AIサービスと 言語モデルAPIと ローカルLLMって何かを旅行で例えてみる


「LLMぷろばいだ…? えーぴーあい?…ナニガシ?」

「言葉もわかりにくければ、概念もわかりにくいよね。慣れると当たり前になってしまうから、説明もあまりない。ちょっと比喩を交えて説明しようか」
私はよく、言語モデルAPIとか、AIサービスとか、LLMプロバイダーとかの話をちょいちょいしています。
していますが、技術者同士で話しても「それって何?」とピンと来ない人が多いことがわかりました。そりゃそうですよね、これ、アプリ開発とかでAI使うための話ですから…
でも、これを知ってると、色々と便利なことがありますので、説明してみます。
普通のAIサービス、例えばChatGPT、Gemini、Claude、Grokや、その商業向け言語モデルAPIサービス(LLMプロバイダー, 言語モデルプロバイダー)、AIルーター、ローカルLLMとかを旅行に例えてみます。
ここでは例示として、Happy Companyという架空の会社と、Happy Chat とHappy APIという架空の製品名を使います。
概要
この比喩では、以下のように例えます。
「言語モデル」の国に旅行に行きましょう。
通常のAIサービス
パッケージツアーを楽しむ個人旅行者商用利用向け言語モデルサービス (個人利用の場合)
航空券だけ買って現地を自己責任で楽しむ旅行者商用利用向け言語モデルサービス (企業利用の場合)
航空券を手配してお客様をご案内する企業LLMルーター
安い航空券を手配してくれる航空券比較予約サイトローカルLLM (個人利用の場合)
自家用車を自分で運転する旅行者ローカルLLM (企業利用の場合)
自社ジェット機を手配してお客様をご案内する企業
以下、それぞれの詳細です
通常のAIサービス
あなたは、Happy Companyという旅行代理店(航空会社兼業)に、「Happy Chat」という日帰りパッケージツアーを頼みました。毎月定額払っておけば何度でも行けるサブスクです。
Happy Companyは、カバンを貸し出してくれ、飛行機、出先での体験や、お店などをすべて手配してくれます。
あなたは、貸し出されたカバンに荷物を詰め、用意された飛行機を使って、「言語モデル」の国に行きます。
その際、旅行代理店の人がカバンに危険物のほか、旅行にふさわしくないものが入っていないかを調べます。
航空会社側でも荷物に危険物がないかを調べてから載せます。
到着したら、旅行代理店が手配した案内人に案内されて、現地の料理や観光を楽しみます。
途中、案内されたお土産屋さんなどで買い物をします。
危険なスラムに近づくこともなく、路地裏の不思議なお店や、高級料理店などは見かけても近づくことは許されず、たとえ途中であなたが道を外れようとしても、案内人さんが制止してきます。
あなたは、子供でも安心して楽しめる「言語モデル」の国の旅を終えて帰宅しました。
ここで使用したメタファーは以下です。
旅行代理店: AIサービス企業
指定されたカバン: AIフロントエンド(画面、アプリ)
荷物検査: 入力ガードレール
荷物: コンテキストやプロンプト
飛行機: API・通信プロトコル
案内人: セーフティ(出力ガードレール)
現地の料理や観光: 生成物
お土産屋さん: ミニアプリ・Instant Checkout
商用利用向け言語モデルサービス (個人利用の場合)
あなたは、Happy Companyという航空会社に、「Happy API」というビジネス用航空チケットの手配を依頼しました。
これはあなたが個人で「言語モデルの国」に行って商売の準備をするためです。
Happy Companyは、飛行機の手配と、チケットの発行はしてくれ、飛行機への乗り方や、「言語モデルの国」でのお作法は教えてくれますが、それ以上の面倒は見てくれません。
あなたは、自分のカバンを用意し、用意された飛行機を使って、「言語モデル」の国に行きます。
危険な荷物がないことは、自分の荷物だからわかっていますね?
航空会社側でも荷物に危険物がないかを調べてから載せます。
到着したら、自分で歩いて現地の料理や観光を楽しみます。
あなたを止める親切な案内人さんはいませんので、あなたは自由に歩けます。しかし、警察は目を光らせていますから、悪いことは出来ませんよ。
おっと、腐った食べ物を出す現地の屋台に出会ってお腹を壊してしまいました。あら、路地裏の怪しいお店でぼったくられてしまいました。
しかし、自己責任ですから、Happy Companyにクレームを入れることは出来ません。
以前パッケージツアーで寄れた土産物屋さんなどは、代理店経由専用なので入ることすら出来ないようです。
