見出し画像

技術士 建設部門|道路 R07 選択科目III 模範解答(III-1・III-2)

令和8年度の改訂コンピテンシーに対応した模範解答です。

本記事では以下の改訂ポイントを両問題の答案に反映しています。

  • データ・情報技術の活用:プローブデータ・点検記録・センシング等を課題抽出・解決策の根拠として具体的に示す

  • ステークホルダーの意見の取り入れと合意形成:道路利用者・沿線住民・関係機関・電力事業者との協議プロセスを解決策に明示する

  • 持続可能な成果の達成:安全・生産性・環境の三側面から残余リスクを論じ、社会・経済・環境の持続性を軸にする

改訂コンピテンシーの詳細は技術士第二次試験 コンピテンシー改訂(令和8年度)の解説をご覧ください。


こんな人のための記事です

  • 令和7年度 技術士第二次試験 建設部門 道路科目を受験予定で、選択科目IIIの対策に取り組んでいる方

  • IIIは2問題から1問選択だが、本番でどちらを選んでも対応できるようIII-1・III-2の両方の模範解答を確認したい方

  • 脱炭素化(III-1)/xROAD・道路システムのDX(III-2)という頻出テーマを、発注者・道路管理者の立場でどう論述するか知りたい方

  • 答案用紙3枚(約1,800字以内)の分量感と「課題3つ→最重要課題の解決策→残余リスク対策」の3段構成を確認したい方

  • 道路科目合格者が実際に使った論述骨格(3本柱)を参照したい方

この記事でわかること

  • 解答対象となる令和7年度 道路 選択科目IIIの設問全文(III-1・III-2の両方を記事内に再掲)

  • III-1(道路の脱炭素化)・III-2(xROAD・道路システムのDX)それぞれの「課題3つ→最重要課題の解決策→残余リスク対策」3段構成の論述戦略

  • 「道路管理者が直接コントロールできる領域」を軸に課題・解決策を整理する発注者視点アプローチ

  • 両問題のフル模範解答(各約1,600字)と採点者視点のチェックポイント

  • 問題文+フル模範解答を印刷できるPDF付き(答案用紙への手書き書き写し練習に活用可)


道路 選択科目の模範解答(R03-R07・II-1/II-2/III 全15記事)をまとめたマガジンもあわせてご覧ください。


本記事は技術士第二次試験 建設部門 令和7年度 選択科目III(道路)のIII-1・III-2の両問題について、道路科目合格者として模範解答を示すものです。

選択科目IIIは課題遂行能力を問う科目で、答案用紙3枚(約1,800字以内)を使って課題抽出・解決策・残余リスク対策の3段構成で論述します。

本番では2問題のうち1問を選んで解答しますが、本記事では出題された両問題を網羅し、どちらを選んでも対応できるようにしています。

各解答は、設問が求める論点を「現状・課題 → 解決策 → リスク・対策」の論理連鎖で組み立て、道路管理者(発注者)ならではの視点を答案に活かす方法を示すものです。

論述の骨格と発注者視点の着眼点を参照しながら、各自の答案作成にお役立てください。


試験問題(令和7年度 選択科目III)

出典:公益社団法人 日本技術士会 技術士第二次試験 建設部門 令和7年度(問題文は試験対策の公益目的による引用。原文は日本技術士会の公表資料に基づく)。

本記事が解答するのは、技術士第二次試験 建設部門 令和7年度 選択科目III(道路)のIII-1・III-2の両方です。

III

III 次の2問題(III-1、III-2)のうち1問題を選び解答せよ。(赤色の答案用紙に解答問題番号を明記し、答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

III-1(道路の脱炭素化)

III-1 地球温暖化に伴う気候変動の影響により、自然災害の激甚化・頻発化などが懸念されている。気候変動対策の推進は、我が国のみならず地球規模での対応が求められる喫緊の課題となっている。

