今回の地震(M7.1)による揺れよりも強く揺れる場合があります。
また、海底で規模の大きな地震が発生した場合、津波に注意する必要があります
今回の地震と2016年の地震で動いたと推定された断層の図を並べました。地図の縮尺はあっていません
さらに日奈久断層帯の南側がまだ地震をおこさずに残っているのが7/30&31の調査で明らかになりました. 日本地理学会による

大変なご心労と思いますが、特に全壊、半壊の建物に近づく場合にはもう一度同じくらいの地震が起こる可能性があると考えて行動してください

全長が同時にずれた場合はもっと大きな地震になっていたと考えられます

このことを警告している専門家を見つけました。鹿児島大学の井村隆介先生です。一応、1週間は注意したほうが良いそうです


過去の活動 平成28年(2016年)熊本地震


近接して2回発生しました

表1.

2016熊本地震に伴う地震断層は、概ね、既知の活断層(地震調査研究推進本部地震調査委員会,2013)であった布田川断層帯の布田川区間と、同断層の宇土区間及び日奈久断層帯の高野−白旗区間のそれぞれ一部に沿って出現したとされる(Shirahamaet al., 2016)。H28 報告書では、布田川区間及び宇土区間の一部に沿って出現した地震断層を「布田川地震断層帯」、高野−白区間に沿って出現した地震断層を「高木地震断層」と呼んでいる。これらの主な地震断層は、総延長約 31-33km で幅 1.5〜2.5km の断層帯を形成している(図10)

CMT解

図7. 左 2016年04月14日21時26分 M6.5、右 2016年04月16日01時25分 M7.3

K-NET、KiK-net が捉えた地震の揺れの分布と断層ずれの分布

図8. 稠密な地震観測網により明らかになった特徴. 鈴木 亘 & 浅野 陽一
図9. 稠密な地震観測網により明らかになった特徴. 鈴木 亘 & 浅野 陽一
図10. 平成 28 年(2016 年)熊本地震に伴う地震断層の分布図 4月 14 日及び 15 日に発生した最大の前震( Mj 6.5 及び 6.4)と 16 日発生した本震( Mj 7.3)の 震央は気象庁による。背景は、国土地理院の基盤地図情報数値標高モデル(5m メッシュ、10 m メ ッシュ)を使用して作成した。地震断層のうち、平成 29 年度の調査で新たに確認できた断層を赤 線で示す
図11. SAR 干渉画像から抽出された小変位の地震断層の分布と踏査で確認された地震断層(赤 線) 藤原・他(2016)に加筆。黒線は SAR 干渉画像から抽出された小変位の地震断層(藤原・他, 2016)。SAR の観測日は 2016 年4月 15 日及び 2016 年4月 29 日。


さらに過去の日奈久断層帯の活動


高野−白旗(しらはた)区間は、最新活動時期が約1千6百年前以後、約1千2百年前以前と推定されます。平均活動間隔は不明です。活動時のずれの量は、右横ずれを主体として2m程度であった可能性があります。
 日奈久区間は、平均活動間隔が3千6百年-1万1千年程度である可能性があります。最新活動時期は約8千4百年前以後、約2千年前以前と推定され、活動時には断層南東側の3m程度の相対的隆起とそれ以上の右横ずれがあったと推定されます。
 八代海区間は、平均して1千1百年-6千4百年程度の間隔で活動した可能性があります。最新活動時期は約1千7百年前以後、約9百年前以前と推定され、西暦744年(天平16年)の肥後地震の可能性があります。活動時には3m程度ずれがあったと推定されますが、ずれの向きは不明です

過去の布田川断層帯の活動

布田川区間は、8千1百年-2万6千年程度の平均活動間隔で活動した可能性があります。地震本部は、平成28年(2016年)熊本地震は布田川区間の活動によるものと考えられると評価しました。
 宇土区間及び宇土半島北岸区間は、平均活動間隔、最新活動時期や活動時のずれの量に関する資料は得られていません

以上です

#熊本地震 #日奈久断層帯 #パイロン先生

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