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【sw25シナリオ】奈落のオードブル ~エルビレアのサラダ、レモンを添えて~

水の都ハーヴェス、その一角に居を構える料理人クックは悩んでいた。ドーデン地方で聞いた、あの魔物食の魅力に……。ただ真似るだけではいけない、「ハーヴェスらしさを出したい!」そう思った彼は文献を漁る内に、魅力的な情報に出会った。「【黒点海域】のエルビレアは美味い」と。


1. はじめに

 本シナリオは8~9Lvの上級者向けシナリオです。4~5人のPLで、6時間前後で遊ぶことを想定しています。テストプレイはまだしていないため、実際のセッションではGMが柔軟に対応していただけると大変助かります。
 基本的には、ルールブックⅠ、Ⅱ、Ⅲ、モンストラスロアがあれば遊ぶことが出来ます。また同人誌『プラネスセオルギア』のデータを一部使用していますが、何か別のものを流用することも可能です。

 ハーヴェスの冒険者ギルド【ドラゴンファイア】では、今日も沢山の依頼が持ち込まれる。PCたちはその中に、ふと気になる依頼を見つけた。
 「【黒点海域】にあるエルビレアの巣を探して欲しい」

 なお、本シナリオで【~判定7】などの表記があれば、その判定その数字の達成値が求められるという意味です。判定に成功すれば、情報などが手に入ります。
 加えて注意として、今回のダンジョンそのものは1本道です。全く分岐などはありません。その旨を理解した上でお遊びください。

*2025/11/16にシナリオを一部修正しました

 ここから先はゲームマスター(GM)向けの情報です。プレイヤーとして参加する予定の方は閲覧をお控えください。


2. シナリオ概要

  • タイトル:奈落のオードブル ~エルビレアのサラダ、レモンを添えて~

  • 推奨レベル:8~9Lv帯(ルールブックⅢ、72頁を参照)

  • 想定プレイ時間:6時間

  • 舞台:ハーヴェス王国

  • 依頼内容:黒点海域の調査

  • シナリオ構成

    1. ギルドでのロールプレイ(依頼を受ける)

    2. 黒点海域の調査

    3. 【奈落の魔域】に移動(探索パート)

    4. 中間戦闘

    5. 【奈落の魔域】探索

    6. クライマックス戦闘

    7. エンディング(報酬・経験点)


3. シナリオの背景・NPCリスト

シナリオの背景
今回の依頼人、クック・ドゥ(人間/男/28)は普段、ザムエル賢者学院で料理人をしている。先日、彼がドーデン地方を旅していた所、魔神料理を食べたことがあるという駅員"ロミルダ"と遭遇した。彼女は、その料理について熱く語り、また"大鉄道祭"というイベントや"マグノア草原国"という美食の国について等、料理にまつわる話を聞かせてくれた。
結果、クックは一念発起。ロミルダに譲って貰った『食材保存の札』を使って、魔神料理を作ろうと画策、冒険者に依頼をするのであった。
なお、今回の【奈落の魔域】のボスであるエルビオンは"料理好き"であり、訪れた冒険者を食べようとしているのは全くの余談である。

NPCリスト

クック・ドゥ(人間/男/26歳)
【ザムエル賢者学園】の料理人。元々は学生だったが、いつしか料理の虜になり、そのまま厨房に就職。最近行った旅行で、さらに料理の奥深さを知った。


4. シナリオ本文

4.1.【ドラゴンファイア】にて

騒がしさに包まれた冒険者ギルド【ドラゴンファイア】。様々な冒険者の所属するこのギルドは壁にはいくつもの依頼が貼り出されている。緊急の要件もなく、手持無沙汰にしていた冒険者は、ふと1枚の依頼が目にとまる。

【依頼名】:大物エルビレアの捕獲
【依頼主】:クック・ドゥ
【報酬】1人当たり5000G
「黒点海域」にあるというエルビレアの巣、そこでの大物エルビレア捕獲を依頼します。危険な任務ですが、どうかご協力をお願いします。

依頼書をGMが読み上げれば、そこからはロールプレイのパートです。
受けるか受けないかなどの相談をPCに促しましょう。また依頼を受けるのであれば、受付嬢から依頼人の住所を受け取れます。詳細はそこで聞くことが可能です。

