記憶力を上げる方法|睡眠・運動・復習で変わる科学的な生活習慣
読書記録をつけ始めて一番ショックだったのは、先月読んだ本の内容をほぼ覚えていなかったことだ。付箋だらけの本を見返しても、線を引いた場所すら「なんでここに引いたんだっけ」となる始末だった。
先に結論を言うと、記憶力は才能ではなく習慣でかなり変わる。睡眠・運動・復習のタイミングという地味な3点を直すだけで、同じ読書量でも定着率がまるで違ってきた。統計にもとづく知能テストで自分の記憶まわりの得意不得意を測ってから習慣を見直すと、どこを直せばいいか見えやすくなる。
一番効いたのがここだった。恥ずかしい話だが、平日は毎晩1時過ぎまでスマホを見ていて、睡眠時間は5時間前後がずっと続いていた。
記憶は寝ている間に脳の中で整理され、短期記憶から長期記憶へ定着していく
睡眠が足りないと、この定着作業そのものが途中で打ち切られる
寝る直前の学習内容ほど、睡眠不足の影響を強く受けやすい
睡眠時間を7時間に戻しただけで、前日読んだ本の要点を翌朝ちゃんと言えるようになった。子どもにも「昨日のあらすじ言える?」と聞かれて、以前ならしどろもどろだったのに、すらすら出てきて自分でも驚いた。 記憶力の土台は寝ている時間に作られている 。ここを削って別の対策をしても、正直あまり意味がない。
次に効果を感じたのが運動だった。読書の前に軽く体を動かす習慣をつけてから、明らかに集中の質が変わった。
有酸素運動は海馬を含む記憶に関わる部位の血流を増やす
運動によって脳由来の神経栄養因子(BDNF)の分泌が増え、記憶や学習によい影響が出るとされる
10分程度の軽いウォーキングでも記憶力への効果が確認されている
嫁は毎朝10分だけ近所を歩いてから読書するのがルーティンで、最初は「そんな短時間で変わるの」と半信半疑だった。実際に3週間ほど続けたら、読んだ内容を人に説明できる量が明らかに増えたと本人が言っている。運動が苦手な自分でも、10分の散歩なら続けられた。ハードルの低さがそのまま継続率になっている。
学生時代、テスト前日に詰め込んで、テストが終わった翌週にはほぼ忘れているという経験を何度もした。あれは記憶力が悪かったのではなく、復習のタイミングが間違っていただけだったらしい。
学習した内容は24時間以内に一度復習する
その後、1週間後にもう一度復習する
さらに1ヶ月後にもう一度触れる
この間隔を空けて繰り返す「間隔反復法」は、詰め込みより記憶の定着率が高いとされている。うちでは読んだ本の内容を、読了直後・1週間後・1ヶ月後の3回、読書記録アプリに1行でいいから書き直すようにした。同じ本の同じページを3回見返すだけなのに、半年前に読んだ本の内容まで意外と口から出てくるようになった。
これは正直、最初は信じていなかった。本をもう一度読み返すより、何も見ずに「思い出そうとする」時間の方が記憶に効くという話だ。
何も見ずに内容を思い出そうとする行為そのものが、記憶を強化する
読み返す(再読)だけの復習は、記憶が定着したような「錯覚」を生みやすい
思い出せなかった部分こそ、記憶が弱い箇所として復習の優先順位が高い
子どもの中学受験の勉強に付き合っていたとき、塾の先生が「教科書を読み返すより、白紙に書き出させてください」と言っていたのを思い出した。半信半疑で読書にも取り入れてみたら、「思い出せなかった箇所」が自分の記憶の弱点をそのまま教えてくれることに気づいた。読み返すだけでは、この弱点は絶対に見えてこない。
ここまでの習慣を3ヶ月ほど続けて感じたのは、記憶力といっても種類があるということだった。うちは家族3人でやってみたが、伸び方も得意な記憶の種類もバラバラだった。
自分: 文章の要点は覚えやすいが、細かい数字や固有名詞をよく取りこぼす
嫁: 位置や配置の記憶が強く、本の何ページの右下に何が書いてあったかまで覚えている
子ども: 短期間で覚える瞬発力はあるが、1ヶ月後にはきれいさっぱり抜けている
「なんとなく記憶力が弱い気がする」で終わらせていた頃は、対策のしようがなかった。統計にもとづく知能テストで自分の認知の特性を数字で見てからは、自分がどのタイプの記憶で取りこぼしやすいのか輪郭がつかめて、習慣を直す優先順位も立てやすくなった。
読書記録から始まった小さな習慣見直しを振り返る。読み解きポイントを整理する。
記憶の土台は睡眠。寝る時間を削ると、他の対策の効果も薄くなる
運動は10分の散歩レベルでも記憶への効果が期待できる。ハードルを下げて続けることが重要
復習は詰め込みでなく、24時間以内・1週間後・1ヶ月後の間隔反復が効く
読み返すより「思い出そうとする」想起練習の方が記憶の定着に効く
記憶力にも種類があり、自分がどこで取りこぼしやすいかは感覚だけでは分かりにくい
習慣を直しても、自分がどのタイプの記憶が強くてどこが弱いのかが分からないままだと、対策が的外れになることもある。自分の特性の輪郭が数字で見えると、「なんとなく記憶力が悪い」が「ここのタイプの記憶が弱い」に変わり、次に何を直せばいいかが具体的になる。
