『栃木強盗殺人事件』 の活かし方みたいなものをね|||シン小説 No.054
栃木で強盗殺人が起きたらしい。
若いのが何人か捕まった。
だが、彼らは護送中に消えた。
ニュースは、さらに騒いだ。
逃走?
警察の失態?
やがて、誰も話さなくなった。
ーーー
世間は、熊騒ぎ。
山は入山禁止だった。
数日後。
沢の下で、人のものらしき腕が見つかった。
さらに数日。
別の場所で、
靴。
顎。
肋骨。
DNA鑑定で、護送中に消えた若者たちと一致した。
彼らの断片みたいなもの。
ーーー
集落の老人たちが、消防団詰所で酒を呑んでいた。
熊の話。
米の話。
膝の話。
ひとりが笑った。
「あの程度の元気じゃ、たいした役にも立たなかったな」
「わざわざこんな田舎まで来てくれたのになぁ」
「まぁ、エコよ、エコ。
エネルギーは活かさねぇとよ」
笑いが起きた。
すぐに、また別の話題になった。
村出身の署長が遅れて現れた。
「もう少し、骨のあるヤツらだと思ったんだが」
骨だけに、だな。
誰かが、つぶやいた。
夜の山。
老人たちの笑い声だけが響く。

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