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ほりぶん上映会アフタートーク 作家長嶋有さんによる教え子鎌田順也の思い出

2025年10月9日北とぴあで行われたほりぶん上映会のアフタートークを記憶を頼りに書き起こしました。ゲストは作家の長嶋有さん、聞き手はほりぶんの墨井鯨子さん、川上友里さん、ライターの碇雪恵さんです。長嶋さんの一人称は「私」かもしれませんし語尾が違うかもしれません。語尾のせいで長嶋さんのキャラクターが変わってしまったかもしれません。申し訳ありません。

本日10月10日1900の回終了後にもアフタートークあります。本日のゲストはきたろうさんと又吉さんです。貴重なお話をきけると思います。是非とも。
別に関係者でもなんでもないただのファンです。差し支えありましたらすぐに削除します。



長嶋さん「文化学院の講師は頼まれたのがきっかけではじめました。御茶ノ水の方ですね。講座を持っていた先輩の作家が忙しくなってできなくなってしまって、自分は教えるという柄ではなくて、そもそも小説の書き方は教えられるものじゃないし、まだ若くて32才くらいだったかな、それから3,4年くらいやったんですけど。学生とはサイゼリアで飲みながら深夜まで話しこんだりといったそういう感じでした。」

長嶋さん「鎌田くんとはすごく仲良くなった。仲良くなったから、僕のことを買ってくれてたのかもしれないです。」

その後、不意に長嶋さんの話の調子が変わったり元に戻ったりした。地の文と会話の文に分けているような感じだった。どうやら鎌田さんの口調を真似ているようだった。鎌田さんの台詞になると、少しこもりぎみな音や舌足らずな音が増える。その拙さの一方で脳内で選択された言葉は鋭いという不思議な塩梅で、そこに加えて、なぜか話していると自身の言葉に途中で照れてしまったり笑い出してしまったりする。川上さんと墨井さんが「うまーい似てるー」と喜んでいる。


長嶋さん「僕も鎌田くんのモノマネするんだけど、鎌田くんも僕のモノマネしてたんだよ。お互いにやり合ってたよ。鎌田くんうまいんだ。」

墨井さん川上さん「めちゃくちゃ仲いいですねー笑」

長嶋さん「ある日映像を見てくださいって言われたんだよね。追悼文にも書いたんだけども。鎌田くんはよくカメラを回していたんだよね。メモ帳代わりにハンディカムを回していたという感じなんんだけど。こういう感じで」と身ぶり手ぶりを交える。


長嶋さん「終始、息を潜めて光も全く足りてない映像で、寝ているお母さんに麦茶をかけるという映像だったのね。この映像を観て初めて、先生というか教育者としての使命感みたいなものが湧き上がってくたんだよね。誰かが言わなきゃと感じて。だから、寝ている人間に飲物をかけちゃだめだよって言った。」

川上さん「どういう感じでした、鎌田くんは」

長嶋さん「神妙な感じでしたよ。すいませんすいませんって言いながら。」

墨井さん「それ絶対ふりですよ笑 ふり笑 神妙なふりです笑 いつもそうです笑」

川上さん「鎌田くんとしてはどういう反応もらえると思ってたんでしょうね」

長島「鎌田くんは僕のことを買ってくれている節があったから、喜んでくれると思ったんだじゃないかな」

長島「けどね、寝ているお母さんにだよ。まず寝ている人間に飲み物をかけちゃだめだよね。1リットルの麦茶パック全部をさ。布団もビチャビチャになるし。人間の尊厳を汚しちゃだめだよねって。」

長嶋さん「お母さんの第一声が。あんた…って本っ当に!って発するんだよね。そこまでの来し方について言及するんだよね。いまこの瞬間に起こったことじゃなくて、お母さんに対して今まで鎌田くんがやってきたこと、蓄積したものについて述べたんだよね。こういうことをずっとやってきたんだろうね笑」

長島「だから、卒業式にお母様が出席されたときこちらから、その節は申し訳ありませんでしたって言って近づいていきました。別にこちらのせいではなくてね、けしかけた訳でもないけど。けど、なんども強調してお母さんに伝えました。鎌田くんはものすごい才気あふれる人ですよってことを懇々と伝えたんだ。」

長嶋「鎌田くんは最初から際立っていました。小説の評も確立されていたし、書く小説自体も凄かったし。あとはすごく倫理的だった。」

川上さん「倫理的というのはどういう点で?」

長嶋さん「担当していた小説講座は、持ち回りで順番に生徒が作品を提出して、翌週までに作品を読みこんできて、講座を受けている生徒全員で、必ず一人ずつ評を行う仕組みでした。そのなかにとても仲の良い二人組の女の子がいて、その女の子の作品を「あなたとても腕を上げたわね」と片方の女の子が褒めたことがあったの。その言葉をかけられた女の子は笑っていて、僕も笑ってしまったんだけど、まあ友人同士ということもあり、なにも言わなかったんだけど、どの立場から言ってるのかというか、学生が学生にかける言葉ではないよなとは思ってはいました。」


