ムーンライトセレナーデで響いたユーフォニアム〜黒江真由という巨人〜
黒江真由はグレンミラーの具現である
彼女が登場する時に奏でられている曲がMoonlight Serenade
作曲者はグレンミラーで今やジャズスタンダードとして広く演奏されている
この曲が実際にアメリカでジャズとして演奏されているものを聴くとわかります
真由が吹くムーンライトセレナーデはとても悲しい印象を受ける人が多いと思いますが、実際の曲はこんな悲しく演奏されているとは思えません
故にアニメ響けユーフォニアムで演奏される・登場するこの曲あるいは旋律は故意に悲しさを全面に出していると断定したい
というのも
1期2期はしっかり計画として制作が進行していたであろう事は今でこそ想像に難くないと思います。
自分もニワカで申し訳ないですが、京都アニメーションは3期が始まる前にというより制作を発表しようとしていたであろうタイミングその時期に放火事件に見舞われたです
この事も含めて1期が始まった2015年から3期終了の2024年6月そして現在2025年までの長い時間があったからこそ真由が吹くこの曲はアニオリとして取り入れられ(ソース)ユーフォニアムでのソロ演奏でどこまでも物悲しく吹かれている
しかし実際は上述の通りジャズでの「哀しさ」はあれどアニメ真由の曲として出るその印象はない
タイトル曲「響け!ユーフォニアム」はその変曲版
あくまで推測ですが、2期が終わるまでのタイトル回収曲であるこの曲はムーンライトセレナーデがあっての曲だと仮定いやほぼほぼ断定
作曲者の松田 彬人がどうやって作曲したかは知らないが、曲の構成、進行などを見れば一目瞭然である
松田氏がその影響で作曲したタイトル曲なのかどうかにせよ2期で初披露されたアスカ先輩から受け継がれるこの曲が力強く未来へ託すにも関わらず「どこか物悲しい」のはこの元曲であるジャズスタンダードの「哀しさ」を持ってしてだろうと推察
長い音からの3連符、トリル的に上るパッセージとループするフレーズはもうムーンライトセレナーデにしか聞こえなくなってくる
とにかくサブスクなりYouTubeでMoonlight Seredadeを検索し一聴して欲しい
2期があっての3期なのは時間軸で見ても明らかだが、真由がアニメオリジナルに変容している様も全てを含んでなるべくしてなったとしか思えない
この記事にある通り22年5月以前(前編5月なのでその時にはインタビュー済みだろう)にはまだ3期の音楽的報告性はまだ決まっていなかったと思われる
という事は、真由の登場曲としてのムーンライトセレナーデがタイトル曲と対を為す様に作られていた訳ではなかった、が事件など色々含めアニオリとしての真由そしてアニオリの展開それらを包含した音色としての悲しさを監督・音響などから指示出しされたのかもしれない
ではどこでムーンライトセレナーデが襲いかかったのか
上記記事から読み取れるように彼は元々吹奏楽部だったようだ。そうなれば話は早い。
ジャズへの直接的影響があったかは不明にせよ、吹奏楽部出身であるならそれはもうジャズの一端であったのだし、強引だがアニメユーフォニアムが出来るまでの作曲段階でジャズスタンダードを知らない・聞かない筈がなく、ならその影響はどこかにあったと考えるのが自然だろう
というこじつけですが、皆さん再度一聴してみてほしい
ではなぜムーンライトセレナーデなのか
真由が強豪校清良女子にいた、その事実だけでわかるものだが、最終3期の全てが「久美子vs真由」であるのは明白
アニメ久美子が倒すべき・ソリを獲得すべき相手の真由の持ち曲としてのムーンライトセレナーデがジャズスタンダードであるのはその乗り越えるべき壁は大きいぞという暗示
それを越えられるとも言えるアスカ先輩からのプレゼント曲「響け!ユーフォニアム」があるのはその為と言っても過言ではない