あなたは、自己責任での「言語モデル」の国の旅を終えて帰宅しました。
いろいろなところを探索したあなたは、もしかすると旅先の案内人になれるかもしれませんね。
ここで使用したメタファーは以下です。
航空会社: 言語モデルAPIサービス企業 (LLMプロバイダー, 言語モデルプロバイダー)
自前で用意したカバン: オープンソースなどのフロントエンド(画面、アプリ)
荷物: コンテキストやプロンプト
荷物検査: 入力ガードレール(プロバイダ)
航空チケット: APIキー
お作法: チャットテンプレート・システムプロンプトの組み方
飛行機: API・通信プロトコル
案内人: セーフティ(出力ガードレール)
現地の料理や観光: 生成物
腐った食べ物・ボッタクリ: 有害な情報、誤情報
警察: 言語モデル自体の安全拒否能力・プロバイダの自動監視システム
商用利用向け言語モデルサービス (企業利用の場合)
あなたは、Happy Companyという航空会社に、「Happy API」というビジネス用航空チケットの手配を依頼しました。
これはあなたが企業の代表として「言語モデルの国」にお客様を連れて行くためです。
Happy Companyは、飛行機の手配と、チケットの発行はしてくれ、飛行機への乗り方や、「言語モデルの国」でのお作法は教えてくれますが、それ以上の面倒は見てくれません。
あなたは、自社で用意したお客様用のカバンを、お客様に配ります。
お客様には、貸し出したカバンに荷物を詰めてもらい、空港で出迎えます。
自社の責任として荷物検査をして、危険な荷物がないかを調べます。これをしないと危険物が見つかった場合に、以後会社として飛行機に乗せてもらえなくなるからです。
航空会社側でも荷物に危険物がないかを調べてから載せます。
航空会社にお客様の人数分の航空チケットを渡し、用意された飛行機に乗ってもらい、「言語モデル」の国に行きます。
到着したら、自社が手配した案内人をお客様に付け、案内させて、現地の料理や観光をお客様に楽しんでいただきます。
途中、自社で斡旋するお土産屋さんなどで買い物もしていただきます。
自社の案内人がきちんとしていれば、あなたが自分の身で危険を理解した、危険なスラムに近づくこともなく、路地裏の不思議なお店や、高級料理店などは見かけても近づくことは許されず、たとえ途中でお客様が道を外れようとしても、案内人が制止してくれるでしょう。
お客様は、あなたの努力で、子供でも安心して楽しめる「言語モデル」の国の旅を終えて帰宅しました。
あなたは、お客様から代金をいただき、斡旋したお土産屋さんからもマージンをもらうのです。
ここで使用したメタファーは以下です。
航空会社: 言語モデルAPIサービス企業 (LLMプロバイダー, 言語モデルプロバイダー)
自社で用意したカバン: 自社フロントエンド(画面、アプリ)
荷物検査: 入力ガードレール(自社とプロバイダ)
荷物: コンテキストやプロンプト
航空チケット: APIキー
お作法: チャットテンプレート・システムプロンプトの組み方
飛行機: API・通信プロトコル
自社の案内人: 自社が用意したセーフティ(出力ガードレール)
現地の料理や観光: 生成物
斡旋したお土産屋さん: 連携サービス(ショッピングサイトなど)
LLMルーター
あなたは、たくさんある航空会社と一つ一つ契約を結ぶのがめんどくさいなと思いました。一括で見積もりできて、いい感じに航空券とか取れるところ無いかな?と思ったわけです。
ありました、航空券比較予約サイトが。
あなたは、航空券比較予約サイトと契約することで、航空会社と直接契約することなく、簡単にいろいろな飛行機に乗れるようになりました。
仲介手数料が何%か取られる分、特定の飛行機に乗るだけにはちょっと高いですけど、複数ある場合は安くて速いところを選んでくれるようです。
航空会社: 言語モデルAPIサービス企業 (LLMプロバイダー, 言語モデルプロバイダー)
航空券比較予約サイト: LLMルーター (OpenRouterなど)
ローカルLLM (個人利用の場合)
あなたは、自分の車で「言語モデルの国」に行くことにしました。
自分でカバンを用意して、自分で車も用意します。お作法も自分で調べます。
車は高価ですが、安いと荷物も乗らないし遅いので仕方ありません。
なお、自分で運ぶので荷物検査もありません。
到着したら、当然案内人なんていませんので、自分で歩いて現地の料理や観光を楽しみます。
あなたを止める親切な案内人さんはいませんので、あなたは自由に歩けます。しかし、警察は目を光らせていますから、悪いことは出来ませんよ。
