今回の件で今のHANAに足りていなかったものを1つだけ見つけた
巷で話題になっている「OWARI」の件、HANAのファン(HONEYs)の皆さんはどう感じましたか?
NENEの「OWARI」の歌詞とMV(刺激が強いため各自でご覧ください)は、HANAの新曲「Burning Flower」への批判だとされています。
HANA / Burning Flower -Music Video-
ノノガ(No No Girls)からHANAのメンバーを応援している私としては、最初のショックは大きかったものの、こうやってガチのHIPHOP界隈からも注目された今、HANAはさらにビッグに成長するんじゃないか、とワクワクが止まりません。
SKY-HI社長のアンサー含む一連の出来事については、HIPHOPの現場を知るじゅん@人間関係の専門家さんのこちらの記事がよくまとめられていて、私の解釈とほぼ一致していました。SNS等で批判罵倒が飛び交う中、落ち着いた文面であらゆる界隈の人々を納得させる言語化能力が素晴らしすぎて、このような良質な記事がリアルタイムで発信されるnoteというメディアの素晴らしさを実感します。
NENEのパクリ批判と私の感想
HIPHOPの数少ない女性ラッパーの地位を自ら切り開いて来たNENE。
私は日本の数少ない女性HIPHOPの女性シンガーとしての彼女のブレない生き方や音楽性が好きで「ゆるふわギャング」の新曲はいつもチェックしています。
しかし、彼女の作品には放送禁止用語が散りばめられておりますので、迂闊にプレイリストに入れてしまうと、職場や電車の中で流れてしまった時に大変なことになります。
さて、このNENE様のリリースした問題作「OWARI」。
サビの歌詞は強烈な「パクリ」批判となっています。
I'm on your mood board
私のやり方真似してるんでしょ
I'm on your mood board bi*ch
私のやり方真似してるんでしょ あんた
「ムードボード(mood board)」というのは、本来部屋のインテリアやイベントのイメージ、デザインなどを考える時に参考にする、壁紙や色彩パターンなどの写真や絵などが載ってる「デザイン集(サンプル見本)」のことです。描画アプリなどでwebページやファイル資料に挿入する既存のイラストや背景色を選ぶ時に出てくるウィンドウもmood boardと呼ばれます。
最近の若者による使われ方としては、インスタグラマーとか他人が公開したコーデ、インテリアのアイディアをいいな、と思って自分のスマホに保存した写真のコレクションという意味もあります。
NENEが歌っている"I'm on your mood board"は「(あんたのスマホに保存してある)私のアイディア・作品を選んで曲作ってるんでしょ」という意味です。今回の件はさて置き、disり曲のサビにこの「旬」なフレーズを持って来て、曲自体への中毒性も生んでしまうNENEは流石です。
確かに「Burning Flower」のMVのコンセプトは昨年リリースされたNENEの「アツい」や「HEAT」(刺激が強すぎるためyoutubeのリンクは載せません笑)に通じるものを感じます。ちょっとタイミング悪かったかもしれない。
が、洋楽の世界を見渡せば、ラテン系HIPHOPのヒット曲のMVで、水着の女性がプールサイドで熱い熱い(Hot Hot)言ってるくらいじゃ「パクリ」なんて言われないわけです(みんなやってるから)。
私は「Burning Flower」のMVにはパクリ要素は感じなかったものの、曲調はCamila Cabelloの名曲「Havana」にインスピレーションを得ているような印象も受けました(ちなみにこのHavanaもSelena Gomez の「Same Old Love」のパクリだと批判されてます)
Camila Cabello - Havana
