俺にTHE HIGH-LOWSを語らせてくれ (THE HIGH-LOWS編)
それじゃあ今回からオリジナルアルバムをリリース順に解説していきます。
本当は8枚全部書き終わってから定期的に投稿しようと思ったんですが、量が膨大すぎて全部終わるのマジで夏すぎくらいになりそうだったし、何度も読み返してると目も疲れてくるし、その他にも色々不都合なこと多かったので、出来たら都度投稿にシフトチェンジしました。
いやあ、本当に書いても書いてもおわんないんですよ。びっくりしました。こんなに先に進まないことあんのかよって感じです。
あとヤフオクで当時の資料としてインタビュー記事が載ったロッキンオンとか買って読んでるんですけど、読み物としてめちゃくちゃ面白いですよね。今は本屋で見かけても基本手に取ることなんかないですからね、ロッキンオン。
内容の前にまずバンド結成後の彼らの動きを簡単に紐解いていきます。
まず彼らは95年7月9日に日比谷野外音楽堂で行われたイベントのシークレットアクトとして初ライブを行います。
マーシーの「やるよー!!!!!」という叫びで演奏が始まり、そのままものすごい動きでステージに飛び出してくるヒロト。ブルーハーツ後期と比べると目がめちゃくちゃギラギラしていて、マジで一回生まれ変わりましたくらいの勢い。どんだけブルーハーツ嫌だったんだよ。ヒロトだけでなく他のメンバーもかなり気合が入ってるのが分かります。
ちなみにこの一年前にブルーハーツとして同じ野音でライブをやってますが、まさか一年後、こんなことになってるとは本人たち含め誰も想像していなかったことでしょうね。
そして夏から秋にかけて学園祭やその他様々なイベントに出演したハイロウズ。9月5日には下北沢QUEで初のワンマンライブが行われます。2曲目が終わった段階であまりに盛り上がりすぎ将棋倒しの危険があるためライブが中断するという物々しい雰囲気。
そして10月25日。ついに1stアルバム「THE HIGH-LOWS」、そして1stシングル「ミサイルマン」を同時リリースして鮮烈なデビューを飾ることになります。

少なからず「ブルーハーツの延長」みたいな曲を期待していたファンもいたと思うんですが、蓋を開けてみるとそれとは全く違う作品が出来上がってました。言葉で表現するならすなわち「ブルーハーツからの離脱、そして否定」です。
とりあえず深いメッセージ性は無いんですよ、いやマジで無い。歌詞の深読みとかしなくていいんで。好きに解釈してくださいね。てか俺らもうブルーハーツじゃねー、リンダリンダもぜってーやんねー。
もちろんそんなこと誰も言ってないんですけど、ブルーハーツを解散させた後のピリピリした雰囲気がめちゃくちゃ伝わってくるアルバムです。ブルーハーツとはもう距離を置いて一から新しいバンドをスタートさせたヒロトとマーシーの挨拶がわりのような雰囲気もあります。
そんであまりにもブルーハーツのこと聞かれすぎてマーシーもインタビューで普通にキレてます。
あとはバンドとしての音ですね。ブルーハーツからリズム隊が変わったことにより、音が格段にデカく分厚くなり、そしてハードロック的なうねりが出てて、技術力だけで言ったら軽く10倍くらい上がってます。もちろん上手い=良いというわけではないんですが、ハイロウズのパワフルな演奏力の要になってるのは確実にこのリズム隊なんですね。
それではここから曲紹介に移ります!