おっと、腐った食べ物を出す現地の屋台に出会ってお腹を壊してしまいました。あら、路地裏の怪しいお店でぼったくられてしまいました。
しかし、自己責任ですし、クレームを入れる先がありません。
あなたは、自己責任での「言語モデル」の国の旅を終えて帰宅しました。
いろいろなところを探索したあなたは、もしかすると旅先の案内人になれるかもしれませんね。
カバン: オープンソースなどのフロントエンド(画面、アプリ)
荷物: コンテキストやプロンプト
車: 言語モデル(gguf)と、それを動かす計算資源(PCなど)、言語モデルエンジン(LM Studio, ollamaなど)
お作法: チャットテンプレート・システムプロンプトの組み方
案内人: セーフティ(ガードレール)
現地の料理や観光: 生成物
腐った食べ物・ボッタクリ: 有害な情報、誤情報
警察: 言語モデル自体の安全拒否能力
(※ローカルLLMの場合、解除したり回避することもできます。)
ローカルLLM (企業利用の場合)
あなたは、航空会社がお客様の荷物を見ることに耐えられない(お客様も嫌がる)ので、自社でジェット機を借りることにしました。
これはあなたが企業の代表として「言語モデルの国」にお客様を連れて行くためです。
自社でカバンを用意して、自社で航空機も用意します。お作法も自分で調べます。
航空機を借りるのは目が飛び出るほど高価ですが、安いと荷物も人数も乗らないし遅いので仕方ありません。なお、自分で運ぶので荷物検査もありません。
お客様には、貸し出したカバンに荷物を詰めてもらい、自社で出迎えます。
自社の責任として荷物検査をして、危険な荷物がないかを調べます。これをしないと危険物が見つかった場合に、事件を起こされると困るからです。
その後、用意した飛行機に乗ってもらい、自社のパイロットの運転で「言語モデル」の国に行きます。
到着したら、自社が手配した案内人をお客様に付け、案内させて、現地の料理や観光をお客様に楽しんでいただきます。
途中、自社で斡旋するお土産屋さんなどで買い物もしていただきます。
自社の案内人がきちんとしていれば、あなたが自分の身で危険を理解した、危険なスラムに近づくこともなく、路地裏の不思議なお店や、高級料理店などは見かけても近づくことは許されず、たとえ途中でお客様が道を外れようとしても、案内人が制止してくれるでしょう。
お客様は、あなたの努力で、子供でも安心して楽しめる「言語モデル」の国の旅を終えて帰宅しました。
あなたは、お客様から代金をいただき、斡旋したお土産屋さんからもマージンをもらうのです。
自社で用意したカバン: 自社フロントエンド(画面、アプリ)
荷物検査: 入力ガードレール(自社)
荷物: コンテキストやプロンプト
航空機: 言語モデル(gguf)と、それを動かす計算資源(専用サーバーやGPUなど)、言語モデルエンジン(vLLMなど)
お作法: チャットテンプレート・システムプロンプトの組み方
飛行機: API・通信プロトコル
自社の案内人: 自社が用意したセーフティ(出力ガードレール)
現地の料理や観光: 生成物
斡旋したお土産屋さん: 連携サービス(ショッピングサイトなど)
ところで
現実でも一部そういう国がありますが、特定の旅行代理店しか取り扱ってない航空会社があったり、特定の国に行くには、特定の航空会社しか使えなかったりします。
GPTやClaude, Gemini, Grokなどのフラッグシップモデルはまさにそのパターンで、特定少数のLLMプロバイダーか、そこを取り扱っているLLMルーター経由でしか使えません。
自家用車や、自家用ジェットでは、そもそも入国が許可されない国のような感じです。ローカルで動かしたくてもそもそも選択肢に出てこないのです。
逆にオープンなQwenやDeppSeek、gpt-ossなどは、格安航空(サードパーティLLMプロバイダー)や、自家用車(ローカルLLM)で行く選択肢があります。むしろ大手は就航してなかったりします。
そういうのもあります。
おわりに
さて、長かったですが、いかがでしたでしょうか。
可能な限り、細かく合うように説明したつもりですが、あくまでメタファーですので、合わないところとかありますが、すみませんが大目に見てください。
逆に冗長でわかりにくかったら、すみません。

「自己責任でもいいから、案内人に邪魔されたくないな~。将来的には車が欲しいなっ!」

「欲しいものと得られるもの、コスパとの選択だね。特にハードウェア…車なんかは、年々いいのが出るけれど、一方で今できることは今じゃなきゃ出来ない。それは人も環境も。常に変化していく。お金だけの問題じゃないからね」

「なやましーっ!!!」