依頼人の住所に向かう場合は、次のシーンに進んでください。

4.2.依頼の詳細

依頼人の住所はハーヴェス南部、【ザムエル賢者学園】の宿舎であった。守衛に話を通すと、しばらくしてキリッと目のつり上がった男がやってきた。

彼は依頼人のクックです。話に応じて以下の情報を提供します。
・私の名前はクック。しがない料理人だ。
・先日の旅行中、知り合った食通の駅員から面白い情報を手に入れた。
・彼女はなんと、"魔神料理”を食べたことがあるようだ。
・幸いなことに、それを再現するマジックアイテムも貰った。
・これを使って、一番活きの良いエルビレアを捕まえてきて欲しい。
・知り合いの教授によると、黒点海域の一部には、やけにエルビレアが多い場所があるようだ。そこに向かうことをオススメする。
・船についての準備は概ね出来ている。港に向かうと出発できるだろう

以上の情報を提供した後、彼は【食材保存の札】を3枚提供してくれます。戦闘終了後、魔神に札を使用すれば1週間ほど肉体を保存できます。またこれを貼った食材は掌サイズまで縮小されます。GMやPLが取り扱う際は大雑把に処理してください。

情報は以上です。黒点海域に到着したシーンに進んでください。

4.3 黒点海域にて

PCたちは万全の準備をし、船を借りて黒点海域までやってきた。2日ほどの探索の結果、エルビレアのいる地域の特定に成功。どうやら【奈落の魔域】が原因だったようだ……。目の前には、海に大きく口を開ける【奈落の魔域】がある。大物のエルビレアもここにいるかもしれない。

PCたちは諸処の探索を終えて、この【奈落の魔域】目前までたどり着きました。もしPCたちの冒険を演出したいのであれば、2d6を振って、表の通りの冒険をしたことにして構いません。

冒険の内容
2:船が故障し、修理に時間がかかった。
3:突如現れた蛮族の集団に襲われた。
4:渦潮に巻き込まれそうになった。
5:海面に巨大な魚影が現れ、船が大きく揺れた。
6:海を漂流する巨大な魔物の死骸を発見した。
7:航路は穏やかで、特に何も起こらなかった。
8:幸運にも漁師と出会い、周辺の情報を教えてもらった。
9:黒点海域に生息する珍しい海洋生物を目撃した。
10:強い潮流に乗ることができ、予定よりも早く目的地に到着した。
11:海底から謎の光が放たれているのを目撃した。
12:航海中、宝箱を発見した

冒険者たちが意を決して【奈落の魔域】に飛び込むと海中とも、洞窟ともつかない異空間に出ます。
頭上には黒い不気味な光が揺らめき、足元には赤い何かが敷き詰められています。それは甘い香りがし、ネチャネチャと粘着質です。壁は小麦粉のような色をしており、ほんのりと湿っています。なお、食べると甘いです。
先に進むと、シーンが変わります。

4.4.デセール(デザート)

PCたちが足を進めると、急に香ばしい香りが風に乗って運ばれてきます。そのまま進むと小部屋が開けており、目の前には紅茶と菓子を摘まむ紳士の姿があります。「おや? 冒険者かね?」

 このあからさまに怪しい紳士は「"三ツ星狩り"グラダンダム」という魔神の変身した姿です。(詳細はプラネスセオルギア、95頁)
 彼は魔神バラカンプク(ド博127頁)の上位種であり、今回のボスである"料理好き"のエルビレオンの先生です。教え子の料理の味を確認するために、この【奈落の魔域】に出向いています。なお、料理は落第点だったため、やり直しを命令してこの部屋で小休憩しています。

 彼は客として来ているため、何をされても本シナリオで戦うことにはなりません。しかし、もしPCの中に料理が得意な者がいれば舌なめずりをして目を付けるかも知れません。ともあれ、以下のような情報を聞けます。
 なお、彼は常に陽気な口調で話します。
・ンー!私はただの客、不詳の弟子が料理を見て欲しいというから来ただけですネ!
・トレビア~ンな、この魔域には関係ないですネ。私と、アナータたちg戦ったとしても無意味ですナ!
・ワターシは"美味しい料理人"を求めているのデス!
・彼もそうなれればいいと思っていましたガ……君たちが来たということは潮時ですネ!!
・私は去ることにしまス!それと、この魔域はフルコースを象っていまス!もし興味があるなら、各階層の食材も食べてみると良いでショウ。少しは楽しめるでショウ!!
・ア・ビネント!!(また会いましょう)

そうして彼は部屋から消えてしまいます。なお、机に置かれた紅茶と菓子を食べるのであれば、生命抵抗力・精神抵抗力判定に1日の間、+1のボーナスを得ます。

この部屋は以上です。

4.5.肉料理(アントレ)

むわり、と熱気が漂ってくる。冒険者のたどり着いた部屋は、レンガで囲まれた料理室であった。部屋の中心に大きな鉄板が置かれ、肉が焼かれている。それを料理しているのは___魔神達だ。

