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【7月16日】カーナビ1台も契約対象、NHK受信料が抱える「設備で数える」限界 他

話題のポイントは音声で!、(AI音声のため、読み上げに誤りが生じることがあります。あらかじめご了承ください )


▶ カーナビ1台も契約対象、NHK受信料が抱える「設備で数える」限界

車ごとに契約書を貼る男、部屋ごと車ごと制度の徒(image)

NHKは2026年7月16日、全国知事会からの「NHK受信契約の合理化・簡素化に向けた提言」に対する考え方を報道資料として公表しました。

NHKは、放送法第64条に基づき、放送を受信できる設備を設置した者は受信契約が必要であり、放送受信機能のあるカーナビも契約対象になると改めて説明しています。

しかし、テレビ放送をほとんど見ないカーナビにまで契約義務が及ぶ現状には、自治体や事業者から「実態と制度が合っていない」との違和感がくすぶります。

今回、契約対象を正確に把握しきれず、全国の自治体で契約の届け出漏れが相次いだこと自体が、制度の複雑さを物語っていると言えます。

注目すべきは、この提言が知事会という自治体トップの団体から出た点です。

行政の側が「わかりにくい」と声を上げた以上、今後は民間事業者や一般世帯にも「簡素化」を求める議論が広がる可能性があります。

これに対しNHKは「説明に行き届かない点があった」と認め、昨年10月から事業所向けのパンフレットやホームページを刷新したとしています。

ただ、提言が求めているのは制度そのものの見直しであり、「説明の改善」で乗り切ろうとする対応がその答えとして十分なのかは疑問が残ります。

背景には、ネット配信の普及があります。

NHKは「配信の受信の本拠」という考え方で設置場所を特定しようとしていますが、そもそも視聴の場所が固定されないネット時代に、部屋ごと・自動車ごとに契約を積み上げる「設置場所単位」の発想は限界に近づいています。

事業所の契約単位や緊急車両等の扱いについて、NHKは「現行制度との整合性や公平性を考慮し、具体的な検討を進める」とコメントしましたが、この玉虫色の表現が実質的な先送りなのか、前向きな見直しの兆しなのかは、現時点では読み取れません。

「テレビは見ないのに」カーナビの受信機能に眉をひそめる運転手(image)

【ディンコの一言】

日本が「カーナビにも受信機能があるか」と設備を一つずつ確認している間に、海の向こうでは「そもそも設備で線を引く発想が古い」という議論が進んでいます。

象徴的なのが英国です。

2026年5月にBBCのトップに就いた元グーグル幹部のマット・ブリティン氏は、就任間もない議会証言で、テレビ受信許可料(TVライセンス)制度を「時代遅れのモデル」「もはや役割を果たせない仕組み」と言い切りました。

英国では番組を「見るかどうか」で課金しますが、それでも動画配信の普及で支払い世帯は減り続け、年180ポンド(約3万5,000円)を支える土台が、静かに崩れ始めているのです。

そこでBBC側が持ち出したのが、テレビの有無を問わず全世帯から広く薄く集める「世帯課金」案でした。

これは、ドイツが2013年に導入済みの放送負担金とほぼ同じ考え方です。

ドイツは機器ごとの課金を早々に捨て、住居単位に一本化しました。

英国も、収入源が細る前にこの「ドイツ方式」へ舵を切るか、まさに今の焦点になっています。

こうして見ると、日本の立ち位置がくっきりします。

英独が「設備で数えるのはもう限界だ」と入口の設計そのものを問い直しているのに対し、日本は依然として「受信機能のあるカーナビが1台あるか」を確認し、事業所では「部屋ごと・車ごと」に契約を積み上げています

今回NHKが示したのはパンフレットの刷新、つまり“説明のわかりやすさ”の改善でした。

しかし全国知事会が投げかけたのは、説明ではなく設計への疑問です。

英独が示しているのは、「わかりにくいなら、わかりやすく数え直せばいい」という発想の転換です。

日本にも、設備を一つずつ確認する仕組みを離れ、時代に合った設計へと組み替える余地は十分あります。

説明の改善はその第一歩に過ぎず、制度そのものを設計し直す時期に来ていると思います。

▶ 「名探偵コナン」100億円が救った東宝と松竹、映画以外の稼ぎ方に見える生存戦略

映画より重い不動産、思わず傾く経営者のバランス感覚(image)

