文徳高校文芸部大喜利研究会ーー寒い冬だから
放課後・部室
扉が勢いよく開く。
つむぎ
「さむっ……!」
マフラーを外す間もなく、
つむぎはそのまま机に突っ伏す。

心春
「外、そんなに寒いんですか?」
つむぎ
「寒いとかちゃう」
「いまのは、心も一緒に冷える寒さ」
心春は少し考えてから、
静かに言う。
心春
「……温めますか?」
つむぎ
「え?」
エアコンでも点けるのかと思って、つむぎが顔を上げる。
心春は、何もしない。
ただ、ノートを開く。
つむぎ
「……何する気?」
心春
「大丈夫です」
「すぐです」
つむぎ
「いや、何が?」
心春
『寒い時に、嫌なもの』
つむぎ
「は?」
心春
「一気にいきます」
つむぎ
「ちょ、待て」
「それ、温まるやつちゃうやろ」
心春はもう、ペンを走らせている。
つむぎ
「おい」
「それ、嫌な方向のやつやろ」
「待て待て待て!」
「心の準備が——」
心春
「①」
つむぎ
「番号ついた!!」
⸻
心春
「① プロ野球戦力外通告⛄️」
つむぎ
「初手がそれ!?」
「心が痛む!」
「“お父さん、野球辞めるのヤダ”ちゃうねん!!」

心春
「② 幽霊屋敷、貞子抜きで!⛄️」
つむぎ
「言い方が寿司!」

心春
「③ 転生したら、網走だった⛄️」
つむぎ
「場所!」
「それはただの移動!!」

心春
「④ 少年に大志を抱かせる⛄️」
つむぎ
「抽象度が急に上がるな!」
「熱血の押し売り!!」

心春
「⑤ つけ麺が、ぬるい⛄️」
つむぎ
「急にリアル!」
「ただのクレーム!!」

心春
「⑥ ♪冷やし中華、始めました⛄️」
つむぎ
「歌うな!」
「温度感が完全にバグったわ!!」

心春
「⑦ 溶けたかき氷⛄️」
つむぎ
「……ぶぶ漬けか!!」

心春
「⑧ 投稿に、スキが付かない⛄️」
(間)
つむぎ
「……いま!?」

心春
「⑨ 笑点の客⛄️」
つむぎ
「おおい!言うな!!」
「触れたらあかん!!」

心春
「⑩ 振り出しに戻る⛄️」
つむぎ
「待て待て待て!!
セーブさせろ!!」

──

つむぎは椅子に倒れ込む。
つむぎ
「……はぁ……はぁ……」
一拍。
つむぎ
「あ、なんか……」
「ちょっと、あったか……」

間。
つむぎ
「……んなわけないやろ!!」
心春
「成功ですね」
つむぎ
「どこがや!!」
心春
「さあ、暖房つけましょう」
(間)
つむぎ
「…最初からそうしてくれい」
文芸部はぽかぽかです
おわり
