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【考察】失恋カルタ第1話:4年間の恋を物語る「枯れゆく花」の演出

『失恋カルタ』1話は、まるで花屋の図鑑のように、愛の温度を花で語る物語だった。

期間限定の配信ですので、ぜひお早めに見てみてください。
※TVerの配信期限が過ぎると動画は視聴できなくなります。



千波(梅澤美波さん)と野崎(阿部顕嵐さん)が、千波のバイト先の花屋で出会う4年前の冒頭シーン。

千波が倒してしまったお花は、ピンク色のカーネーションとスターチス。

カーネーションの花言葉は『深い愛』、スターチスの花言葉は『変わらぬ心』。

「永遠に変わることのない深い愛」という究極な愛の誓いのような組み合わせ。

出会いの瞬間に、永遠を象徴するこの花たちは地面に倒れていた。
そして、その花を拾い上げたのは野崎の方だった。野崎から動き出したようなこの恋に、愛し続けようとしていたのは、千波と野崎のどちらなのだろうか。

これは、二人の恋がどれほど情熱的に始まっても、いつか終わりが来るという残酷な予兆を、最初から視覚的に示していたのではないか。

また、スターチスは枯れても形が変わらない花である。
「愛(カーネーション)は萎れても、その記憶(スターチス)だけは色褪せずに残ってしまう」という失恋の消えない痛みを予感させている組み合わせでもありそうだ。

物語が進むにつれ、部屋に飾られる花は変わっていく。

2人の生活がまだ瑞々しかった頃。部屋に目立つのは黄色のフリージア。

フリージアの花言葉は『無邪気』『期待』『純潔』。
お互いのことがただ純粋に好きで、明日という日に何の疑いも持っていなかった、幸せな時間の象徴のようだ。

その後、暖色のライトに包まれたピンク色のラナンキュラスが目を引く。

ラナンキュラスは『飾らない美しさ』というニュアンスも持つ花だ。

1年、2年と時間を重ねて、お互いの素の部分が見え始めたが、それでもなお「相手が魅力的でたまらない」と感じていた、恋が一番熱を持っていた時期を象徴しているのではないか。お互いの生活が深く食い込み、肌の温もりが伝わる距離にいた、あの頃。

しかし、ラナンキュラスは満開を過ぎると、その重すぎる花びらの重みで首を垂れやすい花でもある。その「重さ」が、後の関係の重荷に繋がるという、切ない対比にも見えてくる。


そして、出会ってから4年後、野崎が千波に別れを告げる食卓のシーン。
そこにあるのは、萎れた白いアルストロメリア。

アルストロメリアの花言葉は『持続』『未来への憧れ』。
皮肉にも、二人の関係が「持続」してしまったことそのものが、今の苦しみを生んでいる。
愛が冷めても、生活という習慣だけが惰性のように続いてしまったことの象徴である。

また、本来は前向きな意味を持つ花だが、あの萎れた姿で置かれていることで、「もうここには新しい未来への期待なんて残っていない」という、逆説的な絶望を感じさせられる。

「持続」という名を持つアルストロメリアが、あんなにも無残に萎れていたのは、一人が向き合うのをやめ、もう一人がその変化に甘えていた結果だろうか。


「前から考えてたんだよ、ずっと。俺、千波の理想の彼氏になれない」と告げた野崎と、
「言ってくれたら直せたよ、それくらいのことなら」と心で泣いた千波。


枯れてから水をあげても花が戻らないように、彼女がその異変に気づいたときには、二人の関係は修復不可能なほど「鮮度」を失っていたのだ。

その決定的な温度差が、萎れた花びらのカサカサとした質感を通して、痛いほど伝わってきた。

冒頭に倒れていたカーネーションとスターチスは、ずっとここに繋がっていたのだ。


しかし、千波の物語はそこで止まらない。
野崎と別れてから、千波は新しい彼氏と過ごしていた。

そんな彼からの別れ話。食卓の2人の間に、一輪の白いチューリップが置かれている。

白いチューリップの花言葉は、『失われた愛』『失恋』。そして、『新しい恋』。

複数の花がまとまって咲くアルストロメリアが「萎れた関係」だったのに対し、ピンと立った一輪のチューリップは、決意の固さや、もう交わらない個々の存在を強調しているようにも見える。

一輪だけだと、嫌でもその花に目が向く。
別れ話という重い空気の中で、その場の「一対一」の緊張感や沈黙を、この一輪が引き受けているような——凛としているのに、どこか寂しい。

千波の笑顔と、その傍らにある一輪の白いチューリップ。この対比が、切ない。

そして、彼女が新しく選んだ白いチューリップまでもが、また色を失った。


次回の記事では、劇中のセリフにある「句」に焦点を当ててみたいと思います。
私自身の経験とも照らし合わせながら、あの言葉たちが物語る本当の意味について、考えていければと思います。

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