こうした状況の中、脱炭素社会の実現に向けて、我が国全体の目標設定やその実現に向けた対策の強化が進められている。道路は、我が国の経済成長を支え安全安心な暮らしを確保する重要な社会基盤である一方、国内CO2排出量の多くを占めており、脱炭素に関わる役割と責任を積極的に果たしていく必要がある。

このような状況を踏まえて、以下の問いに答えよ。

  1. 2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた道路の脱炭素化について、道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

  2. 前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

  3. 前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考え方を示せ。

III-2(xROAD・道路システムのDX)

III-2 近年、インフラに対する災害対策や老朽化対策の必要性は高まる一方、生産年齢人口の減少により、今後深刻な人手不足が進むことが懸念される。このような社会経済状況の厳しい変化に対応するため、インフラにおいても、データとデジタル技術を活用し、国民のニーズを基に社会資本や公共サービスの変革が求められている。

こうした状況の中、国土交通省では、道路システムのDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組「xROAD(クロスロード)」が進められている。

このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

  1. 現在、国土交通省で進められている道路システムのDXの取組について、道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

  2. 前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

  3. 前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対応策について、専門技術を踏まえた考え方を示せ。


設問構成と論述方針

III-1-(1) 道路の脱炭素化における3つの課題の抽出

求められていること: 2050年カーボンニュートラルに向けた道路の脱炭素化について、道路に携わる技術者として多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで内容を示す。

発注者視点の核心論点: 道路分野のCO2は「建設・施工段階(材料・製造)」「道路利用=走行段階」「道路施設の運用段階(照明・換気等)」の3局面で発生する。道路管理者(発注者)は発注仕様・交通管理・道路空間の利活用を通じて各局面に関与でき、この発生源別の整理が差別化になる。

論述骨子(3本柱):

  1. 建設・施工段階:アスファルト混合物の加熱製造・セメント・鋼材由来の建設CO2(エンボディドカーボン)が大きく、中温化・低炭素材料・再生材の活用が未普及

  2. 道路利用(走行)段階:自動車走行由来CO2が道路分野排出の大宗を占め、渋滞・信号待ちによる燃費悪化とEV充電インフラの不足が削減を阻害

  3. 道路施設の運用段階:道路照明・トンネル換気・信号等の電力消費と、再エネ(太陽光・小水力)導入・グリーンインフラによる吸収源活用の遅れ

III-1-(2) 最重要課題に対する複数の解決策

求められていること: 3つの課題のうち最重要と判断するものを1つ選択し、その課題に対する複数の解決策を具体的に示す。

発注者視点の核心論点: 道路分野のCO2の大宗は走行段階に由来するため、課題2「走行段階のCO2削減」を最重要と判断する。道路管理者は交通流円滑化・道路空間を活用した充電インフラ整備・モーダルシフト誘導により直接寄与でき、削減インパクトと即効性が最も高い。

論述骨子(3本柱):

  1. 交通流円滑化:ボトルネック交差点の改良・信号制御の高度化・ETC2.0プローブデータによる渋滞対策の重点投資で走行燃費を改善

  2. EV・FCV普及基盤:高速道路SA/PA・道の駅・道路占用制度を活用した急速充電網の整備と走行中給電の実証

  3. モーダルシフト・TDM:自転車歩行者ネットワーク整備・公共交通優先(バス専用レーン・PTPS)・交通需要マネジメントで総走行量を抑制

III-1-(3) 解決策実行後の残余リスクと対策

求められていること: 設問(2)で示した解決策をすべて実行しても生じうるリスクを専門技術を踏まえて示し、その対策を論じる。

発注者視点の核心論点: 走行段階の脱炭素施策は、電源側の脱炭素遅れ・誘発交通(リバウンド)・地域格差という三側面のリスクをはらむ。ライフサイクル全体での削減実効性を担保するモニタリングと政策パッケージ化が必要である。

論述骨子(3本柱):

