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建築家が教える|開業前に必ず読む「物件選び」のコツ〜後悔しない物件の見極め方〜

はじめに

「物件を契約してから、こんな問題があるとは知らなかった」
「内装工事を始めてから、想定外のコストが発生した」

開業相談で最も多いトラブルのひとつが、物件選びの失敗です。

実は、物件選びの段階で建築家の視点を持っているかどうかで、開業後のコストと売上が大きく変わります。

建築会社を15年経営してきた立場から、後悔しない物件選びのコツをお伝えします。


① 「居抜き物件」vs「スケルトン物件」の正しい選び方

物件を探すと必ず出てくるこの2種類。正しく理解している人は意外と少いです。

居抜き物件(前テナントの内装が残っている)

メリット:

  • 内装工事費を大幅に抑えられる

  • 早期開業が可能

  • 厨房機器・設備がそのまま使える場合がある

デメリット:

  • 前のテナントのコンセプトに引きずられる

  • 見えない部分の劣化・不具合がある可能性

  • 自分のブランドイメージを作りにくい

スケルトン物件(何もない状態)

メリット:

  • 自由に設計できる

  • コンセプトを一から作れる

  • 配管・電気の状態が確認しやすい

デメリット:

  • 内装工事費が高くなる

  • 開業までの期間が長くなる

建築家の判断基準
前テナントの業種が自分と同じ・近い場合は居抜きが有利。全く違う業種の場合はスケルトンの方がトータルコストが低くなることが多い。


② 契約前に必ず確認する「建物の状態」

物件を見る時、多くの人はデザインや広さだけを見て決めてしまいます。

建築家が必ず確認する「見えない部分」を教えます。

電気容量
飲食店・美容室・クリニックなど電力を多く使う業種は、電気容量が足りないと大規模な電気工事が必要になります。

確認方法:「現在の電気容量は何アンペアですか?」と管理会社に聞く。飲食店なら最低60A、できれば100A以上あることを確認する。

電気容量の増設は50〜200万円かかることがあります。契約前に必ず確認してください。

給排水の位置と状態
キッチン・トイレ・洗面の位置は、給排水管の位置に左右されます。給排水管を大きく移動する工事は高額になります。

確認方法:図面をもらって給排水管の位置を確認する。希望するレイアウトが既存の配管位置で実現できるか、建築家に相談する。

天井高
天井が低いと圧迫感が生まれ、空調効率も下がります。飲食店・サロンは最低2.4m、できれば2.7m以上あることを確認してください。

換気・ダクト
飲食店は強力な換気が必要です。既存のダクトが使えるか、新設が必要かで工事費が大きく変わります。


③ 「賃料」だけで判断してはいけない

物件を選ぶ時、賃料だけを見て決めるのは危険です。

見落としやすいコスト

敷金・礼金・仲介手数料
賃料の3〜6ヶ月分が初期費用としてかかることが多いです。

原状回復費用
退去時に「元の状態に戻す」費用が必要です。スケルトンで借りた場合、退去時もスケルトンに戻す必要があり、数百万円かかることがあります。契約前に原状回復の範囲を必ず確認してください。

管理費・共益費
賃料とは別に毎月かかります。提示された賃料に含まれているか確認してください。

空調設備の所有者
空調設備がオーナー所有か、テナント所有かで、故障時の修繕費負担が変わります。


④ 「立地」を建築家の視点で見る

不動産屋は「人通りが多い」「駅近」などの立地を強調します。でも建築家の視点で見ると、別の重要なポイントがあります。

搬入・搬出のしやすさ
食材・商品の搬入、ゴミの搬出が毎日発生します。搬入口の位置・広さ・駐車スペースの確認は必須です。

近隣の業種
競合になる業種が近くにあるかだけでなく、「相乗効果が生まれる業種」が近くにあるかも重要です。美容室の近くにネイルサロン・エステが集まるエリアは、お互いの集客を高め合います。

将来の開発計画
近くに大型マンション・商業施設の建設計画があれば、数年後に集客が大きく変わる可能性があります。市区町村の都市計画情報を確認してください。

日当たり・採光
店舗の雰囲気に大きく影響します。内見は晴れた日の昼間に行い、自然光の入り方を確認してください。


⑤ 「坪数」の落とし穴

物件の広さは「坪数」で表示されますが、実際に使える面積とは違う場合があります。

壁芯面積と内法面積
不動産の坪数は「壁芯面積」(壁の中心線で測った面積)で表示されることが多いです。実際に使える「内法面積」は壁の厚さ分だけ小さくなります。

古いビルや壁が厚い物件では、表示面積より実際の使用可能面積が10〜15%小さいことがあります。

柱・設備スペース
柱・階段・エレベーターシャフト・トイレなどのスペースは、実際には使えません。図面で確認して、実際に使える面積を計算してください。


⑥ 契約前に建築家に相談する

物件を契約する前に、一度建築家に相談することを強くおすすめします。

建築家に相談するメリット

  • 電気容量・給排水・換気など技術的な問題を事前に発見できる

  • 希望するレイアウトが実現できるか確認できる

  • 内装工事の概算費用を事前に把握できる

  • 物件選びの判断材料が増える

相談のタイミング
「この物件、気に入っているんですが、内装工事でどれくらいかかりますか?」

契約前にこの相談をするだけで、想定外のコストを防げます。


物件選びのチェックリスト

建物の状態
□ 電気容量は十分か(業種に応じた容量を確認)
□ 給排水管の位置は希望レイアウトに対応できるか
□ 天井高は十分か(最低2.4m以上)
□ 換気・ダクトの状態は良好か
□ 雨漏り・シミ・カビがないか

コスト関連
□ 敷金・礼金・仲介手数料の総額を確認したか
□ 原状回復の範囲を契約書で確認したか
□ 管理費・共益費が別途かかるか確認したか
□ 空調設備の所有者を確認したか

立地関連
□ 搬入・搬出のしやすさを確認したか
□ 近隣の業種・競合を確認したか
□ 将来の開発計画を確認したか
□ 昼間の日当たりを確認したか

面積関連
□ 内法面積(実際に使える面積)を確認したか
□ 柱・設備スペースを除いた有効面積を確認したか


まとめ

物件選びは開業の「土台」です。ここで失敗すると、どんなに良い内装・サービスをしても取り返しがつきません。

「安い賃料」「駅近」「広さ」だけで決めず、建築家の視点で「見えない部分」まで確認してから契約してください。

契約前の相談は、いつでも受け付けています。


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建築士・電気工事士・管工事施工管理技士等、有資格者が多数在籍する建築会社を15年経営。飲食店・クリニック・美容室・保育園など施工実績多数。現場目線の店舗・施設内装情報を発信中。


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