東宝と松竹は2026年7月、2027年2月期第1四半期(2026年3〜5月)の決算をそれぞれ発表しました。

東宝は営業収入887億円(前年同期比4.6%増)と増収でしたが、営業利益は138億円(同28.3%減)と減益になりました。

映画事業は「劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』」の大ヒットなどで好調だった一方、IP・アニメ事業の営業利益が91.8%減と大きく落ち込んだことが響きました。

ただしこの落ち込みは前年に商品化権収入などで大きく稼いだ反動の面が強く、東宝は今期、海外向けのライセンス事業を子会社のTOHO Global㈱に集約する会社分割を実施し、さらに海外アニメ配給会社のAnime Limitedを新たに連結子会社化しました。

四半期ごとに振れやすい海外収益を組織的にまとめ、腰を据えて世界展開を進める布石と言えます。

一方の松竹は売上高241億円(同11.5%増)、営業利益17億円(同58.5%増)と増収増益でしたが、大阪松竹座など老朽劇場の解体決定に伴う減損損失23億円を計上し、最終損益は2億8千万円の赤字に転落しました。

注目すべきは、その「名探偵コナン」が両社を同時に潤した点です。

同作は興行収入100億円を超える大ヒットとなり、配給・興行を担う東宝と、共同配給に加わる松竹の双方に収益をもたらしました。

1本のメガヒットが業界全体を押し上げる日本映画特有の収益構造が、改めて浮き彫りになった格好です。

半面、こうした話題作の有無で四半期業績が大きく上下する不安定さも、両社に共通する課題として残ります。

【ディンコの一言】

両社の決算を並べて見えてくるのは、「映画会社」という看板がもはや実態の半分しか表していないという事実です。

東宝の不動産事業は営業利益55億円を稼ぎ、映画事業に迫る屋台骨となっています。

松竹も歌舞伎座タワーという不動産を安定収益の柱に据えつつ、演劇事業を売上42.0%増と伸ばしました。

守りを不動産で固め、攻めを体験型ビジネスに託す——この二段構えは、ヒットの有無で業績が乱高下する映画興行の宿命への、したたかな備えと言えます。

興味深いのは、世界の潮流とも重なる点です。

米ディズニーはテーマパーク部門が映画不振を支え、英国のロンドン・ウエストエンドや米ブロードウェイでは、コロナ後にライブ演劇の観客動員がむしろ回復基調にあります。

画面の中で完結する配信全盛の時代だからこそ、「その場でしか味わえない体験」に人はお金を払う。

両社が映画の外に築いた足場は、案外、次の主戦場を先取りしているのかもしれません。

▶ NHKが挑むCO₂50%削減、全国の制作現場と委託先をどう変えていくのか 

「番組制作のScope 3をどう測る、全国の委託先を含む算定基準共通化の難しさ」(Image)

NHKは、サステナビリティー施策を全組織横断で推進するため、「NHKサステナビリティー委員会」を設置し、東孝子理事をCSOに任命しました。

社会課題を番組などで伝えるだけでなく、公共メディアとしての価値を自らの組織運営でも実践する方針転換です。

DEI(多様性・公平性・包摂性)では、2030年度の女性管理職割合18%以上、年次有給休暇取得率75%以上、男性育児休業取得率100%を掲げ、「えるぼし」(女性活躍推進法に基づく、女性活躍推進の優良事業主認定制度)の2段階目を取得しました。

人権面では方針を策定し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿った施策を整備します。

環境面では、2050年カーボンニュートラルと、2030年度までのCO₂排出量50%削減(2018年度比)を目標に、省エネや照明のLED化、美術セットの再利用を進めます。