この部屋では、肉料理を魔神が料理しています。魔神はグルネル(ML198頁)とザルバード(Ⅲ、428頁)です。見た目からは解りませんが、遭難した人間の漁師を材料に、肉料理を作っています。
奇襲をしかける場合は、【隠密判定:15】を行ってください。成功すれば、先制判定に+2のボーナスを獲得します。

前線
・グルネル×1(胴体に剣の欠片+2)
・ザルバード×1

戦術:グルネルは魔法と魔力撃を交互に使用してきます。ザルバードは弱ったPCにひたすら「炎の息吹」を使用してきます。

PCたちが魔神たちを倒すと、この部屋の熱さは消えて、安全に探索できるようになります。周囲を探索することが可能です。以下の判定が行えます。

【探索判定:14】
成功すると、保存食として使える【ギガントボアのコンフィ(50G/赤A)】と漁師の使っていた【トライデント(スピアAランク)】を発見できます。

【文献判定:15】
成功すると、料理のレシピを発見します。ステーキのレシピのようです。
「『特上ヒレ肉(双脚羊)』に血のソースを加え、15分じっくり炒める」
「肉を処理する際は、全体を叩き、柔らかくする」
「切り分けた肉は、第四層で2日寝かせると、ほどよく熟成される」
もし【見識判定:13】に成功すると、材料が人間であると解ってしまいます。
レシピ自体は貴重であり、300Gほどでギルドに渡せますが、どうするかはPC達に判断させましょう。

この部屋は以上です。

4.6.ソルベ(口直しの氷菓子)

その部屋は先ほどと、うってかわって寒かった。氷の塊が所々に安置され、中に肉塊が見える。部屋の中央には巨大な皿があり、その上にはアイスが盛られていた。

この部屋は氷室になっています。以下の判定を行うことが出来ます。

【異常感知判定:16】
成功すると、中央のアイスの中に、無数のグラスランナーが埋め込まれており、彼らの顔には苦悶の表情が浮かんでいることが解る。もし【食材保存の札】を使用するのであれば、アイスは縮小されて懐にしまうことが出来る。彼らは死亡してはいるが、遺品などを遺族に届ける事が出来る。その場合、PC1人当たり1000Gの追加報酬が発生する。

【宝物鑑定判定:14】
成功すると、壁の所々に「魔晶石(5点)」が生成されているのが解る。
1d3個の魔晶石を、パーティは獲得する。

この部屋は以上です。

4.7.ポワソン(魚料理)

次の部屋は巨大な水に囲まれていた。頭上には、深海のような深い水が広がり、時折、何かの影が横切るのが見えた。周囲の壁には、巨大な魚の骨や、歪んだ甲殻類の化石が見える。

この部屋は骨を捨てる場所になっています。また水は魔法で宙に浮いており、出入りを妨げるものはありません。以下の判定を行えます。

【探索判定:12】
骨塚の中から、「魔力を帯びた骨(250G/赤A)」が1個見つかる。

【探索判定:14】
骨の山に隠れるようにテーブルと魚料理を見つける。どうやら、白身魚を煮込んだもののようだ。食べることで1日の間、命中力判定に+1のボーナスを得る。

【危険感知判定:15】
水の中から巨大なウミヘビが襲いかかってきた!
判定に失敗すると、先制判定に-2のペナルティを受ける。戦闘開始だ。

前線
・シーサーペント×1(全部位に剣の欠片+1)

戦術:頭部は「牙」と「火炎の息」を交互に行います。また胴体はランダムな対象に攻撃します。
シーサーペントは身体の大半を水の中に沈めているため、地上でのペナルティはありません。PC側も特にペナルティ無しで攻撃できます。

戦闘が終了すると安全に先に進めます。このシーンは以上です。

4.7.スープ

次の部屋は、今までとうってかわって明るかった。その上、とても温暖な気候で休憩に適している。中央には美しい泉があり、コンコンとコーンポタージュが湧き出している。周囲には柔らかな香りが満ち、疲れ切ったPCたちの食欲をそそる……。

ここでPCたちはこのコーンポタージュを飲むか判断出来ます。丁寧に泉の縁には木製のコップすら置かれています。
飲まなければそのままボス戦に入ります。もし飲んだ場合、6時間睡眠したものと同じだけの効果(HP2割の回復、MP全回復)を得れます。また、1日経過しなければ使えない種族特徴なども使用可能になります。

【探索判定:13】
泉の近くに落ちたメモを見つける。学者か研究者のもののようだ。
巨大なエビの魔神について解説されている。ボス戦闘時、『エルビレオン』の魔物知識判定に+2のボーナスを得る。

