「早番」の二文字に、思ったより多くのことが詰まっていました
前回、シフト作りをAIに丸投げして、見事に空振りした話を書きました。
原因は、私の伝え方でした。頭の中の"当たり前"を、言葉にして渡していなかったのです。それに気づいてから、私の作業は、現場の言葉をひとつずつAIに書き渡していく、という地道なものになりました。
やってみて、まず驚いたことがあります。
「早番」という、たった二文字。この中に、思っていたよりずっと多くのことが、詰まっていたのです。
「早番」と書けば、現場では済んでしまう
早番と書けば、それで通じます。何時から何時までで、休憩がいつで、その時間帯は何人いないと回らないか。現場の人なら、二文字を見ただけで、ぜんぶ頭に浮かびます。
でも、その"ぜんぶ"は、どこにも書かれていません。私たちの頭の中で、なんとなく、みんなで分かっているだけです。
だからAIに渡すときは、その見えない中身を、一つずつ開いていきました。何時から何時まで。休憩は何分。実働は何時間。日中は何人ほしいか。二文字の裏側を、こうして全部、表に出していく作業です。
いちばんつまずいたのが、夜勤でした
中でも手ごわかったのが、夜勤です。
夜勤は、一日で終わりません。夜に入って、朝まで働いて、次の日は「明け」。そのまた次は「公休」にすることが多い。夜勤・明け・公休で、ひとまとまりなのです。
ところが最初、AIは夜勤を、その日だけの勤務として扱いました。だから夜勤の翌日に、平気で早番を入れてくる。現場では、まずやらない並びです。
これも、AIが悪いのではありませんでした。「夜勤は、三日ぶんでひとつなんだよ」と、私が伝えていなかっただけです。
三つの予定ではなく、ひとかたまりとして渡す
そこで、渡し方を変えました。
夜勤・明け・公休を、別々の三日として渡すのをやめて、「これで一つ」として渡すことにしたのです。夜勤を置いたら、明けと公休も、自動でくっついてくる。バラバラには動かせない。
そうしたら、AIは、もう変な並べ方をしなくなりました。
うちの洗濯機は、ときどき靴下を片方だけ食べます。乾いた洗濯物をたたんでいると、右足だけの靴下が、いつもひとつ、余るのです。相方は、どこへ行ったのか。洗濯機の中をのぞいても、いません。
片方だけになった靴下は、捨てるにも捨てられなくて、引き出しの隅にたまっていきます。いつか帰ってくるかもしれない、と思って。まあ、帰ってきたことは、一度もないのですが。
次は、「新人を一人にしないで」という、現場では当たり前の気づかいを、どう言葉にしたか——そんな話でも。実はあの人にも、新人の時があったんだぜ。なんて。

