日本語を話せない日本人達⑤
少し間が空いたが、
このテーマで書いていく。
筆者は現在、とある中学2年生を
受け持っているのだが、この生徒は
とにかく話すのが苦手である。
もっと言えば、話す力がかなり弱い。
おそらく、生まれつき話すことが
苦手だということもあるかもしれないが、
就学前から小学校まで含めて、
発表することも中心した、
発話の機会がほとんど無かったと
推測して良いと考えている。
発表ということに関連させるならば、
作文を書く機会も、皆無に近かったと
筆者は考えている。
なぜなら、現実に読解力も弱いことから、
文を組み立てる力も、かなり弱いからである。
加えて、自分の頭で考えることも弱く、
問いかけても、あまりまともな
答えは返ってこない。
厄介なことに、この生徒の親は、
「自分の考えを話すことが苦手」
という点ばかり強調するが、
これは間違っている。
なぜなら、自分の考えを話そうとしても、
言語力・語彙力が足りなすぎるからである。
これでは、言語化など不可能である。
また、文を組み立てたという機会が
ほとんど無いのだから、
そもそも文章を作ることが困難である。
さらに、そもそも考えるという訓練を
してきていないのだから、
自分の考えや感想以前に
「何なのか」「なぜなのか」「どのように」
という問答をしてきていないし、
現実に、これらさえ困難である。
英語の並び替えや英作文や和訳を
やらせると、列挙した弱点は
概ねわかってしまう。
特に、主語と述語のない日本語を
平気で書くし、日本語と英語の
語順が異なること、しかしながら
英語のほうが語順に明確な法則や
きまりがあることを、見抜けないのである。
なお、この生徒および通っている中学校は、
夏休み明けに定期テストがあるのだが、
国語だけやたらと進んでいる。
そのことを親に伝えると、
「日本語だし、わかるでしょ?」
と、生徒に対して言っていた。
この生徒にとっては、
地獄でしか無いであろう。
それもこれも、親達がこの生徒の状況、
すなわち小学校4年生ぐらいから
すでにつまずいていたことに
気付いていないからである。
しかし、筆者はもう1つ、
別の可能性を疑っている。
それは、この生徒が、本当は
発達障害などの診断を受けているにも
かかわらず、そのことを隠蔽している
かもしれないということである。
なぜなら、この生徒の親達自身が、
3世代同居をしているのだが、
家のことは生徒の祖父母が
担っているからである。
当然、高校受験などの進路のことや
制度についてもほとんど知らない。
また、生徒の両親自身が、
スケジュール管理能力が皆無である。
そして最たるものは、
生徒に対して、あまりにも甘い、
厳しくしない、甘やかしていることである。
実際、生徒へのしつけなどは、
両親ではなく祖父母がやっている。
これらを考えた時に、
生徒に何も無いと考えるほうが
実体ではないし、もしかしたら
両親達も発達障害なのかもしれない。
まさに、両親達が生徒の特性の
まずさに気付かず、祖父母たちのほうが
生徒の将来を考えているという
話の典型である。
