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施設に入所の義母のために、何がいちばん良いのかを考える。

7月から介護施設に入所している義母にとって、何がいちばん良いのかを、夫と時々話す。

先週、久々に会った義母は元気だった。

コロナで中止になっていた、居住スペースでの面会が再開されて、今回は初めて、居住スペースでの面会となった。

義母の居る二階へ、夫とあがっていくと、リビングで皆静かにテレビをみていた。

部屋は四人部屋。
カーテンで仕切られた、廊下側の一区間が義母の部屋だった。

面会は前もって予約することになっているので、義母は部屋で待機してくれていた。

職員さんが、私たちの椅子を持ってきてくれた。

なんでも、部屋を移動してきたばかりだと言っていた。


周りは、ショートステイの方もいらっしゃるし、窓際からは光が差し込むし、使用可能な家具もまちまちなので、皆平等に過ごせるように、考えてくださっているのだろうか。


義母がベッドに腰かけて、会話は始まった。


義母さん、ちゃんと食べ物食べてる?

会話に困ると、私はまず、食べ物のことを聞くことにしている。


食べ物は美味しいよ。
おやつも、ほんのチョイっとでるし。

ほんのチョイっとや。


おやつの量に不満そうだったが、食欲はアリアリのようだ。


よかった。それが一番やで。よかったなぁ。

と返したが、義母の言いかたからすると、あと10年位は大丈夫ではなかろうかというのが、夫も感じたところだ。


そう。うちに居ても、栄養管理が行き届いた高齢者向けの食事なんて、作られへんしええやん。

それは、私が加えて思ったところ。


この間は、老人施設へお試しでお泊りに行って、夜中にトイレが分からないおばあさんに、トイレを教えてあげたんやで。


そら、おばあさんも、随分心細かったと思うし、ええことしたやん。
喜んでくれてたやろ。


「空き」がでたら入所予定の、同じ施設内の老人施設でのできごとを、自ら話してくれた義母。


日常では、他の入所者の方と話すこともあるし、「連れ」もできたと言っていた。


私ら夫婦と居るより、同世代の方も含む、いろんな人に囲まれている方が、義母さんにはいいと思う。

自分を律することができる。


前回の面会の時より、さらに表情も足取りもシャンとした感じの義母を見て、私はそう思った。


我が家は、隣近所の人とさえ、めったに会うことのない、いわば閉ざされた空間。

もともと、車を運転出来ていた義母にとっては、私とは感じ方もちがうだろう。

ポツンと一軒家ほどではないけど、隣近所とは随分はなれている。

私たちと比べても仕方ないやん。
義母さんは、実際の年齢にしては、しっかりしているよ。


施設に入所前に幾度となしに言ったけど、納得しない様子で、気分の落ち込みようはすごかった。


わしゃあ、ここだけは、もうアカンねん。

自分の頭を指さし、今回もそう言っていたけど、そこまで落ち込んでいる様子はなかった。

だいじょうぶ。
自分でそう言っている間は、全然大丈夫やで。

そう返したが、感情に波があることは、想像できる。

先日、面会に来てくれた近所のおばちゃんには、「もう死にたいねん」と、言っていたそうだし、私たちにも、前の面会の時には言っていた。

わし家に帰っても、何もようさせてもらえやんし・・・。


ことばに詰まる場面もあったが、何より、自分が大事にされていると感じていることは、幸福感につながるのではないか。


山へ紅葉狩りに行ったり、近くの寺を散策するときには、職員の方たちが、それはそれは親切にしてくれたそう。


最後に、親指と中指で「まる」を作って、夫に「お金」を要求していたけど、終始、和やかな雰囲気で面会を終えた。


どちらかというと、ぶっきらぼうに話す夫に比べ、滑らかな口調で会話が出来たのは、義母とわたしが、程よい距離感で居ることが出来ているからであろうか。


ひとつ屋根の下で生活を共にしていると、いろんな事が起きる。


「正月、どうするん?一時帰宅させてあげるんやろ?」


「考えとくわ」


義姉からの問いかけに、そう返しながら、実は考えていない夫。


帰ってくるとなると、便所の場所から、入浴の際のシャンプー、コンディショナー、石鹸の区別など、一からやりなおしだ。

洗濯機も回せないし、何しろ、空調設備は完ぺきではない。
風通しのよい建物であるが故に、一歩部屋を出ると寒いし、トイレは遠い。

心の拠り所としていた、亡くなった義父とは、ふたたび向き合わなければならないかもしれない。


それに・・・。

よかれと思ってしたことが、良からぬ事態を招くということもある。

本人の性格などにもよるが、施設に入所の高齢者を帰省させるのは、いろんなケースを招くこともあるということを、身近なところで夫は聞いてきた。


余生を施設で過ごすと決めて、ある意味腹を括ったとみえた義母を呼び戻すのは、困難を招く。

私たち夫婦は、そう考えている。


どうせやったら、姉ちゃんが家に連れて帰ってあげたらええねんなぁ?!
それとも、こっちに来て、おかちゃん(お母さん)に、つきっきりでいてくれたらいいねん。
日当も渡すっていうてるのに。


あんなところへ入所させるのは、可哀そう。


面会に行くたびに、義姉に聞かされる夫は、そのたびに私にボヤく。


おかちゃん(お母さん)の通帳やら、必要なもん、全部渡すから、ねえちゃんが面倒見たらいいねん。

ねえちゃん、3月から仕事せえへんねんし。

子供も自立して部屋も空いてるし、ちょうどええやん。


言うと黙るというが、私もそれが一番いいと思う。

ご主人のお母さんのことも、「同居」ではないにせよ、他の兄弟が見てはるっていうやん。

それが一番いいと思うで。

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