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神は見護ることしかできない、たぶんね|||シン小説 No.032

オリンピックを見ていると、ときどき、よくわからなくなる。

あれは、本当に同じ人類なのだろうか、と。

ウサイン・ボルトが走るのを見たとき、そう思った。

速さの極限が、そこにある。

では、サッカーはどうだろう。

気がつけば、日本は、ワールドカップの常連国になっていた。

誰が出ても、同じように強い。

誰が欠けても、成り立つ。

進化している、のだと思う。

けれど、そこにはもう、  
“誰かひとりの物語” が入り込む余地は、 少なくなっているようにも見えた。

そして、冬季オリンピック。

ボードの上に立つ者たちは、さらに違う場所にいる。

速さでもなく、  
力でもなく、

ただ、崩れないこと。

そのために、
どれだけの時間を、  
どれだけのものを、
削ってきたのだろう。

取り返しのつかない失敗や。
やり直せない選択や。
やり切れない思いを。

名前の残らない途中の断念が、どれだけ積み重なって、あの一瞬があるのか。

画面の中では、誰もそれを語らない。

ただ、転ばなかったことだけが、結果として残る。

それを、どこかから、見ているものがいる。

助けるわけでもなく。
止めるわけでもなく。

ただ、見ている。

そして、なにが起きたのかだけを、そのまま残していく。

うまくいったことも。
失われたものも。

一切、区別することなく。

ただの、記録かもしれない。

あるいは、進化と呼ぶのかもしれない。

D ドチラデモ
N ナイ
A アンサー



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