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▶ U-NEXTが全作無料の文芸誌を創刊 芥川賞作家6人を集めた本当の狙い【8/3】

全作無料という値札のない文芸誌に、書店の現場が浮かべた苦い笑顔(Image)

U-NEXTは2026年8月5日、全作無料のWEB文芸誌「文学茶釜(何が出るかな)」を創刊します。

純文学を中心に短歌やエッセイ、さらに動画・音声コンテンツまでを掲載し、サイトは同日12時に公開されます。

創刊ラインナップには朝比奈秋さん、市川沙央さん、上田岳弘さん、金原ひとみさん、九段理江さん、滝口悠生さんら芥川賞作家が並び、歌人の青松輝さんやミュージシャンの小袋成彬さんも名を連ねます。

公式キャラクターは「たぬち」で、対談動画企画「本棚団地」も8月下旬から配信される予定です。

ここで気になるのは、動画配信の会社がなぜ活字の文芸誌を自前で立ち上げるのか、という点です。

国内の定額制動画配信サービスは、Netflixが7年連続で首位を守り、U-NEXTは2位につけています。

品揃えと価格を競う戦いだけでは差がつきにくく、勝負の軸を別のところへ移す必要があったのではないかと考えられます。

そこで狙いを定めたのが、まだ映像になっていない物語そのものです。

話題作の映像化権は複数の事業者が奪い合う状況が続いており、買う側に回り続ける限り条件は相手次第になります。

ならば供給源そのものを自分で持てばよい、という発想です。

その有効性を実際に示したのが『団地のふたり』でした。

U-NEXTは2020年8月にオリジナル書籍事業を始め、これまで40作品以上を発表しています。

そのうち藤野千夜さんの同作が2024年にドラマ化されました。

外部から原作を買う場合は映像化権をめぐる交渉と競争が避けられませんが、自社で書き手と作品を育てておけば、その工程を省いて権利を握ることができます。

出版側が映像へ下っていく話なら、これまでいくらでもありました。

KADOKAWAは自社IPのアニメで製作委員会の幹事を務め、製作から配信までを自前で抱える形をつくってきました。

小学館と集英社も、共同出資の小学館集英社プロダクションを通じて映像の企画制作を担っています。

Netflixは2018年前後から国内のアニメ制作会社と包括的な業務提携を結び、製作委員会に相乗りしない作り方を選びました。

どれも川上と川下をつなぐという同じ発想です。

一冊の小説を三方向から引っ張る大人たち、これが映像化権の現実です(Image)

今回のU-NEXTは、その道を逆向きに、しかも文芸という最も地味な入口から上っていこうとしている点が目を引きます。

もっとも、勝算は読みにくいと言わざるを得ません。

マンガと違って純文学の映像化は当たり外れが大きく、オリジナル書籍40作品以上のうち大きく話題になったドラマ化が『団地のふたり』であることを踏まえると、この打率で投資を正当化し続けられるかは未知数です。

それでも注目すべきは、芥川賞作家がこれだけ配信事業者の媒体に集まったという事実そのものでしょう。

書き手にとっての発表の場が、出版社からプラットフォームへ移り始めているのかもしれません。

だとすればこれは、番組制作会社が放送局から配信事業者へ軸足を移していった過程とよく似ていると思います。

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