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僕なりの劇団四季のススメ|||シン小説 No.002

私は、彼を愛していたのかどうか、いまでもよくわかりません。
ただ、彼を完成させたかっただけなんです。

浅利慶太という名前が、劇場の看板から消えないように。
彼が舞台の外で壊れてしまわないように。

それだけでした。

彼は、私がいなければ、きっとどこかで崩れていたと思います。

仕事も、人間関係も、家庭も。
すべてを同時に保てるほど、器用な人ではなかったから。

だから、私が引き受けました。
彼の怒りも、欲望も、弱さも。
誰にも見せたくない部分を、私が全部受け取りました。

傷つきましたよ。
体も、心も。
でも、それは作品を完成させるための代償です。
舞台に予算が必要なように、人生にもコストがかかるんです。

彼が倒れなかったのは、私のおかげ。
彼が表舞台から消えなかったのも、私のおかげ。

そう思っています。
思っていなければ、ここまで続けられませんでした。

最期のとき、彼は「ありがとう」と言いました。

それだけでした。
でも、十分でした。

私は、彼の人生のスタッフロールに名前が載らない、ただの裏方です。
でも、彼という作品は、私の作品でもあるんです。

私がいなければ、彼は完成しなかった。

だから、添い遂げました。
愛していたかどうかなんて、もうどうでもいい。

私は、彼を完成させた。
それだけで、私の人生は報われています。

だから、美しい思い出のまま閉じたかった。みっともない彼なんて、観たくなかった。

だから。
だから……

もういいですね。

ありがとう



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