見出し画像

乳腺外科医の「えん罪事件」と無罪の可能性――9年間の裁判に思うこと

2025年2月12日、東京都内で開催された「乳腺外科医師えん罪事件差し戻し審で無罪を確定させる集会」では、弁護側の主任弁護士である高野隆氏が9年間にわたる裁判の経過を振り返り、無罪判決の確定を強く訴えました。この事件は、東京都足立区の柳原病院で、男性外科医が女性患者に対してわいせつな行為を行ったとして起訴されたもの。しかし、事件の真相を追う中で多くの疑問が浮かび上がり、現在も争いが続いています。


事件の経緯と争点

事件は2016年5月10日水着モデルのA氏が乳腺腫瘍の摘出手術を受け、その後、A氏は医師が自分の乳首を舐めたり、胸に不適切な手を加えたりしたと訴えました。A氏は手術後、病棟で意識障害を起こし、「医師が自分の胸を触った」と警察に通報。DNA鑑定の結果、医師のDNAが乳首から検出され、その後、医師は逮捕されたのが経緯です。

しかし、弁護側は、A氏が手術後に意識障害を起こし、せん妄状態だった可能性があることDNA鑑定に疑問が残ることを指摘し、無罪を主張。特に、DNAの検出量が唾液や触診によっても説明可能であり、無罪の証拠として挙げました。

裁判の経過と無罪判決

第一審では、弁護側の主張が認められ、無罪判決が言い渡されました。主な理由は3つです。

  1. せん妄状態:A氏が手術後、意識障害を起こしており、幻覚を見ていた可能性がある。

  2. DNA鑑定の信頼性:DNA量が多いことを示す結果があったが、唾液や触診で付着した可能性があり、証拠として十分な信頼性がない。

  3. 証言の信頼性:A氏の証言が幻覚によるものである可能性が高い。

この無罪判決に対して、検察側が控訴したため、事件は控訴審へと進みました。

控訴審での争いと再度の無罪主張

控訴審では、弁護側が新たに提出した証拠や専門家の証言をもとに、無罪の立証を試みました。しかし、検察側はDNA鑑定を強調し、A氏の証言を支持する立場を取ります。特に、DNA量が高いことを根拠にして、A氏の証言が信頼できると主張しました。

しかし、弁護側は、このDNA量が他の方法でも説明可能であり、唾液や触診でも同じような結果が出る可能性があることを示しました。また、鑑定書には書き換えが疑われる部分もあり、その信憑性を問いただしました。

さらに、控訴審では、弁護側と検察側双方が実験を行いました。弁護側は、唾液によるDNA検出が非常に少ないことを実証し、鑑定結果に誤差がある可能性が高いことを指摘。一方、検察側は鑑定を支持しましたが、その証拠が不確かであることが明らかになりました。

高野弁護士の主張

高野弁護士は集会で、「まともな頭の人が考えたら無罪しかあり得ない」と語り、無罪判決を確定させるべきだと強く訴えました。証拠や鑑定の不確かさが積み重なり、この事件の判決がいかに不合理であるかを証明してきたと述べ、無罪を確信しているとしました。

まとめと期待される判決

この事件は、DNA鑑定や証言の信頼性を巡る深刻な疑問が生じており、その結果として無罪判決が求められています。3月12日、東京高裁の第二次控訴審判決が下されます。弁護側は、無罪判決が確定することを強く望んでおり、この長い裁判の歴史に終止符が打たれることを期待しています。

最高裁は検察の控訴を棄却せず、再度、高裁で裁判をおこなうよう差戻判決とした。

妙な事件だなと思っていて、あれから実に9年ですか。。
えん罪であれば医師人生は終わってしまう期間です

検察の有罪ありきの姿勢も批判されるところかと思いますが
裁判に登場した専門家の発言によってかなり判決が左右したのは間違いありません

科学的な議論としても問題だらけだったことは既に明らかになっています。
多くの臨床医が失望するような一連の裁判であったように感じました。



いいなと思ったら応援しよう!