映画レビュー『イエスタデイ』ネタバレアリ
☆3.5(ほし5満点)ーーー
ビートルズが存在しない世界で、唯一その曲を知る1人の男が活躍していく映画。設定は魅力的で前半はかなり楽しめた。中盤以降の失速とラストの着地が惜しい。
この映画は前から存在は知っていたものの、公開から7年後の今になってようやく鑑賞。「世界中の誰もビートルズを知らない中、自分だけがその曲を知っている」という設定、やっぱり引きが強い。
前半は面白い。「Yesterday」や「Let It Be」を披露するたび周囲が衝撃を受ける感じや、"歴史上最強クラスの楽曲を現代に持ち込む無双感”は爽快感がある。
ただ、中盤以降も展開がかなり予想の範囲内だった。結局ラストは、大勢の前で「曲は盗作でした!」「収益を受け取るのは忍びないので無料公開します!」「幼なじみの彼女が好きです!」と全部まとめてマイクパフォーマンス。
その後は結婚+子供2人、学校教師になり生徒の前でビートルズを弾き語りでエンドロール。
…地元の好きな女と結婚して、子ども男女2人産んでもらって、趣味の音楽で喝采をもらう。平凡だけど満ち足りた人生って素晴らしい!…マジすか。そうまとめるか。
コメディ映画だし、爽やかな終わり方をやりたいのは分かる。でもせっかく「世界で唯一ビートルズを独占してる男」っていう危うい設定なのに、最終的に理想の善人ドラマに着地してしまった。
あと恋愛パートが長いのも残念だった。
くっつくかくっつかないかを前半でまとめて、後半は外的トラブルに巻き込まれるとか自己との葛藤に苦しむとかもっと醜い方向に転がった方が自然に思えた。名声に酔うとか、欲に負けるとか、「これはもう俺の功績でもあるだろ」と自己正当化するとか。
登り調子の30歳の男がそこから降りるなんて、ちょっと考えられない。独り身の30男なんて欲にまみれてるか、絶望してるかだよ。
楽曲の使い方も勿体なかった。
名曲がダイジェストに流れていく感じ。
個人的には『ボヘミアン・ラプソディ』くらい、がっつり聴きたかった。
エンドロールで流れた本物のビートルズには久しぶりに聴いたからか一瞬ゾワッとした。ビートルズを改めて聴こうとおもわせてくれた映画だった。
