【ショートショート】おじさん箪笥
刑事の私は、ある事件の捜査の為A村を訪れた。
その事件とはずばり、『おじさん箪笥事件』だ。
『中年男性たちを誘拐しては、巨大な箪笥に閉じ込めている集団がいる』との噂が県警に届いたのは半年前のことだ。
そして今日、その集団がこの村の大きな建物にいることを突き止めた。
外の見張りは部下に任せ、私は単独でその建物に入った。
入るなり異臭がした。中には巨大な箪笥があり、数人の男がいた。
銃を構える前に、彼らは言った。
「刑事さん『おじさん箪笥』の件で来たんでしょう……なに、逃げませんよ。見ます?」
見たくはないが、ここで下がる訳にはいかぬ。
集団の中の一人がすぐ後ろの箪笥を開けた。
中には『赤い切身』が入っていた。
「人間の『おじさん』じゃなくて、魚の『オジサン』なんです。紛らわしくてすみません」
私はほっとすると同時に、単なる噂だけで行動した自分を恥じた。
『オジサン』という魚が『白身』だということを知ったのは、署に帰ってからだった。
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今週も、たらはかに(田原にか)さんの企画、『毎週ショートショートnote』に参加させていただきました😊
