令和9年から水田の補助金ルールが根本から変わる——農家が今すぐ知っておくべきこと
「水活がなくなる」「転作の補助金が変わる」——そんな話を耳にしたことはありませんか。
令和9年度(2027年度)から、日本の水田政策が根本的に見直されます。長年続いてきた「水田活用の直接支払交付金(水活)」の仕組みが大きく変わり、農家の経営に直接影響が出る可能性があります。
農林水産省は6月22日から全国8ブロックで地方説明会を開催します。現場の農家・JA関係者が知っておくべき内容を、現役JA職員の視点でまとめました。
そもそも「水活」とは何か
水田活用の直接支払交付金(水活)は、水田を主食用米以外の作物に転作する農家を国が補助金で支援する制度です。
麦・大豆・飼料用米・米粉用米などに転作すると交付金がもらえる仕組みで、水田農家の経営を支える重要な柱になっています。
これが令和9年度から大きく変わります。
何がどう変わるのか
① 「水田だけ」の支援から「作物ごとの支援」へ転換
これまでの水活は「水田」を対象にした支援でした。新制度では、水田か畑かを問わず、作物ごとの生産性向上に取り組む農家を支援する仕組みに転換します。
麦・大豆・飼料作物については、水田でも畑でも関係なく本作化・増産に取り組む農家が対象になります。
② 「5年水張り要件」が廃止
以前、令和9年度から「過去5年間に一度も水を張っていない水田は補助金の対象外にする」というルールが導入される予定でした。これが農家から強い反発を受け、廃止が決定しました。
令和9年度以降は、水田機能の確認を目的とした5年水張り要件は求められません。
③ 飼料用米の支援見直し
飼料用米中心の生産体系から脱却し、労働生産性の高い青刈りトウモロコシや子実トウモロコシなどの生産振興に転換する方向です。飼料用米への支援は維持しつつも、単価は段階的に引き下げられています。
④ 環境に配慮した生産への新たな支援
みどり戦略の実現に向けて、有機農業や減農薬・減化学肥料などの取り組みを新たな交付金で支援する方針です。主食用米も新たに支援の対象に加わります。
地方説明会のスケジュール
農水省は令和8年6月22日(月)から、全国8ブロックで地方説明会を開催します。各会場ともオンライン参加が可能です。
東北ブロックの担当は東北農政局企画調整室(022-221-6103)です。詳細は各ブロックの農政局プレスリリースで確認できます。
現場で感じること
率直に言うと、今回の見直しは「どの作物で稼ぐか」を農家自身が真剣に考えるよう求めるものだと思います。
これまでは「水田があれば転作補助金がもらえる」という発想で経営が成り立っていた部分がありました。新制度では、作物ごとの生産性をどう上げるかが問われます。
特に飼料用米を主力にしてきた農家は早めに対応を考えた方がいい。支援単価の段階的引き下げは令和6・7年度からすでに始まっています。
今すぐできること
6月22日以降の説明会に参加する(オンライン可)
農水省公表の説明資料を読む(「新たな水田政策の基本的な考え方・仕組み」PDF)
地域の農業再生協議会に問い合わせる(営農計画への影響確認)
制度の詳細はまだ未定の部分もありますが、方向性は固まっています。早めに情報を取って、令和9年度の営農計画に備えることが大切です。
【参考リンク】
農林水産省「水田政策の見直しに関する地方説明会の開催及び参加者の募集について」
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo01/260611.html
この記事は農林水産省の公式発表および関係機関の情報をもとに、現役JA職員の視点で解説したものです。制度の詳細は今後変更される可能性があります。