長嶋さん「一方で鎌田くんは、思うところあったけど、その子を表立って責めてたり問うたりはしなかったですね。けど、その子がいないサイゼリアでの席や飲み会の席で「腕を上げたね」というフレーズをしょっちゅう言っていたんだよね。」

長嶋「人が不意に発する何気ない言葉に、意図せず傲慢さが含まれいていることがあるけども、鎌田くんはそういうことに関してとても敏感であったし、とてもそのことで傷ついていたし、絶対にそのことを忘れない人であったんだね。」


長嶋さん「鎌田くんの芝居ってまさにそのことを言っているんだね。牛久沼もそうだよね。ワンシーンが長いよね。ずっとうなぎを引っ張り合っているけど、いろいろやり方や動機を変えて奪い合っているよね。また繰り返し何度も何度も言い方を変えてずっと一つのことを責めている。」


長嶋さん「バスケットボールっていう鎌田くんの初期の作品で、体育祭で一年生チームが全校優勝をしてしまうというものがあって、ずっと女の子がトイレから出られないというお話なんだけども。なぜ出られにかというと、上級生にずっと詰められているからなんです。上級生は空気を読まずに優勝してしまった一年生を責めたいんだけど、正面切ってそのことには触れられなくて、全く関係のない事柄や理由を見つけてはそれをあげつらって執拗に責めているというお芝居なんだね。まさに鎌田くんの芝居なんだよね。」



長嶋さん「ナカゴーを応援していて劇場にも足を運んでいたんだけど、ほりぶんはついぞ見ることなく鎌田くんはいなくなってしまった。不幸な誤解だったんだよね。鴻上尚史さんだったりケラさん、松尾スズキさんとかみなさん一つの名前で兆しが見えてきたらその名前を大切に育てようとするんだけども、そうじゃないと生き抜くには無理だから、厳しい世界だから。けど鎌田くんはナカゴーをやっていたと思ったらほりぶんを始めちゃった。片手間でほりぶんを始めちゃったと思った。ところが鎌田くんは両方とも全力でやっていたんだね。普通できないよ。だからナカゴー8、ほりぶんは2くらいの力の入れようでやってると思ってしまった。だからほりぶんは観なかった。そしたらほりぶんの評判がどんどん上がってきて、どうなってるんだこれは観にいかなければ、と思っていたら鎌田くんがいくなくなってしまった。」


川上さん「長島さんはお名前をもう一つお持ちですよね…お仕事されてますよね…」

長島さん「そうなんだよ。そうんなんだよ。僕もそうだったんだよ。僕自身も、どちらも全力でやっているのに…気づいていなかったんだよ。同じことなのになんで気づかなかったんだって。自分がそうなのに。」



長島さん「お二人がほりぶんに入られたきっかけは」

川上さん「ナカゴーは色々な面々がいらっしゃるのですが、ほりぶんは女性だけでという形でやっていて…私たち一緒にナカゴーに客演でのったんだよね。(隣の墨井さんに向かって)私たちもナカゴー入りたかったんだけど…所属する劇団がもうあったので掛け持ちはできないなって」

長島さん「お芝居の世界ではそういうルールがあるんですか?」

川上さん「いえ。私の中でダメなんです。掛け持ちは。もう所属してるから…それで鎌田くんがほりぶんを始めてくれて…ユニットという形だったら大丈夫かと」


長島さん「ユニットっていい言葉ありましたね」

碇さん「ええと、大変申し訳ありませんが、もうそろそろお時間になってしまいまして…」(長島さんに話をふる)

長島さん「えーここにデッドストックの同人誌があるんですけども、2007年の文学フリマで頒布したものです。鎌田くんの小説が掲載されています。文学フリマの当日の朝、秋葉原駅前のBECKERSで僕と鎌田くんと売り子の子の三人で集まって一つのポテトをつついてたんです。「我ら三銃士」みたいな感じで。その文フリで在庫になったデッドストックの同人、表紙がしまおまほさんに描いてもらって、スポンジスターというんですけど、鎌田くんの小説も載っていて、結構すごい小説です。他にもすごい人たちの作品が載っています。欲しい人がいたら後で声をかけてください。5冊あったけど欲しいっていう人がいたから2冊はあげちゃうんだけど。残り3冊良かったら。」

川上「じゃんけん大会にしたほうがいいですよ」

碇さん「そうですね。長嶋さんとじゃんけんをして勝ち残った3人の方にという形で。欲しい方は立っていただいて、あいこと負けた方は座っていただくという形で。」

じゃんけん大会が始まり。3回目のじゃんけんできれいに3人に絞られた。

長島「なんか売るつもりだったんだけど、あげなきゃいけきゃいけない流れになっちゃったな笑」


長島「それにしても、いつかこの芝居を誰か復活させて欲しいな。川上さんやりたいんでしょう。」

川上「ええ是非ともやりたいです。やりたいです…でも待ってくださいね!ちょっと待ってくださいね。ちょっと…うん…」


拍手がおきる





↑こちらのPodcastでも鎌田さんの文化学院時代に触れています



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