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ポジティブシンキングが成長を止める理由

「前向きに考えましょう」
「感謝しましょう」
「すべての出来事には意味があります」

こうした言葉は、決して間違いではありません。
つらいときに前向きな言葉に救われることもあります。
だから私は、ポジティブシンキングそのものを否定したいわけではありません。

ただ、ひとつ気をつけたいことがあります。

本当は悲しい、
悔しい、
腹が立っている、
怖い。

それなのに、「これは学びだから」「感謝しなければ」と、先に結論を出してしまう。

すると、前向きになったように見えても、
その奥にある感情は置き去りになります。

そして、その置き去りになった感情が、
同じ人生のパターンを繰り返す原因になることがあります。

今日は、ポジティブシンキングが悪いのではなく、
使うタイミングと順番によっては、自己理解を止めてしまうことがある、
という話をしたいと思います。


✨1|ポジティブシンキングは悪者ではない

前向きに考えることが助けになる場面はたくさんあります。

失敗して落ち込んでいるときに「次に活かせばいい」と思えること。
不安で動けなくなっているときに「まず一歩だけ進んでみよう」と気持ちを切り替えられること。
苦しい状況の中でも希望を失わずにいられること。

こうした前向きさは、人が立ち直るための力になります。

問題なのは、ポジティブシンキングを使うことではありません。
いつ使うのか、ということです。

感情を受け止めたあとに使う前向きさと、
感情を見ないために使う前向きさは、
同じように見えて実は違います。

前者は自分を前へ進ませます。
後者はその場では少し楽になりますが、
本当に感じていることを奥へ押し込めることがあります。

前向きな考え方が支えになるか、
感情から逃げるための蓋になるかは、
使うタイミングによって変わるのです。


✨2|意味づけが早すぎると感情が止まる

たとえば、失恋したとき。
まだ相手を好きで、本当は悲しくて仕方がないのに、
「もっと良い人に出会うためだった」と考える。

仕事で大きな失敗をしたとき。
悔しさや恥ずかしさが残っているのに、
「これは学びだった」とすぐにまとめる。

信頼していた人に裏切られたとき。
本当は腹が立っているのに、
「魂が成長するために必要な経験だった」と意味づける。

まだ悲しいのに悲しくないことにする、
怒っているのに怒っていないことにする。

それでは、感情がなくなったわけではありません。
ただ、表に出せなくなっただけです。

感情は、正しい言葉をかぶせれば消えるものではありません。
感じることを止めた感情は、
身体の緊張や理由の分からない不安、
別の場面での強い反応として残ることがあります。

意味づけによって納得したつもりでも、
自分の中では、まだ何も終わっていない。

そんな状態が起きることがあるのです。


✨3|感情には役割がある

感情は、私たちを苦しめるためだけに存在しているわけではありません。

悲しみは、何が自分にとって大切だったのかを教えてくれます。

悲しいということは、そこに大切にしていたものがあったということです。

怒りは、自分の境界線を教えてくれます。
本当は嫌だった、そこまで踏み込まれたくなかった。

怒りの奥には、自分が守りたかったものが隠れていることがあります。

怖さは、危険を察知し自分を守ろうとする反応です。
過去の経験から「また同じことが起きるかもしれない」と警戒しているのかもしれません。

感情は、今の自分が何を感じ、何を必要としているのかを知らせる情報でもあります。

「こんな感情を持ってはいけない」と否定するのではなく、
「なぜ私は、こう感じているのだろう」と見ていくことが大切です。

感情を感じることと、感情のままに行動することは別です。

まずは感情の存在を認める。
そのうえで、どう行動するかを選ぶ。
そこに、自己理解と選択の余地が生まれます。


✨4|感情を飛ばすと同じパターンが繰り返される

前回の記事では、カルマを「繰り返される思考・感情・行動のパターン」としてお話ししました。

なぜ、そのパターンは変わらないのでしょうか。

理由のひとつが、感情を十分に見ないまま、
意味づけだけで終わらせてしまうことです。

たとえば、人間関係で何度も我慢をしてしまう人がいるとします。

相手に傷つけられても、
「この人にも事情がある」
「私が成長するための学び」
と考えて、怒りを見ない。

すると、本当はどこで嫌だったのか、
なぜ断れなかったのか、
何を恐れて我慢したのか。

そこに気づく機会がなくなります。

そしてまた、別の人間関係でも我慢をする。
また傷つく。
そしてまた「これは学びだから」と納得しようとする。

私はこれを、感情OSが途中で止まっている状態だと考えています。

出来事が起きる、感情が動く。
本来なら、その感情を手がかりに思考や行動のパターンを見直していく。
ところが、感情が動いた直後にポジティブな意味づけをすると、その先へ進めなくなります。

ポジティブシンキングが成長を止めるのは、
前向きであること自体が問題なのではありません。

感情から自己理解へ進む途中の工程を飛ばしてしまうことが問題なのです。


✨5|本当のポジティブは最後にやってくる

私は、順番が大切だと思っています。

まずは、悲しい、悔しい、腹が立つ、怖い。
そう感じている自分を認める。

「こんなことで怒るなんて」
「もっと前向きにならなければ」
と、すぐに修正しなくても大丈夫です。

次に、その感情が何を教えているのかを見ていく。

私は何が悲しかったのだろう、
何を大切にしていたのだろう、
どこからが本当は嫌だったのだろう。

こうして感情をたどると、
自分でも気づいていなかった望みや境界線が見えてくることがあります。

そして、そこから現実の選択を考える。
次はどう伝えるか、
どこで断るか、
何をやめるか。

ここまで進んだあとで、自然と前向きさが生まれることがあります。

「あの経験があったから、自分の境界線に気づけた」
「あの失敗があったから、やり方を変えられた」。

そう思えるなら、それは感情を否定するためのポジティブではありません。

感情を通り抜けた先に生まれた、自分自身の実感です。

本当の前向きさは、急いで作るものではなく、
感情を丁寧に見たあとに自然と現れてくるものなのだと思います。


ポジティブシンキングが悪いのではありません。
前向きな言葉に支えられることもあります。

ただ、感情を感じる前に答えだけを急いでしまうと、
自分の本当の気持ちが置き去りになることがあります。

悲しいなら、悲しいと認める。
腹が立つなら、その怒りが何を守ろうとしているのかを見る。
怖いなら、何に警戒しているのかを確かめる。

その感情を丁寧に見つめた先で、
少しずつ違う選択ができるようになります。

そして、その選択の積み重ねによって、
人生のOSは書き換わっていくのだと思っています。

静かな調律の時間になりますように✨

深鈴

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