見出し画像

美瑛の丘

新聞の夕刊に、北海道美瑛町の話が載っていた。
朝日新聞2026年7月2日夕刊

移住した大阪出身の二人が、観光客向けにマナー啓発の写真集を出したという。美瑛は人気で、観光客が押し寄せ、畑に立ち入るなど問題になっている。

記事に、「哲学の木」を所有者の農家の方が伐採したとある。
あの哲学の木?

私は見ている。一本だけすっくと立ち、少し傾き、まるで思索しているような木だ。人気スポットだった。

記事によると、2024年度には、人口9,235人の町に、のべ268万人の観光客が訪れた。農地に入ると、靴の裏についた病原菌が、農作物を全滅させる危険性があるそうだ。写真に夢中の観光客はそうと知らず、畑に踏み入ってしまう。

「観光客があまりに農家の妨げになっているので、切り倒された」とあった。なんてことだ。伐採の時、農家の人は泣いていたとある。悲しかっただろう。


北海道は第二の故郷。卒業とともに離れていたが、15年ぐらい前に、バレー部のOB会があり、来道した。OB 会の前に、富良野に入り、旭山動物園に行き、その晩は富良野のペンションに泊まった。


ご主人が翌朝早く、暗いうちから車を出して、雲海を見に連れていってくれた。

ご主人は、「美瑛のサイクリングはどう?」と提案してくれた。同宿の若い女性と一緒に行くことになった。どちらも一人旅だ。

人見知りの私は、最初は正直、気が重たかった。一人で気軽な旅をしていたので、気を遣うのが嫌だったのだ。

でも、一人でなくて、二人で本当に良かった。最高に楽しかった。

広々とした緑の畑や牧場が美しい。雄大な風景の中を走る。車もほとんど通らない。適度にアップダウンのある道を自転車で飛ばす。あの頃は、自転車に乗れたんだなあ。

風が体を吹き抜ける。こんなに気持ちのいい経験は、人生にそんなにないと思った。「気持ちいい!!」と何度も叫んだ。本当に最高だった。

彼女もとても気のいい人で、全然気を遣わなかった。二人で、丘を走り、
観光スポットを回った。

そして、哲学の木も見て、写真を撮ったのだ。
(遠くからだよ)

今回、写真集を出した二人は、美瑛の風景に魅せられて移住した。「美瑛の丘は農家が長い年月をかけて作り上げた農地であると気づいてもらえるように」「遠くからそっと見つめてほしい」と言っている。

写真集の効果があったら、いいな。

表紙になった哲学の木の写真は、幻想的だ。

私たちは駅で、別々の方向に分かれた。撮った写真をメールで送ってくれたけど、私が送った分は、なぜか届かなかった。

ペンションで見上げた夜空には、たくさんの星が瞬いていた。

コスモス・ファームのご主人へ。その節はお世話になりました。サイクリング、とても楽しかったですよ。
と、お礼をまだ言っていない。


庭で食べた朝食