1.グッドバイ (作詞作曲:真島昌利)
デビューアルバムの1曲目からいきなり別れの歌という衝撃。ヒロト曰く「気のきいた挨拶」とのこと。歌詞カードには載ってないですが、「サヨナラする ダサい奴らと」とも歌われています。のっけからブルーハーツとの決別を宣言。こういうのは最初に言っておくに限ります。だけどそれらに対しても「今までありがとう 本当にありがとう」としっかりお礼を言う律儀なところが俺は好きです。
ちなみにリフはT-Rex「Laser Love」から引用してます。
2.ママミルク (作詞作曲:真島昌利)
冒頭のサヨナラ発言で困惑したファンを更に突き放すBo Diddleyちっくなビートが鳴らされるブルージーなロックンロール。これ、めちゃくちゃ格好良くないですか。おそらくやろうと思えば永遠と演奏できそうなジャムセッション的な曲。ピンと張り詰めた緊張感の中にも楽しさや遊び心があります。
話の本筋にあまり関係ないですけど、俺がBo Diddleyで1番好きな曲を貼っておきます。
3.ミサイルマン (作詞作曲:甲本ヒロト)
アルバムと同時に発売された1stシングル。攻撃的なリフとハードロック的な分厚いギターサウンド。ブルーハーツを期待するファンもこの辺りで「あ、もうブルーハーツじゃないんだ」とうっすら理解するかも。サビの「なんか食わせろ」からの「そんなもんじゃねえ」という理不尽+逆ギレコンボがめちゃくちゃ面白いです。ヒロトの細けぇことはどうでもいいんだよ!!!というロックの衝動性を強く感じます。
4.BGM (作詞作曲:甲本ヒロト)
これも絶対にブルーハーツでは出来ないであろう曲。生き方を選ぶときはBGM!とまさにDon't Think Feel的な精神。この曲ではハイロウズにおける白井さんのキーボードの重要性や貢献度がものすごくわかります。めちゃくちゃカラフルです。
5.ジュー・ジュー (作詞作曲:真島昌利)
ジューとは「自由」のこと。昔聴いた時は特に印象に残らない曲でしたが、久しぶりに聴いたらまさにブルーハーツからハイロウズへ生まれ変わり、俺は今何をしたっていいんだよ!という開き直りというか決意みたいなものが感じられます。
昨日はお金を燃やした
燃えるのが見たかったから
リフはThe Who「I Can't Explain」のオマージュっぽいです。
6.ツイスト (作詞作曲:甲本ヒロト)
ヒロトによるゴキゲンなダンスナンバー。ブルーハーツにも「君の事笑う奴はトーフにぶつかって死んじまえ」と聴き手を徹底的に肯定する「ダンスナンバー」という名曲がありますが、こっちはもっと単純で好きなように踊ってくれよといういい意味で何も考えてないところが最高です。まあダンスナンバーはマーシーが作った曲ですが。
7.スーパーソニックジェットボーイ (作詞作曲:真島昌利)
もろにストーンズのJumpin' Jack Flashな、マーシーによる初期の代表曲。ぶっ飛ばしてぶっ飛ばしてぶっ飛ばす!と超単純明快なロックンロールの原点が詰まってます。
色々と勝手なことばかり抜かす連中に対してうるせー黙れどっか行けやくだらねー俺はやりたいようにやるんだよ!!!!!と言っているような、ハイロウズに生まれ変わったマーシーの覚悟みたいなもんが見えます。
もうロックが死んだんなら
そりゃロックの勝手だろ
8.なまけ大臣 (作詞作曲:真島昌利)
このアルバムでのマーシーは「これからは自由にやりたいようにやる」という筋が通った意思表示があります。この曲も
やりたくない事は やりたくないんだ
やりたくない事は やめればいいんだ
面倒な手続きなしで
という具合に一貫してます。
なのにサビは「ゴロゴロゴロゴロ ゴーロゴロ」ですからね。この脱力感がハイロウズっぽいです。
9.ヤ・バンバ (作詞作曲:甲本ヒロト)
マーシーが明確に「俺はやりたいようにやるぞ!」と宣言しているのに対して、ヒロトの作った曲はもっと原始的な衝動があります。敢えて言葉にするなら「歌詞の意味もよく分からない。よく分からないけどなんか説得力がある」みたいな感じです。ミサイルマンでもあった理不尽な逆ギレ感がこの曲にも感じられます。サビが
バンバン ヤバンバ 下品な連中を
バンバン ヤバンバ 蹴散らせ ヤバンバ
バンバン ヤバンバ うるせえババア クソババア
バンバン ヤバンバ うるせえジジイ クソジジイ
です。なんやねんこれ。
10.ビッグ・マシン (作詞作曲:甲本ヒロト)
端的に言うとセックスの歌です。
オイルとガソリンと 空気が燃えちゃった
キューリとサクランボ オイラの遊びぐせ
歌詞もサウンドもブルーハーツを期待するファンをふるいにかけまくってる感さえ伺えます。
あと多分自分だけが感じてることだと思うんですが、イントロがOasisの「Hello」に似てる気しません?