この部屋は以上です。

4.8.オードブル(前菜)
【奈落の魔域】の最深部、ついにエルビレア達を見つけた!
しかし、様子がおかしい。というのも、彼らはカットされた新鮮なサラダの上に乗せられて微動だにしないのだ。それを不思議に思っていると、怒声が聞こえてくる。
「えぇい!愚か者どもめが! これでは我が師の望む料理に達さんぞ!!」その声の主は、大きなハサミでサラダとエルビレアの皮を剥いている。巨体からと振る舞いから、【奈落の魔域】の主であることは想像に難くない。
「スンスン……うむ…? 肉の匂いがする。
誰だ、この前菜の部屋に肉を持ちこんだ者は!!  許さんぞ!!」
そして冒険者たちの存在がバレた。こうなれば戦闘は避けられないだろう。

前線
・エルビレオン×1(全部位に剣の欠片+2)
・エルビレア×(PC人数)
エルビレオンはプラネスセオルギア、91頁。エルビレアはⅠ、469頁です。

戦術:エルビレオンの頭部は「海老塵の陣→顎による攻撃→海老迷の陣→顎による攻撃→海老転の陣→顎による攻撃」を繰り返します。胸部は「十脚目の儀式」の条件を満たすエルビレアがいれば儀式を、いない場合は爪による攻撃が行えます。腹部は常に「足払い」を行います。
エルビレアは、ランダムな対象に攻撃します。

エルビレオンが倒された場合、エルビレア達も即座に倒されて消滅します。これは彼らがエルビレオンに召喚された存在であり、支配権を完全に握られていたためです。

無事に戦闘が終われば、「食材保存の札」でエルビレオンやエルビレア達を保存することが出来ます。これを依頼人まで持って帰れれば、シナリオ終了です。
PC達はさらに先の【奈落の核】のある部屋に進むことが出来ます。

4.9.アミューズ(小品)

ついにたどり着いた最奥部。そこには【奈落の核】が安置されていた。さらに周辺には、香り高い葡萄酒で満たされた瓶が。いくらか持って行けば金になるだろうか。

【奈落の核】を破壊すれば、無事に脱出することが出来ます。また周囲の酒は【宝物鑑定判定:15】に成功すれば、1000G相当の一品を持ち帰ることが出来ます。

PCたちが魔域から抜け出せば、依頼人の元に戻ることになるでしょう。次のシーンに進んでください。

4.10.エンディング

「なるほど。それで無事に帰ってこれた、というわけか」
無事にハーヴェスに帰還した冒険者たち、依頼人のクックは貴方た喜んで出迎えてくれた。無事に材料は渡し終え、報酬も貰った後だ。
「さて、魔神で作った料理、どうなることか」
彼はそう言って、魔神で料理を作り、実け……記念すべき最初の客としてPCたちを選んだ。クックの試作したオードブルはエルビレアのサラダにレモンを添えたものだった。ちょうど魔域で目にしたような。

「ふふ、文献ではこれが一番良いとあったんだ。料理の達人グラダンダムのレシピだから間違いはないはず……!!」

少し不穏な言葉を耳にしながら、冒険者達は料理に舌鼓を打つ。
それは……忘れられない味だった。
どう反応するかはPCたち次第だが、ともかく忘れられない味だったのだ。

これにてソード・ワールド2.5「奈落のオードブル ~エルビレアのサラダ、レモンを添えて~」終了です。お疲れ様でした。

5.リザルト

経験点:1580点(4人PL想定の場合)
報酬:4000G+戦利品
名誉点:10d6
成長:1回

6.あとがき

そどわわ!!初めての方は初めまして、DKPと申します!!
今日、家に帰宅してからTwitterを見てみると、投げたいと思っていたシナリオ企画がなんと今日!?急いでシナリオを作成しはじめ、2時間32分経過した所です!!何とか完成しました!

このシナリオは「#TRPGシナリオオードブル」という素敵な企画に参加しています。主催んの方々がいなければ、この作品は生まれることはありませんでした。素晴らしい機会をくださった運営の皆さんに感謝申し上げます。

また、同人誌「プラネスセオルギア」もなければ、オードブルと結びつけたこのシナリオは生まれなかったでしょう。同人誌からたくさんのインスピレーションをいただきました。作成いただいたりんさん、本当にありがとうございます。

急ぎ足での執筆となりましたが、このシナリオが皆様のラクシアでの冒険の、ささやかな彩りとなれば幸いです。もし楽しんでいただけたら、ぜひ感想をいただけると嬉しいです!(っちゃけ穴が多いかと思います。何とか後ほどテストプレイをして修正したいものです。)

それでは、良きソドワライフを!

文責:DKP

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DKP TRPG。中でも特に『捏造ミステリーTRPG赤と黒』が非常に好きです。