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【ショートショート】額に入った夕暮れ

 長期休暇が取れたので、俺はフランスへ飛んだ。
 まずはルーブル美術館に行こうと思い、スマホのマップで行き先を設定した。
 ……という訳で、さっきからマップ通りに歩いているのだが、訳のわからない狭い道を歩かされている。
 この道で合ってるのか? あの大きなルーブル美術館だぞ?
 暫く歩くと、スマホが突然「目的地に到着しました」と言った。
 見上げると、アパートの二階部分に『ユーグレ美術館』と看板があった。
 ……ゆ、ユーグレ?
 なんだそれ! このポンコツマップめ!
 と思ったが、逆に気になり始めたので入ってみた。
 入ると、館内には誰一人いなかった。
 夕暮れの風景を描いた絵画がずらりと並んでいた。
 額に入った夕暮れは中々の出来映えだ。
 少し『赤み』が強い気がするが。
 おお、この絵は特に綺麗な夕暮れだなあ。
 と見惚れていると急に背中に激痛が走り、俺は倒れた……。

 後ろから俺を刺した人物が放った
『その赤みは、来館者の血なんですよ』
という言葉を俺はついに聞き取ることはなかった。

 仮に聞き取れたとして、そもそもフランス語がわからないので何の意味もなかった。

                 (493字)

今週も、たらはかに(田原にか)様の企画【毎週ショートショートnote】に参加させていただきました!

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