裸で寝るとよく眠れる? 医師が本気で考えてみた
「寝るときに身につけるのは、香水だけ」
マリリン・モンローの言葉として有名な逸話です。
実際に裸で寝てみると、開放感があって気持ちよいという人もいれば、
「いや、パンツくらいは穿かないと落ち着かない」
という人もいます。
海外の映画では、裸のままシーツにくるまって眠る場面をよく見かけます。
一方、日本の旅館で浴衣を着て寝ると、朝には帯がほどけ、ほとんど裸になっていることもあります。
では医学的に考えたとき、裸で寝ることには何かメリットがあるのでしょうか。
結論から言うと、裸で寝る必要はない
少し夢のない結論ですが、
「裸で寝れば、睡眠の質が上がる」
と断言できるだけの直接的な研究は、今のところ十分ではありません。
睡眠と体温の関係については、多くのことが分かっています。
しかし、研究されているのは主に、
・寝室の温度
・寝具の種類
・パジャマの素材
・皮膚温や深部体温の変化
などです。
「全裸」と「パジャマ着用」を直接比べて、全裸の方が明らかによく眠れた、という強い証拠があるわけではありません。
つまり、裸で寝ることは快眠法の一つにはなり得ますが、万人に勧める医学的な健康法ではないということです。
眠るためには、体の熱を逃がす必要がある
私たちの体温は、一日中同じではありません。
夜になると、手足などから熱を逃がし、体の内部の温度を少しずつ下げていきます。
この体温低下が、体に「そろそろ眠る時間ですよ」と知らせる合図の一つになります。
そのため、寝室が暑すぎたり、厚着をしすぎたりすると、熱がこもって寝つきが悪くなることがあります。
夏の夜に、
「パジャマなんて着ていられない」
と感じるのは、ある意味では自然です。
暑がりの人なら、裸になることで熱を逃がしやすくなり、快適に眠れる可能性はあります。
ただし、大切なのは裸になることそのものではありません。
暑すぎず、寒すぎず、自分が快適に感じられる状態をつくることです。
裸より、薄いパジャマの方が快適なこともある
裸になれば最も涼しいと思いがちですが、必ずしもそうとは限りません。
人は睡眠中にも汗をかきます。
裸で寝ると、汗が直接シーツや肌に残ります。
汗で肌がべたつく。
エアコンの風が直接当たる。
寝返りをしたときに、シーツとの摩擦が気になる。
こうしたことが、かえって不快になる人もいます。
吸湿性と通気性のよい、ゆったりしたパジャマであれば、汗を吸い取りながら皮膚の周囲に適度な空間をつくってくれます。
綿やガーゼ、麻などの軽い素材を快適に感じる人が多いのは、そのためです。
「裸か、厚手のスウェットか」
という二択ではありません。
薄くて締めつけないパジャマが、ちょうどよい落としどころになることもあります。
パンツは穿いた方がいいのか
健康な成人であれば、就寝時に下着を着けなければならないという医学的な決まりはありません。
穿かない方が蒸れにくく、楽に感じる人もいます。
一方で、
・寝具に直接触れるのが気になる
・分泌物や経血がある
・尿漏れがある
・皮膚トラブルがある
・家族と同じ寝具を使う
といった場合には、下着や寝間着があった方が現実的です。
結局のところ、パンツの有無で睡眠の成績が決まるわけではありません。
落ち着かないのに無理に脱ぐ必要はない。
これが一番大事です。
「裸で寝た方が健康にいいらしい」
と聞いて、違和感を我慢しながら眠るのでは本末転倒です。
裸で寝るなら、シーツはこまめに洗いたい
裸で眠ると、汗、皮脂、角質などが寝具へ直接付着します。
そのため、パジャマを着て寝る場合より、寝具の清潔には少し気を配った方がよいでしょう。
特に夏場は汗の量が増えます。
裸で寝ること自体が不潔なのではありません。
しかし、パジャマが吸収していたものを、今度はシーツが受け止めることになります。
裸派になるなら、シーツを洗う頻度もセットで考える必要があります。
開放感は増えたけれど、洗濯物も増えた。
ここは、裸睡眠の意外な落とし穴です。
当直室やホテルでは、着た方が落ち着く
自宅では裸で眠れる人でも、当直室やホテルではパジャマを着たいということがあります。
これは珍しいことではありません。
慣れていないシーツの感触。
空調の効き方。
部屋の乾燥。
誰が使ったか分からない寝具への心理的な抵抗。
睡眠は、とても繊細なものです。
医学的に問題がなくても、本人が「何となく嫌だ」と感じれば、それだけで眠りにくくなります。
旅先でホテルの浴衣が苦手な人は、薄手のパジャマのズボンだけ持っていくのもよい方法です。
荷物は少し増えますが、眠れない夜を過ごすよりは安いものです。
災害を考えると、全裸は少し困る
日本で裸睡眠を考えるとき、忘れにくいのが地震です。
深夜に大きな揺れが来た。
窓ガラスが割れた。
廊下へ避難する。
屋外に出なければならない。
そんなとき、全裸ではさすがに困ります。
だからといって、毎晩外出できる服装で眠る必要はありません。
裸で寝る人も、枕元に最低限のものを置いておけばよいでしょう。
・すぐに羽織れる服
・眼鏡
・スマートフォン
・靴や底の厚いスリッパ
・照明
睡眠の快適さと、災害への備えは両立できます。
自分が快適なら、それが正解
睡眠については、
「この姿勢が最強」
「この温度が正解」
「裸で寝れば健康になる」
といった断定的な情報が出回りやすいものです。
しかし、実際の快適さには個人差があります。
暑がりか寒がりか。
汗をかきやすいか。
エアコンを使うか。
寝具は何か。
一人で寝るか、家族と寝るか。
災害への不安があるか。
条件が違えば、答えも変わります。
裸で寝ると気持ちよく眠れるなら、それでいい。
パンツだけ穿くと落ち着くなら、それもいい。
上下そろったパジャマでなければ眠れないなら、それも立派な睡眠習慣です。
睡眠で最も大切なのは、裸かどうかではありません。
暑さや寒さで目を覚まさず、安心して眠れることです。
ちなみに私は、ホテルの浴衣だけで寝ると、朝にはかなり自由な姿になっています。
最初から裸で寝る勇気はありませんが、結果として近いところには到達しているのかもしれません。
裸になる前に試したい、夏の睡眠アイテム3選
① GUNZE「kaimin navi 綿100%パジャマ」
裸では落ち着かないけれど、普通の部屋着では暑い人に向いています。
綿100%の軽いパジャマなら、汗を吸いながら体を締めつけにくく、裸と厚着の中間を狙えます。
睡眠専用の服を用意すると、着替える行為そのものが「これから眠る」というスイッチにもなります。
② 昭和西川「接触冷感敷きパッド」
裸になっても背中が暑いなら、問題は服ではなく寝具かもしれません。
接触冷感面と通常面を使い分けられるリバーシブルタイプなら、気温やエアコンの設定に合わせて調整できます。
丸洗いできる商品を選ぶと、汗をかく季節にも使いやすくなります。
③ アイリスオーヤマ「DCモーター サーキュレーター」
寝室の温度にむらがあると、エアコンをつけてもベッド周辺だけ暑いことがあります。
サーキュレーターで空気を循環させれば、設定温度を極端に下げずに、寝室全体を均一にしやすくなります。
体へ強い風を直接当てるのではなく、壁や天井に向けて使うのがポイントです。
まっち