  1. 電力需要増・電源脱炭素の遅れ:EVシフトによる充電需要集中と、再エネ電源確保が追いつかないリスク

  2. 誘発交通(リバウンド効果):交通円滑化による走行速度向上が交通量自体を増やし削減効果を相殺するリスク

  3. 地域・財政力格差:充電インフラ・交通DXの都市部偏在による地方の脱炭素遅れ

III-2-(1) 道路DXにおける3つの課題の抽出

求められていること: xROADの取組を踏まえ、道路に携わる技術者として多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで内容を示す。

発注者視点の核心論点: 道路管理者(発注者)の立場では、DXを実装するためのデータ基盤整備・調達仕様の策定・関係機関との情報連携の構築が直接の責務であり、この視点から課題を整理すると差別化できる。

論述骨子(3本柱):

  1. 道路空間のデジタル化:3次元道路空間データの整備不足が点検・設計の自動化を阻害している

  2. 交通流管理のDX:プローブデータ等の多元的データを統合した動的交通管制の実現に向けた連携基盤が未整備

  3. 維持管理のDX:AIによる損傷診断の精度向上と道路管理者の調達・発注体制の標準化が遅れている

III-2-(2) 最重要課題に対する複数の解決策

求められていること: 3つの課題のうち最重要と判断するものを1つ選択し、その課題に対する複数の解決策を具体的に示す。

発注者視点の核心論点: 道路管理者が直接コントロールできる領域として、維持管理のDXは全国約100万kmの道路ストックを抱える老朽化問題と直結し、人手不足対応の即効性も最も高い。調達仕様の標準化・データ連携基盤の構築を発注者主導で進めることが核心となる。

論述骨子(3本柱):

  1. 点検記録の電子化・一元化:道路点検データベースの標準フォーマット化と全道路管理者への義務付け

  2. AI損傷診断システムの調達標準化:発注仕様にAI判定精度基準と学習データ共有条件を明記して市場競争を促進

  3. 道路利用者・住民との情報共有基盤:xROADのオープンデータを活用した双方向の情報収集・合意形成の仕組み構築

III-2-(3) 解決策実行後の残余リスクと対策

求められていること: 設問(2)で示した解決策をすべて実行しても生じうるリスクを専門技術を踏まえて示し、その対策を論じる。

発注者視点の核心論点: DX施策は導入後の運用体制・サイバーセキュリティ・デジタルデバイドという三側面のリスクをはらむ。行政としては技術革新の速度に制度が追いつかない「制度ラグ」を最小化するモニタリング体制が必要である。

論述骨子(3本柱):

  1. サイバーセキュリティリスク:道路管制データへの不正アクセスによる交通制御の破綻

  2. 地方道路管理者のDX格差:財政力・技術力の差による整備格差の拡大

  3. AI診断の判断誤りリスク:過信による見落とし・過剰修繕の誘発

フル模範解答

(いずれも答案用紙3枚以内・各約1,600字。本番ではこのうち1問を選んで解答します。)

ここから先は

4,273字 / 1ファイル
この記事のみ ¥ 780
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

道路選択科目の令和3〜7年度を全選択肢まで完全収録し、さらに令和8年度の予想問題+模範解答3記事を加えた全18記事です。 筆者は道路科目の合格者であり、かつ元・地方自治体の土木職(発注者)として道路の発注・監督・積算審査に携わってきました。受注者側に偏りがちな論述へ、発注者視点の採点軸(安全・品質・コスト・環境の統合判断、住民対応、行政責任)を重ねています。 過去問で論述の型を固め、予想問題で試験直前に仕上げる構成です。

技術士第二次試験 建設部門「道路」選択科目の令和3〜7年度を、II-1(全4設問)・II-2(両選択肢)・III(両問題)の全選択肢でフル…

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで
本番で解く「必須I+道路」の組み合わせをそのまま収録。単品合計¥6,960が¥4,980(約28%OFF)。発注者かつ道路合格者の二重視点の採点コメント付き。

技術士第二次試験 建設部門を「必須科目I+道路選択科目」の組み合わせで、あなたが本番で実際に解くその形のまま束ねた合格パックです。 ・必…

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?