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【影を抱いた人ほど、優しくなれる】

もうすぐ夏がやってくる。


青空が広がり、人々の表情もどこか明るく見える季節です。


しかし人生は不思議なもので、外がどれだけ眩しくても、心の中に影を抱える日はあります。


私はそんなことを、ふと思います。


やっと乗り越えたと思った過去が、突然胸を締め付けることもあります。


人は誰でも明るい場所を求めて生きています。


笑顔でいたい。


幸せでいたい。


認められたい。


愛されたい。


そう願うのは、ごく自然なことです。


しかし人生は不思議なもので、光だけを追いかけても、心は満たされません。


なぜなら、人は光だけでは深くなれないからです。


私は長い人生の中で、多くの人を見てきました。


順風満帆に見える人。


成功している人。


人から羨ましがられる人。


だが、その人たちにも必ず見えない苦しみがあったことが分かりました。


誰にも言えない孤独。


眠れない夜。


失ったものへの後悔。


表には出さない涙。


人は案外、自分の影を隠しながら生きています。


そして、自分だけが苦しいと思い込んでしまう。


しかし違います。


みんな何かを抱えています。


ただ、それを見せないだけなのです。


私は思います。


人生の価値は、どれだけ光を浴びたかではない。


どれだけ影を受け入れられたかだと。


失敗した経験。


裏切られた経験。


病気になった経験。


挫折した経験。


絶望した経験。


それらは決して無駄ではなく、その影があるから、人の痛みが分かります。


その影があるから、優しくなれます。


その影があるから、小さな幸せに気づけます。


若い頃の私は、影を敵だと思っていました。


苦しみさえなければ。


失敗さえなければ。


こんな思いをしなくて済むのに。


そう考えていました。


だが今は違います。


影は敵ではなかった。


人生を教えてくれる先生だったのが分かりました。


影があったから、人の涙に気づけた。


影があったから、当たり前のありがたさを知った。


影があったから、自分自身と向き合えた。


もし人生が光だけだったなら、私は今よりずっと薄っぺらな人間だったと思います。


人は傷つきながら成長します。


転びながら強くなります。


失いながら大切なものを知ります。


だから今、苦しみの中にいる人に伝えたい。


無理に明るくならなくていい。


前向きになれなくてもいい。


今は影の中にいてもいい。


その時間にも意味がある。


夜があるから朝日が美しいように。


雨の日があるから夏空が眩しいように。


人生の影もまた、光を教えてくれます。


大切なのは、影を消そうとすることではない。


影を抱えたまま歩くことです。


人は完全にはなれません。


弱さもある。


迷いもある。


不安もある。


それでも歩く。


それでも生きる。


その姿こそが尊いのだと思います。


人生は光と影でできています。


どちらか一方では完成しません。


そして、本当に優しい人というのは、光しか知らない人ではなく、影の中を歩いてきた人なのだと思います。


だから私は今日も、自分の影を否定しません。


過去も、傷も、失敗も。


すべてを抱えながら歩いていきます。


光だけを求めるのではなく、影と共に生きながら。


その先に見える小さな希望を信じて。

 Words & philosophy donchan


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