結果として「麗奈が」筋を通す事で私たちは負けないよこれからもジャズスタンダードであるところのつまりは「伝統」さえも相手取って1期から培ってきた葵ちゃんの反省を活かして滝先生を味方につけて個人としての久美子は負けても「北宇治高校吹奏楽部」は負けなかったよ そういう図式
つまりこのアニメは吹奏楽の歴史をも越えて「北宇治高校からの挑戦」的な問いまたは未来への新形態を示したものの様にも見える
例えばWikiPediaのこの記事内で吹奏楽がどうなっているかなど簡単につまめるが、日本での部活動や吹奏楽はたまた音楽の一形態としてのブラスバンドはやはりジャズの影響下が大きく、この記事内で「ジャズ」を検索してもわかる通りやはりムーンライトセレナーデそしてグレンミラーからの軍楽隊そして吹奏楽の歴史に繋がっていける
そう見れば「響けユーフォニアム」というタイトル曲が生まれたのも必然だろう。松田彬人が無意識にせよ影響を受けていたのも納得がいく
振り返ってみると1期11話で香織vs麗奈の再オーディション終盤に流れるピアノ曲は 「重なる心」というタイトル でサウンドトラックとして残っている。
この時にはまだ「響けユーフォニアム」というタイトルではないという事が何を意味するのか不明だが、少なくともその後のヒットそして2年の歳月でアスカ先輩に花を持たせる「曲」として昇華させていったのは間違いない
(余談だがアスカ先輩についてももっと書きたい。ちょっと待ってて)
そして2期を想定した時に、収まりきらない続きがある事からその後を見据えた時にムーンライトセレナーデと対比したユーフォニアム楽曲として仕上げた、のかどうかはわからない
だが言えるのは、真由が吹くムーンライトセレナーデは明らかに暗く悲しく吹かれることでタイトル曲と対になっているのはそれこそ「耳で聞き分かられる」という事だ
釜谷ツバメが3期には大活躍〜ジャズと吹奏楽〜
真由が良い、真由が演奏している時が本当の真由ちゃん、など心を許せる友として少ないながらそういうシーンがある。真由に寄り添う別の形のユーフォにおいてのカップリングだ。
それは麗奈・久美子でもなく、優子・夏希でもなく、みぞれ・希美でもない、新入生という社会の一端が狭い学生生活に垣間見える本当の意味での「選択」の表れ。
彼女は久美子達3年生と同年なので勿論1年の時である1期から描かれていて、香織vs麗奈のオーディションの時に不思議と香織先輩が吹き終わった後に正体不明で拍手する「1年生」が描かれている。しかも誰よりも最初に拍手を開始する
これが2年の優子先輩でないのはセーラー服のスカーフの色を見れば一目瞭然ピンクだからだ。しかし席順で確実に割り出すのが不可能で、伏線的に残されているのか不明のまま。原作にはあるのだろうか。
なのでこれがツバメではないかと予想する
でもこの人物が久美子・緑・葉月でないのは明らかだ。一応後ろの席が緑のスカーフがいることで主要キャラではないことがわかる
しかし誰なのかが明確には描かれていない。
この時点でツバメが自分の意思を持って選んでいるという伏線なのかは分からないが、原作ではそういう描写もあるのだろう、その後の3期の真由と久美子のやり取りまで見据えていたのは「ない」と思う。それは時間的にも事故的にもだ
しかしこの1年時のオーディションの描写をツバメとするにしても、「反対する」あるいは麗奈・滝が目指すところの金・特別に持っていくのは、ツバメも一緒であったということ
実際真由vs久美子のオーディションではツバメは真由を選んでいる
そして見逃してはいけないのが久石奏
彼女は真由vs久美子での真由の演奏にしっかり感動している「目の動き」をしている。にも関わらず手を挙げるのを途中まで躊躇って正に久美子が一年の時に「手を上げなかった」選択もできたであろうがミッちゃんが見守る中で久美子に手を挙げる