一方、資料では委員会の具体的な権限や成果指標、公表方法は示されていません。

取材・番組制作・調達・雇用における人権リスクの把握方法や説明責任、CO₂削減実績の算定範囲も明らかではなく、今後は進捗と課題の継続的な可視化が実効性を測る鍵です。

「全国の委託先を一つの物差しで測る、NHK脱炭素改革の巨大で果てなき難題」(Image)

【ディンコの一言】

NHKのサステナビリティーを評価する際、忘れてはいけないのが子会社や委託先です。

NHKでは、番組制作、撮影、中継、編集、放送設備の運用など、多くの仕事を外部の企業が担っています。

そのため、NHKの建物や送信所だけを調べても、事業全体のCO₂排出量は分かりません。

一般的には、NHK自身や算定対象に含めた子会社が直接出すCO₂を「Scope 1」、使用する電気による排出を「Scope 2」と呼びます。

外部の制作会社への発注、機材の調達、出演者やスタッフの移動などに伴う排出は、主に「Scope 3」として計算します。

計算では、まず委託金額や移動距離などに、CO₂量へ換算するための係数を掛けて概算します。

さらに、委託先から電気・燃料の使用量、移動、宿泊、使用機材、美術セット、廃棄物などのデータを集めれば、より実態に近い数字になります。

英国の放送業界では、放送局と制作会社が共通の計算ツール「albert」を使い、番組ごとのCO₂排出量を調べています。

ただし、番組制作にはドラマ、ドキュメンタリー、スタジオ番組、ニュース、スポーツ中継など多くの種類があり、制作方法も必要な機材も大きく異なります。

NHKは全国で放送事業を展開し、関係する子会社や外部委託先も非常に多いため、すべての現場へ同じ基準を導入するのは容易ではありません。

サステナビリティーを一部の担当者だけの課題ではなく、全国の職員や制作スタッフ、委託先に共通する意識として浸透させる必要があります。

計算方法を決めるだけでなく、契約、制作工程、機材、移動、働き方まで見直さなければ、CO₂排出量50%削減という目標の達成は難しいでしょう。

相当な改革が必要であり、一筋縄ではいかない取り組みです。

人権面でも、業務を委託すればNHKの責任がなくなるわけではありません。

委託先を含めた相談・確認・改善の仕組みが必要です。

今回の資料では、どの子会社や委託業務を計算に含めるのか、削減実績をどう評価するのかは示されていません。

新しい委員会には、全国の現場と委託先を巻き込み、成果だけでなく未達成の目標や課題も公表する仕組みづくりが求められます。

▶ 到達率40%上限が消える日、アメリカの「かくれた支配」と日本の系列ピラミッド 

40%の壁を笑顔で叩き割る、規制撤廃を待ちわびた者たちの本音(Image)

米連邦通信委員会(FCC)は2026年8月6日の会合で、テレビ放送局の全国世帯到達率を40%までに制限する「所有規制」の撤廃を決めます。

共和党系委員が多数を占めるため可決は確実で、ブレンダン・カー委員長は、無制限に視聴者を広げるNetflixやYouTubeなど巨大テック系の配信サービスに対抗し、地方局の経営を守るためだと説明しています。

カー委員長の論理の柱は「配信には到達率の上限がないのに、放送だけが縛られているのは不公平だ」という点にあります。

ここで両者の前提の違いを整理しておきます。

テレビ放送は、国民共有の限られた財産である「電波」を、国から免許を受けて使う仕組みです。そのため「1社が独占しすぎないように」という到達率の上限が課されてきました。

一方、配信は自前の通信回線を使うため、電波の免許も、到達率の上限もありません。

前提となる資源が異なる点が、両者の制度上の違いです。

日本の制度と比べると、その特徴がよく見えてきます。

日本にも「マスメディア集中排除原則」があり、考え方は米国の所有規制とよく似ています。

ただし日本には「認定放送持株会社制度」があり、キー局が経営の苦しい地方局を傘下に収めやすくする仕組みが整備されています。

日本は上限を残しつつ持株会社という形で統合を進める道をとり、米国は上限そのものをなくす方向へ進もうとしている、という違いがあります。

別会社を名乗る抜け道、日米が共有する集中排除のほころび(Image)

