選挙は終わっても、私達の人生は続く!①〜選挙後に私達は何を為すべきか?
「投票したら終わり」ではない民主主義
投票を無事に済ませ、選挙特番が終わり、当選・落選の明暗が分かれた候補者の姿がニュースから消えると、多くの人は「やっと選挙終わった」とほっとしている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、選挙が終わっても有権者の役割は続いていきます。
民主主義は投票日だけのものではありません。むしろ、投票日翌日から次の選挙までの期間こそ、有権者が主権者としての役割を果たす上で最も重要な時間と言えるでしょう。
日本の選挙報道は、候補者の当落や政党の議席数といった「結果」のドラマに焦点を当てがちです。しかし、選挙後の静かな期間にこそ、私たちが健全な民主主義を育むためにできることがたくさんあります。
この記事では、選挙後に有権者ができる具体的な行動は何か、民主主義を健全に育むために私たちが「今から」「誰でも」できることを紹介していこうと思います。
選挙後の静かな期間にこそできること
選挙は、政治家を選び、彼らに国の運営を委ねるプロセスです。その役割を終えたからといって、関心を閉じてしまうのはもったいないことです。ここでは、投票日を終えた私たちが、次の選挙に向けて取り組むべき行動を提案します。
1. 投票の選択を振り返り、評価する
投票を終えたからといって、その選択を忘れてしまうのは賢明ではありません。選挙で一票を投じた政治家や政党が、公約に掲げた政策をどのように実行しているかを定期的に確認しましょう。
政治家の活動を追う
自身が投票した候補者の公式ウェブサイトやSNS、地元での活動報告会などに目を通しましょう。国会での発言内容や法案への賛否、委員会での質疑などを知ることは、彼らが有権者の期待に応えているかを評価する第一歩です。
国会議員の場合、「衆議院・参議院の公式ウェブサイト」で議員提出法案、質疑の回数、賛否など詳細な活動履歴を閲覧できます(※1)。
また今回は国政選挙でしたが、地方議員についても、多くの自治体が議会会議録や行政の進捗状況をウェブで公開しています。
公約の進捗を確認する
選挙前に各政党や候補者が発表した政策集を手元に置き、どの政策が実行され、どの政策が棚上げになっているかを確認しましょう。
研究では、選挙後も政治への関心を継続的に持ち続ける人々は、投票行動だけでなく、社会や政策に対する理解度も高い傾向にあることが示唆されています(※2)。自分の選択を振り返ることは、単なる批判ではなく、政治に対する理解を深めるための重要な作業です。
2. 公的資料を活用し、政策と社会のつながりを理解する
多くの政策は、私たちの日常生活と深く結びついています。ただ政治家の言葉を鵜呑みにするだけでなく、公的なデータや情報を参照し、客観的な視点から政策を評価する習慣をつけましょう。
政府の公開データを活用する
政府統計(総務省統計局など)や各省庁が公表している白書、報告書には、人口動態、経済状況、社会問題に関する正確なデータが豊富に含まれています。例えば、経済政策の効果を検証したい場合、GDPや消費者物価指数といった統計データと照らし合わせることで、その政策が実際に社会にどのような影響を与えているかをより客観的に判断できます。
また内閣府は7月10日、経済・財政・人口などに関する公的データを可視化するWebサイト「Japan Dashboard(ジャパン・ダッシュボード)」を公開しており、活用を試してみるのも1つの手です。
予算と税金の使い方を確認する
財務省のウェブサイトなどで公開されている国の予算や決算情報を確認することも有効です。私たちの納めた税金が、どのような分野(教育、医療、防衛など)にどれだけ使われているかを知ることで、政治家の説明が実態と合っているかを検証できます。
市民が公的資料を用いて政治家の発言を検証することは重要で次の選挙の判断材料の一つになり得ます。情報の真偽を見抜く力を養うことは、健全な民主主義の基盤を築く上で欠かせない能力です。
3. 政治家や行政に声を届ける
