【5,000円は、50円】
意外なタイトルに、あなたは少し違和感を覚えたかもしれません。
「5,000円が50円になるなんて、どういうことだろう。」
そう思われた方もいるでしょう。
今日は、私が実際に心がけている、一つの考え方をお話ししたいと思います。
決して、お金の話ではありません。
人生の価値を変える、とても単純で、とても深い話です。
私は本を読むことが好きです。
一冊5,000円ほどする本を買うこともあります。
決して安い買い物ではありません。
だから、多くの人は、その一冊を大切に読みます。
読み終えたら、本棚にしまう。
それで終わりです。
もちろん、それも悪いことではありません。
しかし私は、その一冊を一度読んで終わらせません。
二度、三度、十回、二十回……
そして、百回読むことを目標にしています。
すると、不思議なことが起こります。
5,000円だった本が、私の中では50円の本になるのです。
もちろん、本当に値段が変わるわけではありません。
一回あたりの学びのコストが、50円になるという意味です。
ここで考えてみてください。
一度しか読まなかった本と、百回読んだ本。
同じ5,000円でも、その価値は本当に同じでしょうか。
私は違うと思います。
むしろ、百回読んだ本は、5,000円では買えない価値になります。
一度目には気づかなかった言葉。
十回目に心へ刺さる一文。
五十回目にようやく理解できる考え方。
百回目には、その本は「読むもの」ではなく、「自分の一部」になっています。
知識は、繰り返すことで知恵へ変わります。
仏教にも似た教えがあります。
どれほど素晴らしい教えを聞いても、実践しなければ人生は変わりません。
一度だけ聞いた教えは、やがて忘れます。
しかし毎日心に刻み、何度も思い返す人は、生き方そのものが変わっていきます。
大切なのは、「知っていること」ではありません。
「染み込ませること」です。
これは本だけの話ではありません。
人との出会いもそうです。
感謝の言葉もそうです。
親から教えられたこともそうです。
一度だけ思い出す人と、何度も思い返す人では、人生そのものが変わっていきます。
人生は、繰り返したものによって形づくられていくからです。
私たちは、新しいものばかり求めがちです。
新刊が出れば買う。
新しいセミナーへ参加する。
新しい動画を見る。
もちろん、それも悪くありません。
しかし、本当に人生を変える人は、新しい知識を集める人ではなく、一つの教えを深く掘り下げる人ではないでしょうか。
井戸は、あちこちを浅く掘っても水は出ません。
同じ場所を深く掘るから、水脈に届くのです。
知識も同じです。
私は、何冊もの本を買うよりも、一冊を何度も読むほうが好きです。
そのたびに違う発見があります。
年齢が変われば、受け取る意味も変わります。
苦しみを経験したあとでは、以前は何とも思わなかった一文に涙することもあります。
本は変わっていません。
変わったのは、私自身なのです。
だから、同じ本を読むことは、実は「昨日までの自分」と対話することでもあります。
人生は、意外と単純です。
高価なものを買うことが豊かさではありません。
その価値を、どれだけ自分の人生へ取り込めたか。
そこに、本当の豊かさがあります。
5,000円の本を一度だけ読む人。
5,000円の本を百回読む人。
同じお金を払っていても、受け取る人生はまったく違います。
私は六十四歳になった今でも、本を繰り返し読みます。
新しい答えを探すためではありません。
昨日の自分より、少しだけ深く理解するためです。
人生は、劇的な変化よりも、小さな積み重ねによって変わっていきます。
だから私は今日も、本を開きます。
5,000円の本を、50円の本にするためではありません。
50円の積み重ねを、人生では計り知れない価値へ変えるために。
私はこの記事の最後に、あなたへ一つだけ問いかけたいと思います。
あなたの本棚に、一冊だけ「人生を変えた本」はありませんか。
もしあるのなら、新しい本を探す前に、その一冊をもう一度開いてみてください。
きっと、以前とは違う言葉が、あなたを待っています。
人生は、新しい出会いだけで変わるのではありません。
同じ一冊と、何度も出会い直すことで、人は変われるのです。
私は、本の中の重要な部分に、マーカーをすることがあります。
しばらく経って、その本を読み返すと、ふとこう思うことがあります。
「なぜ、私はここにマーカーを引いたのだろう。」
そう思いながら読み返してみると、違う視点からの気づきがあります。
その瞬間、私は気づきます。
本は変わっていません。
変わったのは、私です。
だから、同じ本を読んでも、新しい発見があるのでしょう。
あなたにも、一冊だけ人生を変えた本があるなら、ぜひもう一度開いてみてください。
そこには、昔と同じ文章が書かれています。
でも、その文章を読むあなたは、もう昔のあなたではないのです。
だから、本は何度読んでも、新しいのです。
Photo & philosophy donchan
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