さらに米国では、この上限を撤廃できる権限そのものが争点です。

40%(法律上は39%)という上限は議会が法律で定めたもので、反対派のゴメス委員は、上限の引き上げは認められていても、役所であるFCCが撤廃する権限はないと主張しています。

可決されても訴訟で差し止められる可能性が高く、決着は法廷に持ち込まれる見通しです。

【ディンコの一言】

カー委員長は「地方局を守るため」と言いますが、その"地方局"の中身は意外とあやしいのです。

アメリカでは、大手放送会社が実際には牛耳っている局を、わざと「別会社の持ち物」に見せかける手口が長年使われてきました。

株の9割以上を大手の創業家が握り、オフィスの住所まで同じなのに、書類の上だけ「独立した会社」を名乗る いわば影武者です。

こうして所有規制の網をすり抜けてきました。

今回の撤廃は、この抜け道を「もう堂々とやっていい」と公認するようなものです。

ただ、これは海の向こうだけの話ではありません。

日本のテレビも、実はよく似た構造を抱えています。

フジや日テレといった東京の「キー局(全国ネットの中心となる放送局)」は、地方のローカル局に出資し、役員を送り込み、番組をまとめて供給しています。

表向きは地方局それぞれが独立した会社ですが、実態はキー局を頂点にしたピラミッドです。

2021年には日本テレビが系列5局を実質「支配」していると総務省に指摘され、是正させられた例もありました。

アメリカが影武者を使う「かくれた支配」なら、日本は出資と人事で束ねる「見えている支配」。

手口こそ違え、少数の会社に放送が集中していく流れは同じです。

集中排除の理念は、日米そろって少しずつ形だけのものになりつつあります。

▶ 機材だけでは救えない地方報道、CatchLightとソニーが挑む小さな一歩 

消えゆく地方新聞を映像で支える、CatchLightとソニーの小さな挑戦(Image)

地域の映像報道を支援する米国の非営利団体CatchLightとSony Electronicsは7月15日、地方報道機関の取材力を高める支援策を発表しました。

Sonyは選定加盟社へ、ソニー製フルサイズカメラなどを組み合わせた機材キット24式を提供します。

対象にはCatchLight Localフェロー(地域報道機関で映像取材を担う記者)と、Report for America(記者を地方報道機関へ配置・支援する全米事業)の参加記者、計16人が含まれます。

Ellen Schmidt / MinnPost / CatchLight Local / Report for America

プロ向けサポート、技術相談、オンライン研修も提供し、少人数の現場で記者が写真・動画・音声を扱うマルチスキル化を後押しします。

一方、地方報道の人員・予算不足が全米に広がる状況を考えると、24式・16人への支援は限定的です。

問題全体の解決策というより、機材と研修を組み合わせたモデルを実証し、他地域へ波及できるかが焦点です。

一人で撮影・録音・取材・編集、今日も機材に埋もれる地方記者の笑えない日常(Image)

【ディンコの一言】

米国では2005年以降、約3,500の新聞が消え、新聞業界の雇用も20年間で4分の3以上減りました。

この規模を考えると、24式・16人への支援だけでは小さすぎます。

CatchLightは地域報道機関に映像記者を配置し、Visual Deskを通じて編集・制作・研修を共同支援することで、映像報道の基盤を強化します。

これに対し、Report for Americaは取材が手薄な地域へ幅広い分野の記者を配置し、給与の約半分と研修を支える仕組みです。

日本は地方紙、県域放送局、NHKの地域網が残り、外部団体が記者を派遣する米国とは構造が違います。

しかし、新聞発行部数や報道現場の人員は減少中です。

日本でも各社が単独で人材や設備を抱えるだけでなく、地域を越えて共同映像デスク、撮影機材、編集者、研修担当者を共有し、今後は、基金や企業寄付で地域報道の仕組みを検討する価値がありそうです。

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