【5月25日】プレミアリーグが制作を内製化、放送局依存を脱し「メディア企業」へ 他
話題のポイントは音声で!、(AI音声のため、読み上げに誤りが生じることがあります。あらかじめご了承ください )
▶ プレミアリーグが制作を内製化、放送局依存を脱し「メディア企業」へ

英プレミアリーグが、22年間にわたり国際放送制作を担ってきた制作会社PLP(IMG傘下)との契約を終え、2026/27シーズンから映像制作を自ら手がける「内製化」に踏み切ります。
これまで放映権を保有するリーグと、その映像を制作するIMGは明確に分業してきました。
それではなぜ今、リーグは自ら作る側へ回るのでしょうか。
狙いは、世界中の放送局・配信事業者へ届ける映像という最大の資産を、外部に委ねず自社で握ることにあります。
巨額の設備投資リスクを伴うため、リーグCEOは「NFLやNBAのような団体だけが取れる賭け」とも認めますが、それでもあえて主導権を選びました。
リーグCEOは内製化の理由を「選択肢」と語ります。
その真意は、放送局への依存からの脱却にあります。
自前で制作まで担えば、将来のD2C(ファンへの直接配信)に向けて、視聴者との接点や視聴データを自社で獲得できるからです。
つまりこれは、スポーツ団体が単なる権利者から「メディア企業」へと進化する動きにほかなりません。
背景には、海外放映権収入が1シーズン約20億ポンド(約4,200億円)に達し、国内収入の約17億ポンドを逆転したグローバル化の進展があります。

【ディンコの一言】
プレミアの内製化が示すのは、「リーグが一体となって主導権を握る」強さです。
翻って、日本で今なお最も人気のあるスポーツコンテンツはプロ野球ですが、その制作・放映は球団ごとの思惑や各方面の利害に左右されがちで、リーグ全体で映像資産を握るという発想は乏しいのが実情です。
本来であれば、球団主導ではなくリーグが一枚岩となり、プレミアのように制作から配信までを主導すべきではないでしょうか。
海外展開もデータ活用も、その一体化があってこそ前に進みます。
さまざまな利害に踊らされている限り、日本のスポーツコンテンツに真の発展は望めないかもしれません。
▶ DAZNと日テレが連合、W杯で問われる放送局の生きる道

スポーツ配信サービスのDAZNは、2026年6月12日開幕の「FIFAワールドカップ2026」に向け、日本テレビと共同応援プロジェクトを発足しました。
注目すべきは、かつて視聴者を奪い合った地上波と配信が手を組んだ点です。
全104試合の独占配信権を握るDAZNが、地上波の拡散力と集客力を取り込み、日本テレビは大型コンテンツの一翼を担う。
両者の利害が一致した結果といえます。

連携の核は3施策です。
5月30日には日本テレビ系全国30局で事前特番を放送し、5月31日のキリンチャレンジカップ「日本代表対アイスランド代表」を地上波とDAZNで同時生配信します。
さらに大会期間中、DAZNが配信するグループステージ5試合で日本テレビのアナウンサーが実況を担当します。
放送局最大の資産だった「実況」という専門技能がプラットフォームへ開放される形で、人材とコンテンツの流動化が加速しています。
一方で、無料配信を重ねる手法は、DAZNの有料サブスクモデルと放送局の広告モデル双方を毀損しかねないという懸念も残ります。
メガイベントの主導権が配信側へ移りつつある転換点として、今後の放映権ビジネスの勢力図を占う動きといえそうです。
【ディンコの一言】
かつて放送局はメガイベントの王者でした。
しかし全104試合の独占権を握るのはDAZNです。
地上波は集客装置として「お招きいただく」側に回りつつあります。
英国でもBBCとストリーマーの共同放送が進み、世界的に主役交代は既定路線です。
注目は実況の開放でしょう。
放送局が誇る職人技がプラットフォームへ流れ出す。
これは協業の美談か、それとも資産の切り売りか。生き残りをかけた放送局の覚悟が問われています。
▶ 「20万時間創出」電通AI戦略、その数字とわかりにくさを問う