ここから分かるに、奏が票を投じなければ同数ではなかった訳でそうなると、麗奈の最終判断もなかったことになる。これは結構デカい
この真由とツバメというカップリングは、ジャズと吹奏楽と言ってもいいだろう
勝負に勝って試合に負けるという好きと上手いの差
1期12話で「好き」というものがハッキリと描かれた。これが後に伏線として紡がれるのかどうかは麗奈と久美子の「特別」という言葉で隠されてしまう。
というのも「好き」にせよ「特別」にせよそういう感情は曖昧なものだからだ
かえって「上手い」というのは客観的にみても評価できるというのが大きい
だから3期までの全てのシリーズで「好きor特別」というものと「上手い・卓越している」というものが「大会優勝・金賞」と「誰が必要か」というものに隠されてしまい更に人間関係というドラマや「物語」という形式で人生を語るべくには邪魔な存在である客観的事実の「上手さ」「卓越性」が蔑ろにされてあくまで学園模様あるいは「誰が」というストーリーの進行に必要なものを繋げるためのツールになっている
現実でも勿論「好き」に代表される曖昧なものは時に強大な力を発揮する
しかし芸術や美術そして音楽には「前提として」その作家や演者に「上手さ」がないと「伝わらない」つまりそのストーリーあるいはドラマそして音楽でいうところ「艶やかさ」「美しさ」を作り出す事が出来ない
出来るという人や言える人はそもそも「上手い」のであってそうでないにも関わらず言う人は「発信」「発表」などをしていない自己完結で終わっている場合のみである
そしてこれは麗奈自信が作中で「一番になった人が言うから意味がある」つまりは「特別」「金賞」そういうものになった成し遂げた人が言うから意味があるので、そうでない人が言っても意味がない、だから「好き」は久美子側が作品を通してそれでもその気持ちが大事なのは確かだがそれに「肉を与える」それが「特別」であることの証になる
アニメシリーズ全体を通してどういう計画があったのかは分からないが、原作と違い音がつまりは肉が与えられた訳で、じゃあその特別は何かというと「吹奏楽」であり「ジャズ」であったのではないか。だから真由にムーンライトセレナーデを吹かせて巨人の足跡を残したのではないか
真由が上手い それだけである
よって真由は勝った。そして久美子はオーディションである試合には負けたが「好き」というのはそういうので良いんですよねという本人の弁の通りそれ(”ユーフォ”なり”音楽”)を「仕事」にする事ができ人生という「その先」を勝ち取ったのである
原作では勿論久美子が勝った。でもアニメには実際の音が出てしまう以上やはり「上手い」か否かで勝敗が決まった
そこには真由のそしてムーンライトセレナーデがなぜ選ばれたのかという先人であるジャズジャイアントかつ吹奏楽の巨人達をぶつけてそれでも久美子は折れずに好きを貫き通せ、真由は勝った(先人は大きい!)という結論を導き出した。その両者を描いただけですごいのである
ジャズが吹奏楽に与えている影響
ここまで個人的見解で書き続けてきたけど、アニメシリーズ通してジャズに殆ど触れて来なかったのにツバメの妹であるスズメに葉月が一瞬ジャズが似合う的な事を言うのもこの3期にしか出てこない
ジャズが吹奏楽に与えている影響が果たしてどこまでなのかその筋をあまり詳しくないが言えることは、「ムーンライトセレナーデを吹く転校生」というだけで説明が付いてしまう
ここに黒江真由は偉大さがある
それを乗り越えたあるいは乗り越えよう!という3期スタッフの「色々な思い」も乗せて、しかも久美子の3年いや10年とそれも飲み込んだ全部員で掴み取った北宇治高校吹奏楽部の金賞は、一種のバトル漫画的展開とも言え、正に大団円 最高
それだけ黒江真由は「一人だけで頑張った」 そう悟空がブウに言ったように
ムーンライトセレナーデ何度か聞きましょう 勿論原曲の方。勿論真由の編曲の方も。
悲しいという判断はどうだろうか