有権者には、投票日以外にも政治に参加する機会があります。政治家は、有権者の声に耳を傾けることで、民意を政策に反映させようとします。
直接的な意見表明
地方議会や国会議員に対して、メールや手紙、SNSを通じて直接意見を送ることができます。意見の表明は、特定の政策に対する賛否だけでなく、自分の住む地域の課題や生活で直面している問題について知ってもらう良い機会です。
パブリックコメントに参加する
政府や地方自治体が新たな政策や制度を導入する際、広く国民から意見を募集する「パブリックコメント」の機会を設けています。内閣府のウェブサイトなどから、関心のある政策に関する意見を提出することができます。
「請願権」を活用する
日本国憲法16条で保障される「請願権」を利用すれば、市民は国会や地方議会に対し、直接要望を提出できます。内容が審議されるかは議員の判断に委ねられますが、請願は法的に無視できない存在です。国に対しては請願法、国会に対しては国会法・衆議院規則・参議院規則、地方については地方自治法などに基づいて手続きが定められています。
選挙期間中にやっていたことを継続することも大切
政策比較
選挙時のみ政策比較サイトを見る人が多いですが、選挙外の期間でも比較を続けておくことは重要になってきます。次の選挙までの数年で、各党の政策や実績は大きく変化していきます。例えば「政治山」「ボートマッチ by 毎日新聞」などで過去公約と実績の比較記事が公開されることがあります。こうしたメディアの情報収集を習慣化することで、次の選挙で「情報不足」に陥らずに済みます。ただし、情報の真偽を判断する際にはくれぐれもお気をつけください。
「対話」の機会を意識的につくる
SNSやネット掲示板では政治議論が感情的になりやすい傾向にあります。特に選挙期間中では理論で語るのではなく、感情に語る場面も多く、冷静さを欠く場合も否定できません。
しかし、民主主義の本質は日頃の対話にあります。家族や友人同士であっても「政策」や「地域課題」について話す機会を意識して作り続けることが大事です。互いの違いを否定せず、率直な考えを交わすことで、多様な視点が育まれることでしょう。
情報リテラシーの継続的な強化
こちらも欠かせません。近年のSNS上には偽情報が拡散されやすく、有権者は受け取る情報の真偽を見極める力を養うことが求められています。日頃から接する情報は真実なのか?安易に拡散してもよいものなのか?という疑問を持ち、判断力を養っていくことが大切です。こうして誤った情報に基づく判断を避け、民主主義を守る自覚的な投票行動が促進されていきます。
関心を持ち続ける
関心を持つことは選挙期間中ももちろんですが、やはり常に持ち続けることが大事になってきます。関心を持ち、その過程で疑問が出てきた場合はぜひ、先ほどご紹介した行動にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。
そうした行動はきっと政治家たちへ、選挙期間外も国民は関心、疑問を抱き続けているんだという意識を植え付けることに繋がります。
次なる選挙に向けて
しばしば有権者の中には「一票の重みを感じにくい」という声もあります。しかし選挙期間内でも、その後でも継続的に政治との繋がりを保つことで、より深く、より主体的に、より良い民主主義を育み、意見が反映される可能性は高まっていくことが期待できます。大切なのは、自分の暮らしと政治は密接につながっていると認識し続けることです。
関心を無くし、投票率の低下が続くと政治の偏りや圧力団体の影響が強まる懸念もあるため、有権者は定期的に政治知識をアップデートし、自らの政治的意見を持つことが健全な民主主義の維持に直結します。
繰り返しになりますが、選挙はゴールではありません。次の選挙までの日々の行動が、私たちの社会を形作り、より良い未来を築くための重要な一歩となり、次の選挙の「賢明な一票」となる可能性を秘めています。
出典
(※1) 出典:「衆議院」公式ウェブサイト及び「参議院」公式ウェブサイト
(※2)政治過程におけるオンラインニュースの効果:政治的知識に及ぼす直接的・間接的効果
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