dentsu Japanは2026年5月25日、独自AI戦略を「AI For Growth 3.0」へ刷新し、統合AIプロダクトシリーズ「AI For Growth Suite」の提供を開始しました。
注目すべきは、これまで自社業務の効率化が中心だったAI活用を、企業向けの「外販」へと明確に舵を切った点です。
背景には、成長が鈍化する広告本業に依存しきれない事情があり、長年培ったマーケティングの実践知をAIプロダクト化し、新たな収益源とコンサルティング型ビジネスへ軸足を移す狙いがうかがえます。
同社は1億人規模のAIペルソナによる仮想調査「People Research」や、独自の「PSDCAモデル」など多数の専門AIを展開します。
一方で同社は、業務特化型AIにより2025年に10.7万時間、2026年は20万時間超の業務創出を見込むと発表しましたが、この数字は独自の換算係数を乗じた推計値であり、実際の効果として額面通り受け取れるかは慎重な見極めが必要です。
そして何より、本発表は独自フレームや横文字の専門用語が幾重にも重なり、率直に言って非常にわかりにくい構成です。
技術力をアピールしたい意図は理解できますが、伝える相手を意識した平易な説明がもう少しあってもよいのではないでしょうか。
【ディンコの一言】
電通の「外販」転換は、頭打ちの広告本業を補う必然の一手でしょう。
海外ではWPPやPublicisが先行してAI事業化を進めており、その流れに乗った形です。
ただ気になるのは、20万時間という創出効果が独自の換算係数による推計値である点。
アクセンチュアのような明快なROI提示と比べると、説得力にやや欠けます。
加えて独自フレームと横文字の乱立で、肝心の中身が伝わりにくい。
もっとも、これは私ディンコの理解が追いついていないだけなのかもしれません。
技術の進化の速さに、解説する側も必死で食らいついているのが正直なところです。
▶ クランチロール7300万票。日本アニメの主戦場は新興国へ

第10回クランチロール・アニメアワードが2026年5月23日に東京で開催され、最優秀賞にあたる「アニメ・オブ・ザ・イヤー」を『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』が受賞しました。
今回特筆すべきは、ファン投票数が全世界で7,300万票と過去最高を更新した点です。
これは配信プラットフォームによる世界同時展開と、SNSと連動した投票導線が浸透した結果であり、アニメ視聴が「参加型エンタメ」へと変質していることを物語ります。

最も投票が活発だった国はブラジル、インド、メキシコ、ドイツ、米国で、日本アニメの主戦場が北米・欧州から南半球・南アジアの新興市場へと移りつつある予兆がうかがえます。
さらに注目すべきは、本イベントを運営するCrunchyrollがソニー傘下である点です。
作品の企画・製作から世界配信、ファン投票による権威づけまでを日本企業が一気通貫で押さえる垂直統合モデルが機能しており、日本発IPの収益と影響力を自国企業が世界規模で取り込む成功事例として位置づけられます。

【ディンコの一言】
今回のアワードで見逃せないのが、声優賞がアラビア語・ヒンディー語・ブラジルポルトガル語など多言語で設けられている点です。
これは単なる字幕対応の時代が終わり、各言語圏に最適化した吹き替え・ローカライズを前提とした「グローバル製作体制」が標準になったことを意味します。
Netflixが世界同時配信で先行しましたが、アニメはさらに踏み込み、現地の文化や演技作法に合わせた多層的な製作を要求され始めています。
日本のスタジオが「作って終わり」では通用しない時代の到来です。
▶ シネマカメラ・AI・IP統合。FOXインディ500中継が塗り替える放送基準
FOXスポーツは2026年のインディ500において、映画的演出手法をスポーツ中継に本格導入し、業界の注目を集めています。
映画『トップガン』や『F1: THE MOVIE』にインスパイアされた「トップガンカメラ」をコックピット内に新設し、ドライバーの表情やアクションを正面からとらえる臨場感あふれる映像を実現しました。

映像機器の面では、ARRI ALEXA 35 Liveカメラを10台以上の中継スタジオに投入しました。
シネマカメラならではの映像品質は放送スタッフを驚かせた一方、ライブ制作向けのケーシング改修(ライブ中継用に、改造・再設計)やCCU統合など、放送現場特有の運用課題への対応も求められました。

【ディンコの一言】
シネマカメラの放送実用化は制作コストや技術ハードルを伴うものの、視聴者の映像品質への期待値を引き上げる新たなスタンダードになりつつあります。