音楽やファッションの世界ってそもそも「これまでに作られたもの」を参考に、ある意味「模倣」によって作られるものなので、本人や聴き手によって「パクリ」であると感じたり、そこまでいかなくても「似てる」と感じたりすることは避けられないのかなと思います。
そしてパクリとか以前に、Burning Flowerを見た率直な私の感想は、HANAちゃんたちの水着姿を世間に見せるにはちょっと早すぎたのでは、と思ったこと(本人たちが了解しててもやっぱり、ね)。そして今回の件をきっかけに、未成年やお子様も多いと思われるHANAファンをNENE様の強烈なMV(と強烈な歌詞)に誘導してしまうのでは、と不安は募るばかりです。
NENEとちゃんみなにあって、HANAに足りてないもの
本題に戻りますが、既に20回はリピしたであろうノノガ(No No Girls)を再度見直したり、「OWARI」の歌詞を見ながら何度か聴くうちに、HANAという素晴らしいガールズグループにまだ「足りていない」ものがあったな、ということに気が付かされました。それは「怒り」というエッセンス。
「Drop」も「ROSE」も「Burning Flower」も歌詞の内容は尖ってて、表情もパフォーマンスも挑戦的ではあるんだけど怒ってはいない。良い意味でも悪い意味でも育ちの良さみたいなのが出てしまっている感じ。
NENEの「OWARI」は最初から最後まで怒ってます。
ちゃんみなへの怒り、BMSGへの怒り、HIPHOPを安易に解釈するポップス界への怒り、誰も止められません。しかし、その「怒り」がなければ生まれなかったこの「OWARI」という曲。聴けば聴くほど、怒りのフレーズの多様性とその言葉の持つパワーに気が付かされます。
対して、今回その「怒り」の対象となってしまっているちゃんみなが、これまでに作ってきた私が愛する作品の数々も、中傷コメントを平気でする心無い人々や、自分の作品を一方的に批判する人々に対する「怒り」が原動力となって作られています。
「Fuxxer」、「美人」、「I'm POP」や「NG」のように、「怒り」の相手は特定していないけど、一度聴いたら忘れられないインパクトがある歌詞。
ジャンルとかカルチャーとか正直知らねんだわ
誰っぽいとかあれっぽいとかどこがどうなんですか
ちゃんみな -I'm a Pop
ME:Iを産んだProduce101でも、ちゃんみなは怒りを全てノートに書き溜め、それを音楽にぶつけていた、という話をしていました。
そしてそして、ノノガの5次審査でHANA含むメンバーたちが自作ラップを披露した「NG」。
「KINISHY」と「SHOWY」どちらのチームも1人1人の心に秘められた感情のパワーを自作のリリックに詰め込み、ノノガの真骨頂とも言えるパフォーマンスを見せくれました。
NG- KINISHY ver from Audition "No No Girls"
NG- SHOWY ver from Audition "No No Girls"
ここで彼女たちが見せてくれた心に奥底から湧き上がる「怒り」。
これもっと見たいと思いませんか?
特に、いつも笑顔で周りを気遣っているKOHARUが「八方美人とかうるせーなお前にもニコニコしてやるよ優しさで◯す(意訳)」みたいな怒りのラップで感情を曝け出してくれたの、ここだけだと思うんです(大好き)。
りょんりょん先生に「あなたたちはエコひいきされてなんぼの世界に入る」と言われていたし、デビューしたばかりのガールズグループが感情ダイレクトみたいな表現はしない方がいいんだと思いますが、デビューしたHANAはノノガの時よりも「負」の感情を必要以上に抑えちゃっているように見えます。
NENEに「ラップ自分で書いてないのにぃ?」と宣戦布告され、ちゃんみな先生が産後でちょっと弱ってる今、HANAはもっと怒っていい!
いや、怒って!
