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共鳴か衝動か?透明ティラミスのytv漫才新人賞展望

部室。
テレビの前。



つむぎ
「いよいよ、今年の賞レース開幕戦やな」

心春
「ytv漫才新人賞です」

3/1(sun) 15:00〜


つむぎ
「くそー、エントリーすれば良かった!」

心春
「条件は満たしています」

つむぎ
「ほんまか!?」

心春
「結成10年以内。関西拠点。漫才師……でも」

つむぎ
「でも、なんやねん?」

心春
「私たちは絵です」

つむぎ
「くぅ〜!」


心春
「素直に応援しましょうね」

つむぎ
「うーん……よし!誰かに憑依しよう」

心春
「怖いです」

つむぎ
「例え話や。出場者の誰かに憑依できるなら誰にする?」

心春
「……私なら天才ピアニストです」

2016年結成。吉本興業(大阪本社)所属。
NSC大阪38期。


つむぎ
「堅実やな」

心春
「完成度です」

つむぎ
「ざっくりやな」

心春
「ますみさんが状況を提示する。
観客が瞬時に理解できる空気を作る。
そこに竹内さんが入る」

つむぎ
「回収型やな」

心春
「観客の脳内に浮かんだツッコミを、正確に言語化する。
速すぎず、遅すぎず。
強すぎず、弱すぎず。
視覚と論理の二重構造。ズレがない」

つむぎ
「ズレない漫才は強い」

心春
「予定調和ではありません。
共鳴の精度です。
どんな舞台でも再現できる」

つむぎ
「賞レース向きやな」

心春
「制度に強い漫才です」

つむぎ
「事故より制度、か」

心春
「賞レースはそういう場面が多いです」

つむぎ
「でもな」

心春
「はい」

つむぎ
「事故が制度を壊す瞬間もあるやろ」

心春
「誰ですか」

つむぎ
「生姜猫や」

2022年結成。吉本興業(大阪本社)所属。
NSC大阪45期。


心春
「荒いですよ」

つむぎ
「せや。でもな、三角形がまだ固定されてへんねん。
ケージュがまとめる。
カンサイが揺らす。
川崎が差し込む。
形が毎回変わる。
3人が作り出す、ヤンチャな綱渡り」

心春
「不安定です」

つむぎ
「不安定ってことは、まだ止まってないってことや。
教科書にない笑いはな、
まだ教科書が追いついてないだけや」

心春
「衝動型ですね」

つむぎ
「完成してから推すんちゃう。
完成前の熱を推すんや」

心春
「形がないと点は入りません」

つむぎ
「まだない形が未来を動かすねん」

心春
「……」

つむぎ
「審査員の誰か一人の心臓を撃ち抜いた笑いが…」


心春
「今年の方向性になる」

つむぎ
「そうや。
だからうちは、生姜猫に憑依する」

心春
「私は天才ピアニストで」

つむぎ
「ほな対決やな」

つむぎ
「岸和田のジャリか…」

心春
「共鳴する連弾か」

テレビから歓声。

二人、同時に画面を見る。


心春
「……やっぱり出たいですね」

つむぎ
「うちら、絵やもんな」

心春
「ええ」

つむぎ
「でもな」

心春
「はい?」

つむぎ
「絵やけど、漫才の話はできる」

心春
「……それはもう、半分漫才師です」

つむぎ
「ほな、うちらもいつかは」

心春
「はい」

つむぎ
「岸和田のジャリでもない」

心春
「共鳴する連弾でもない」

つむぎ
「うちらは」

心春
「透明ティラミスで」

つむぎ
「最前線、踏みに行こか」

心春
「……はい。まずは部室から」

テレビの歓声が続く。

つむぎ
「とりあえず、ネタ書くか」

心春
「制度も衝動も、両方入れますよ」


つむぎ
「欲張りやな」

心春
「賞レースですから」

テレビの歓声がまたひとつ大きくなる。

画面の中で、誰かが一礼する。

部室は静かだ。

共鳴か、衝動か。

——ytv漫才新人賞。

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