文徳高校文芸部大喜利研究会――時を駆ける空舟
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※今作は『ゴミ箱とおかんと心春』の修正版です。
作 白井つむぎ
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近くの駅のゴミ箱が
なくなるんやって
いらない物を捨ててきた
飲んだ缶コーヒー
おもんないネタを書いた紙切れ
本当に
いらないものだったか
あのコーヒー
もう一口飲めたかも
おもんないネタ
罰ゲームに使えたかも
じゃあ、
家に持ち帰ったら?
おかんが言う。
「ほな、缶コーヒーで一言!」
逃げ場を失ったうちは
ネタ帳を差し出す
おかんは
紙を一枚めくって
鼻で笑った
「これ、捨てるほどでもないやろ」
え、
ウケてる?
「おもんないけどな」
そう言って
ゴミ箱の代わりに
冷蔵庫に貼られた
あれ?
これ、
うちの罰ゲームになってんやん
やっぱり
ゴミ箱に
捨てて帰ろう
近くの駅のゴミ箱が
なくなるんやって
今まで
缶コーヒーと
没ネタを
いっぱい捨ててきた
そしたら
おかんとの会話が
少なくなった
おかんとの距離感
わかんなくなった
食べたたこ焼きの舟
持って帰ろうかな
おかんは喜ぶやろか。
「ソースまみれの舟を持って一言!」
私は
駅の前で
ふと立ち止まる
空のたこ焼き舟
裸で持ち歩く
女子高生……
近所のおばちゃんに
こんちは!
元気に挨拶
……手には
空のたこ焼き舟
向かいのおっちゃんに
こんちは!
……手は
ソースまみれ
みんなの目線が
舟にいく
でも
突っ込んではくれない
家に帰る
おかんは
嬉しそうに叫ぶ。
「ソースまみれの舟を持って一言!」
やっぱ、
おかんは違う
でも、最近は
学校にも
一味違うやつがいる
舟を持っていったら
こう返してくる
「その舟は
たこを乗せて
どこに行くんですか?」
……何や、その返し
どこに疑問を
持ってくるねん
うちの手はベトベトやねん
舟は漕がん
心春は
おかんと違う
世界に連れていく
ゴミって決めつけはあかんな
きちんと
持って帰ろっかな……
横で心春が
気持ちよく
歌ってる
🎵その舟を漕いでゆけ
お前の手で漕いでゆけ

何で美声やねん
ゴミやっちゅうねん
『TOKIO駆ける”宙船”』
了