女性の怒りから生まれたポップス音楽の名曲
「怒り」は日常社会では避けるべきものとされていますが、音楽の世界では、アーティストの強い感情と才能を結びつける原動力となり、「名作」を産むきっかけとなる重要なファクターです。これは「怒り」の表現が出発点だったHIPHOPだけではなく、ポップスの世界も然り。
誰もが一度はどこかで耳にしたことがあるであろう4 Non Blondesの名曲「What's Up」。25歳を迎えた女性が、「これまで必死でがんばってきたけど、あれれ?この世界って男性中心で動いてるの?は?どういうこと?訳わかんないんだけど!?」と、女性として生きていく不公平さや不自由さを、単純すぎるほどの怒りの言葉で表現しています。
And I say, hey yeah yeah, hey yeah yeah,
だから私言ってるんだけど、ちょっと、ねえ、ねえ、
I said hey, what's going on?
どうなってるの?って聞いてんだけど!?
女性に限らず、すべての悩める若者の心の叫びを代弁するようなパワフルな歌声。海外の音楽フェスやライブで観客が熱唱する永遠の青春ソングです。
そして、今回の騒動のように、特定の人物に対する怒りを強烈に表現した名曲といえばBeyoncé ビヨンセ率いるDestiny's ChildのSurvivor。ポップス界に「怒り」の感情を通してHIPHOPの魅力を浸透させた一曲です。
Destiny's Child - Survivor
突然脱退したメンバー2人に対する怒りと失望をビヨンセ自身がそのまま歌詞にしたということですが、相手へのdisりと自分を称える歌詞の掛け合いのような、一方的なのに押し問答みたいに聴こえる絶妙なリズムが気持ち良すぎます。
Now that you′re out of my life I'm so much better
あなたがいなくなったくれたから 私の人生は良くなったの
You thought that I′d be weak without you But I'm stronger
私がいないとダメになると思ったでしょうけど むしろ強くなったわ
ちなみに、この曲の歌詞に対し、ビヨンセたちメンバーは脱退メンバーに名誉毀損で訴えられています(その後和解)。
相手をdisる名曲もあれば、相手からのdisりに対するアンサーソングとして生まれた名曲もあります。
ロックバンドNo Doubtのボーカルとして音楽界で女性がリーダーになれることを体現してきたグウェン・ステファニー(Gwen Stefani)。男社会で媚びずに強く生きる彼女は90年代に青春時代を過ごした女性たちの永遠のアイコンです。しかし、同じ時代に女性ボーカルとして活躍していたコートニー・ラブ (Courtney Love)が、アメリカの10代の女の子向け雑誌「Seventeen」のインタビューでグウェンを「チアリーダー」と比喩したことに激怒。
そもそも泥臭いロックシーンで地道にキャリアを築いたグウェンは、記事を読んだ若い世代に自分を誤解されてしまうことを危惧したはず。チアリーダーは輪の中心にいる人気者のイメージですが、「男に媚びる」「人気や地位を常に気にしている」というネガティブなイメージで使われることもあります。
その「チアリーダー呼ばわり」に対するアンサーソングをチアリーダーの応援風のカッコいい名曲「Hollaback Girl」に仕上げたのがこちらi。
Gwen Stefani - Hollaback Girl
"hollaback"とは、チアリーダーが掛け声をかけた後に、他のチアが決まった言葉で応えることを意味しており、「Hollaback Girl」は他人に言われた言葉にただ従うだけの女の子を揶揄した言葉です。
アメフトなどのチアリーディングのマーチングバンド的リズムとスローラップが絶妙にマッチしていて、ロックンロールからHIPHOPまでこなすグウェンの多才さが際立つ名曲です。
So I'm ready to attack, gonna lead the pack
戦う準備はできてんのよ 私がリーダーになって
Gonna get a touchdown, gonna take you out
タッチダウンを取って あんたをタックルで倒すから
MVではチアリーダー風のキャラを演じてますが、歌詞は完全にプレーする側ですね。
今のHANAにはちょっと足りないかなと思う「怒り」のエッセンス。
しかし今回の件で「怒る」きっかけを頂いたHANA。
リリックも書けるし、それを表現するパワーも一流なはず。
次回の作品ですごいことをやってくれるのでは、と今から楽しみです。
J-POPシーンを盛り上げてってね、HANA。
