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チキンゲームと相互抑止 ~ 米・中の関税相互引上げ闘争のゲーム理論的解釈

経済規模1位と2位の国家による関税切り上げが実際に発動されることになった。この2国による関税引き上げ闘争は、ゲーム理論で検討される「チキンゲーム」として表現できるはずだが、米・中双方の意思決定主体が、そのことを認識できていないのだと思われる。

チキンゲームは、よく核抑止戦略を分析するツールとして利用されている。その分析では、核戦力を有する2つのプレイヤーが、チキンゲームをしているということが分かっており、それが相互確証破壊となることを分かっている。つまり、チキンゲームの客観的ペイオフテーブルが双方の主観上のペイオフテーブルと一致していると仮定されている。

このチキンゲームのナッシュ均衡は、「どちらか一方が逃げる」(どの一方が逃げるかは、ゲーム内の変数では決まらない)であり、パレート最適なのは、「両方逃げる」となる。いずれにせよ、両プレイヤーが核戦略を発動するということにはならない。このゲームが長期的に続くということで、パレート最適な状態が維持されるということになる。

米・中の貿易関係がとりあえず継続するという前提にたてば、関税闘争が発動してしまったことは、どう考えることができるだろうか。これは、お互いに相手が、すぐに逃げ出すだろうと想定しており、これが事実誤認となっているということだろう。米・中ともに自国市場へのアクセスという経済的利益を武器化することに慣れている(長けているかどうかは良くわからない)ため、基本的に相手を見くびっていることになる。

この「見くびっている」ということをゲーム理論的に表現すると、お互いの直面しているゲームのペイオフテーブルが異なっており、相互の高関税が発動された時の自分が被る犠牲が、相手が被る犠牲よりも小さいと判断しているという言い方ができる。

このペイオフの「誤認」を解消し、米・中で共通化することによって、少なくともどちらか実利的な判断をできるように仕向けるためには、権威ある第3者による被害予想が必要なのかもしれない。

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