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【映画感想】陰謀論は単なる妄想なのか——ヨルゴス・ランティモス『ブゴニア』を観て

哀れなるものたちで一躍有名になったヨルゴス・ランティモス監督の最新作『ブゴニア』を観てきましたー!

https://gaga.ne.jp/bugonia/

監督:ヨルゴス・ランティモス
製作:アリ・アスター&『パラサイト 半地下の家族』の製作陣

この名前の並びを見た時点でどんな方向性の映画なのか、大体想像できると思います。実際にその通りです。独身のままでいると動物にされちゃう世界の『ロブスター』や、カルト宗教にのめり込み自分を見失う女性らを描いた『憐みの3章』などの "狂気の世界" を連発するランティモス監督らしい世界観の作品でした!


SFコメディが原作だが、笑えない


とは言えこの映画、オリジナルではなく2003年の韓国のカルトムービー「地球を守れ!」のリメイクなんです。原作の説明はSFブラックコメディとあるので、本作もコメディタッチなのかと思いきや、一つも笑えるところはなかったー。むしろ「やばさ」全開。陰謀論を信心し、狂乱していくテディ役のジェシー・プレモンスの演技が真に迫っていて、めちゃ怖かったです。
加えて、自分の頭を銃で撃つ、人の頭をスコップで叩き潰す、爆発で頭が飛ぶ、という "頭部を集中攻撃するホラー表現”。この部分は、アリ・アスターのディレクションかなと思いました。

https://gaga.ne.jp/bugonia/

👆 陰謀論にどっぷりハマる養蜂家のテディ。製薬会社の社長でセレブのミシェル(エマ・ストーン)のことを人類滅亡のために地球侵略したエイリアンだと信じて疑わず、それを阻止することに人生すべてを賭ける。テディのその執着心と狂気の沙汰が、ジェシー・プレモンスの風貌と相まって恐ろしかったです~

https://happinet-phantom.com/a24/civilwar/

👆 2年前の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』でのジェシー・プレモンス。”What kind of American are you?" と迫る恐怖の赤眼鏡男。やばい人役がすっかり板についてきました。

一方、テディに地球侵略を企てるエイリアンだと決めつけられるカリスマ経営者のミシェルの方も、腕っぷしが強くて尋常ではないのですが。。


陰謀論は「妄想」なのか?


世にはびこる陰謀論って、それを信じたい人たちが都合よく情報をかき集め構築しているきらいがあります。テディも自分の母に起きた悲劇がきっかけとなって被害妄想が膨らみ、陰謀論に傾倒していったのです。
ただ、この作品ではそうした陰謀論が、ただの思い込みとは限らないことも示唆しているように思えました。陰謀論を信じて暴走するテディを愚かに思いながらこの映画を観ていた私たちも、ある意味で思考停止に陥っているのかもしれません。

最近のことで言うと、エプスタイン文書で次々と著名人の名前が挙がっていますよね。彼らが少女買春に関与していたかはさておき、私たち庶民の知らないところでそんな派手な社交やお金の融通が行われていたかと思うと、陰謀論めいたことは案外実在するのかなとも思います。もしかしたら、そうした世界と無縁の平凡な暮らしの方が、よほど幸せなのかもしれないです。


もう一つの見どころ:建築


この映画の見どころは、もう一つあります。
それは、ミシェルの会社のオフィスと彼女の自宅です!

https://gaga.ne.jp/bugonia/
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両方ともミース・ファンデルローエ的なモダニズム建築。カッコよかったです。最近、仕事で富裕層の住宅のデザインを調べているので参考になりました。広大な敷地だからこそ可能なガラス張りの造り。ただ、ミシェルは簡単に誘拐されてしまったので、家のセキュリティはもっと強化した方が良いなと思いました。高い塀で囲ってSP置くべきですね。

👇 オフィスは、イギリスのここみたいです。作中で見られたガラスパーティションのクールなワークステーションなどは、舞台美術ですね。

https://www.botanica-dittonpark.com/

これから観られる方もいらっしゃると思うので、極力ネタバレしないように感想書きました。格差社会や、従兄のテディしか頼れる人がなく居場所のないドンの存在が示す生きづらさなど、昨今の社会問題も映し出していたと思います。そして、映像も美しかったです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。(o^∇^)ノ

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