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森のクマさん(作 桐野心春)

とある山の中。
こぐまが一匹、穴倉から出てきました。

木も花も、なんだかうれしそう。
空気もあたたかくて、
こぐまをそっと包んでくれます。

まだ眠い。
なんでだろう?

お母さんクマは言いました。

それはね…

そよ風が子守唄に聞こえるから。
ほら、ヒュルリラって。

こぐま、目を瞑る。
心が落ち着くね。

霧ヶ峰を回しっぱなしなのね。
北風さん、懐事情、大丈夫かしら?

こぐま
霧ヶ峰?

花粉に睡眠薬を混ぜられたかしら?
丘の向こうのリスの仕業よ。

こぐま
…お母さん?

最近、政治家の演説が長いわ!
「森をもっと豊かに!」って、具体的に言って欲しいわ!
どうするの!消費税!!

こぐま
お母さん!

あら、
ごめんなさいね。
大丈夫よ、坊や。

こぐま
…お母さん、怖い。
もう一度、寝ていい?

お母さんクマはマグカップを差し出しました。

だめよ。
春は、目を覚ます季節なの。

こぐまは一口、ちゅう、と吸いました。

「にがくて、あまい。
何、これ?」

フラペチーノ。
寝ぼけたままだと、
プーさん、いや、プータローになるわよ。

こぐまは、もう一口すすりました。

お母さん、飲める気がしてきたよ。
もっと、色々欲しくなってきた!

そう…
じゃあ、森を降りましょうね。

森の奥で、ヒュルリラ、と風が鳴りました。


(504字)

今回参加させていただいたのは
田原さんのこちらの企画です。

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