見出し画像

▶ TBS営業利益43%減、配当84億円が本業46億円を上回る決算の中身【8/7】

放送局の会議室に置かれた天秤が、静かに突きつけている事実(Image)

TBSホールディングスは2026年8月6日、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の決算を発表しました。

売上高は1,054億1千9百万円(前年同期比4.8%増)と増収でしたが、営業利益は46億2千2百万円(同43.0%減)とほぼ半減しました。

通期予想も売上高4,350億円、営業利益230億円(前回予想比11.5%減)へ下方修正しています。

減益の直接の原因は、費用の増え方にあります。

営業費用は1,007億9千7百万円(同8.9%増)と、売上の伸びを大きく上回りました。

内訳を見ると、販売費及び一般管理費が276億7千1百万円(同3.0%増)と小幅な増加にとどまる一方、売上原価は731億2千6百万円(同11.4%増)と突出しています。

この四半期に伸びた収入は、「ピクサーの世界展」やアニメ二次利用によるTBSテレビ事業部門の61億8千8百万円(同83.9%増)と、「九条の大罪」の世界配信などによる有料配信収入の37億4千4百万円(同29.1%増)でした。

いずれも展覧会の設営費や配信向けコンテンツの制作費など、先に原価を投じてから回収する事業です。

広告枠を売って収入を得る放送とは、お金の流れる順番が逆になります。

減収の理由として会社が挙げるのは、中東情勢の緊迫化にともなって広告主が出稿を控えたことです。

スポット収入は196億8千7百万円(同11.9%減)と大きく落ち込みました。

ただし、在京キー局の放送による広告収入は2015年度からの10年間で約16%減ったという集計もあります。
今回の落ち込みを一時的な地政学リスクだけで説明しきれるのか、判断はまだつきません。

さらに気になるのが配信広告収入で、27億2千7百万円(同11.3%減)と、放送とほぼ同じ幅で減っている点です。

放送が沈んだら配信が助ける、そのはずだった浮き輪(Image)

TVerは2026年1月の月間ユーザー数が4,470万と過去最高を更新し、運用型商品「TVer広告」の2025年度売上は前年度比166%と発表されています。

市場全体は拡大しているのに、TBSの配信広告収入は減っている。

放送が減っても配信が補うという「乗り換えシナリオ」が、少なくともこの四半期には成立しなかったことになります。

この決算で一番目を引いたのは、本業のもうけである営業利益46億円より、持っている株からもらう配当金84億円のほうが大きいことです。

汗をかいて稼いだ額を、株を持っているだけで入ってくる額が上回っている。

総資産2兆3,233億円のうち、投資有価証券が1兆7,505億円。

実に4分の3が株です。

放送局というより、放送免許のついた投資会社に見えてきます。

サブのモニターに番組が映っていない、放送局のもうひとつの顔(Image)

この点は以前から外に突かれてきました。

TBSは東京エレクトロンの第3位株主で、株式の3.28%を持っています。

2023年、英国の投資会社AVIはこの株を株主に配るよう公然と求めました。

言い分はこうです。
両社に実際の取引関係はなく、持ち続ける理由が説明できない。
しかも投資家から見れば、放送局の株を買ったつもりが半導体メーカーの値動きに振り回される。

それならTBSを通さず、自分で東京エレクトロン株を買ったほうが早い、
という理屈です。

会社側も売却は進めています。
ただ、この3か月で保有株の評価額は7,342億円も増えました。

株価の上昇分が、売って減らした分をはるかに上回っている。

少しずつ売っても、残った株が値上がりするほうが速い。
だから比率は下がるどころか上がっていきます。

営業マンが広告主を回って1億円を積み上げる横で、持っている株が1%動けば175億円が動く(保有株1兆7,505億円の1%換算)。

この落差を、本業にどう活かすのかを問いたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー