ドラマ『季節のない街』災害と哀しみと脆さのリアル。ネタバレあり
Disney+でドラマ『季節のない街』(2023年)を視聴した。
AIに「こんなドラマが観たい」と相談したら勧められた。
観始めたのは2026年7月28日に熊本で地震が起こる前だった。
内容を全く知らなかったが、宮藤官九郎監督で池松壮亮、仲野太賀が主演なら見応えがあるだろうと思った。渡辺大知はこの度はじめて知った。
2011年に起きたとされる”ナニ”(大災害)
で家を失い仮設住宅で暮らすことを余儀なくされた人々の日常を描くもの。
彼らは12年間もプレハブ住宅に住み続け、そこに馴れきってしまい、新天地を求めなくなっていた。そこに「余所者」がやってきて…というおはなし。
原作はなんと
山本周五郎で1962年の新聞連載だった。
1963年にはテレビドラマ化され、
1970年には黒澤明監督で映画化。
時を経て、2023年に再ドラマ化。
かなり現代風にリアレンジしたと思われるが、
黒澤版の『どですかでん』のWikipediaを確認したところ、出来事などはほぼ忠実になぞられていることがわかった。
合致しすぎていて少し怖いくらいだった。
終始まったりした調子で描かれるので油断していたが、途中で何度か胸を抉られる思いがした。観始めたときは、
【災害のあとに起きた災害とは直接関係のない被害】
について近年、取材して物語にしたのだろうと考えていたが、後に調べてみて、「60年前もいまも人間なんてとんでもない生き物なんだ」と思った。
このあと、ネタバレあり。
兄弟、姉妹、は何かと比較されやすい。
タツヤの母親は家出した前科者の兄ばかりをかわいがり、兄の関心を買うためにタツヤの貯金を引き出して全額兄に渡す。それは仮設住宅を出て広い家に家族みんなで住むために内緒で貯めていたものだった。母親は「自分だけいい思いをしようとして!」と勘違いでタツヤをなじり、小さな妹弟たちを連れて兄といっしょに住むために出て行ってしまう。
本人の思い過ごしである場合もあるが、露骨に親が依怙贔屓している場合も実際にある。兄弟・姉妹、同性だと特に双方が愛情が足りない、妬ましいと感じることが起き易いのだ。
私自身は心の底で、「両親は姉を誇らしく思っているが私のことは恥に感じていたことだろう」といまも思っているし、姉は姉で「妹のほうが自分よりかわいがられている」と根深い妬みを抱いていたことを最近、知った。
母はごく稀に姉から連絡があると私になぜか自慢してくるので、この年になってまでこんな思いをしなきゃいけないのかと自分にもがっかりしている。
それから、劇中で
近親者による性被害
が描かれている。
あまりにも憂鬱すぎて、その場面は説明すらも憚られる。
60年以上前の物語で起きていたことが現代の社会でも変わらず起きている。
災害の避難所でも、そうでないところでもある。耐え難いが現実だ。
今日まさに、「被災者に緊急避妊薬を配布」などというニュースを見かけたが、いやそうじゃなくて!!やるなよまず!!!と憤った。
怒りが湧きすぎて、もはや女がアサシン級の戦闘力を身に付けるしかないのでは、と思った。
物語の顛末はここでは書かないが、個人的に心痛を感じた点のみを挙げた。
ほかにも数々の小さな哀しい事件があった。
登場人物の皆が悪いわけじゃなく、どうしようもないけれど、互いに許し合っている個性的で不器用な人たち。
高橋メアリージュン、MEGUMIの振り切った演技、前田敦子の絶妙な役柄、久しぶりの小田茜、が見もの。
宮藤官九郎監督・脚本なので、デフォルメが過ぎるというか、劇的な雰囲気が好きならば、心にゆとりのあるときに観るといいと思う。
想像もしていないところで、揺さぶられるから。
苦しみを感じながらも、人間のお節介や愚かさに、私はどこか安心した。
哀しいことなどないほうがいいに決まっているのに。
私が被災したのは高校一年の冬で、自宅周辺がガス漏れしたので親戚の家に避難した。もし、出られるなら被災地を出たほうがよかったと経験上思う。
友人が仮設住宅に住んでいた。
友人の家は母子家庭なのに母親が変な人でこどもたちを置いて県外に男を追ってだかなんだかで居なくなりおばあちゃんと暮らしていた。
たまに帰ってきた変な母親に遭遇したが怒り方がヤバくて彼女は精神疾患持ちかもしれないと思った。友人はやさしくてかわいくていい子だし頭もよかったのに不遇すぎた。
もうひとりの友人もいっしょに尼崎のだいもつの風呂屋に行った。
なぜか帰りの電車をミスって逃し家に帰れなくなった。たまたま私の母が車でキャッチしてくれた。
私は当時から大人になるまで車で送迎してとかおねだりするのが苦手でできなかったがその時は打つ手がもうなかった。(いまは頼めるようになった)
高校の友人と風呂屋に行くなんてそのとき限りだったしいい思い出だ。
学校はしばらく避難所になっていた。
体育館は避難所ではなくなったあとも、吐きそうな臭いがこびりついて取れなかった。大勢の入浴できない人間と炊き出し、その他の生活臭が。
それでもみんな、生きていてよかったと思う。
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