ちなみにOasisのモーニンググローリーは1995年10月2日リリースで、ハイロウズの1stと同じ月に発売してるんですね。へぇ〜。
11.バナナボートに銀の月 (作詞作曲:真島昌利)
ハイロウズ初のマーシーボーカル。ミドルテンポのどっしりした楽曲で、ヒロトのブルースハープがビリビリと鳴り響きます。ブルーハーツで言うところの「俺は俺の死を死にたい」みたいな雰囲気がある楽曲です。
俺はマーシーの「なんかよく分かんないけどすごいぞ!」と言う文学的な歌詞がめちゃくちゃ好きなんですけど、
想像力は浮かんでる
キチンとキッチンの上に
って歌詞が字面だけ見ても最高です。
12.日曜日よりの使者 (作詞作曲:甲本ヒロト)
ここまで色々ありましたが、遂に最後の曲になります。おそらくハイロウズでも1,2を争うくらい有名な曲です。
今までの喧騒が幻だったんじゃないかというくらいのんびりしたカントリー調の楽曲で、2004年に哀川翔主演映画「ゼブラーマン」の主題歌に起用され、そのままシングルカットされたりしてますね。普通にめちゃくちゃ良い曲です。
当時のインタビューを読むと、この曲はレコーディング当日にヒロトが持ってきて、ちょっと録ってみるかと軽い気持ちでやってみたらすぐに出来てしまったらしいです。マーシー曰く「インスタントに炸裂するその場ノリの炎のアコースティック・ギター・ソロ」。
ちなみにヒロトは2010年1月21日に新代田FEVERで行われたBO GUMBO3のライブにゲスト参加し、メンバーからリクエストされこの曲を歌っています。
それが一体なんなんだよと思う方もいると思いますが、これは間違いなくめちゃくちゃ大事件なんですよ!!!
まずそもそもにしてヒロトもマーシーも以前やっていたバンドの曲をほぼ歌わないんです。そこら辺は彼らの「今は違うバンドをやってるから」というそれ以上でもそれ以下でもない理由が根本にあると思うんですが、まあマジで歌わない。
BO GUMBO3のライブの際も演奏前に「この曲をやると盛り上がるんだそうです」「心を無にして歌ってみたいと思います」とちょい複雑な心境だと前置きしてから熱唱しています。なのでレコーディングの時のエピソードも含めて、個人的にハイロウズというよりヒロトの持ち曲的な立ち位置の楽曲に思えます。
あとはですね、
適当な嘘をついて その場を切り抜けて
誰一人傷つけない 日曜日よりの使者
という歌詞が超優しすぎて泣けてきますよね。ここめちゃくちゃ好きです。
とりあえず1stアルバムについては以上です。
このアルバムからは一貫して彼らからの「ブルーハーツはもう終わりました」という宣言が見てとれます。
マーシーが大島賢治(おーちゃん)をドラムに誘った際、「俺、パンクとかできないよ」と言われたことに対して「いや、ロックンロール・バンドがやりたいんだよ」と返したことから、ハイロウズはブルーハーツではやりたくてもやれなかったことをやるために、そしてジャンルにとらわれないことをやるために始まったロックンロールバンドだということが分かります。
というわけで今回はここくらいで終わります。次回は2ndアルバム「Tigermobile」を中心に、97年くらいのハイロウズを取り巻く環境やその他諸々を解説していきます!じゃあ!
