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ペンション Andante(アンダンテ)

音楽用語である、アンダンテ(Andante)とは、「歩くような速さで」という意味の速度記号。

このペンションの名前の由来だそうです。
先の見えないコロナの影響に、精神を蝕まれていた私を引きつけたかのように、某旅行サイトで見つけたペンションでした。
年齢的にも「オッサン」に分類される男の一人旅には、到底不似合いだと思っていましたが、
今思えば、長野の豊かで荘厳な自然の中への、
それは「逃避」でした。

御射鹿池

蓼科あたりまで行くと、そこはもう別世界。
とにかく空気が違う。澄み切った青空。
日常との 異次元さを感じずにはいられません。
宿の駐車場に車を停め、荷物をおろし、
宿の玄関を開けると、優しさと品格が眩い笑顔の女性のオーナーさんが出迎えてくれました。
レストルームに案内されると、そこには国内でも数少ない木製のロレックスのピアノがあり、
ショパンの曲が流れていて、私の心の炎症が徐々にひいていったのです。

私が訪ねた時は、こちらのペンションをオープンさせて、1〜2年目だったらしく、大型連休や避暑のピーク、紅葉見頃の時期を外した平日だった事もあり、その週のその日だけは宿泊客が
私だけの貸切でした。
ラッキーと言えばラッキーでしたが、
私は飲食店経営をしていたので、
「私さえ来なければ、お休みできたのに」
「私一人のために、食材の調達・仕込み・部屋や浴室の清掃まで、完全なwelcome体制をさせてしまった。しかも施設は、満室の宿泊客を迎える時と同様に、煌々と明かりも点さなければならない」非合理性に、申し訳無い気持ちの方が強かった事を思い出します。施設側としては、
「費用対効果」の面で最悪としか言いようがない状況なはずなのです。
しかし、そのオーナーさんは、そんな素振りは一切見せず、心から歓迎してくださいました。

ナビでは目的地まで約4時間。
でも先の見えない暗い日常からの脱出。
移動手段は車。ノープランの気ままな旅。

C180

走行中に見た気になる場所や、
大好きな河川の河原や神社などに立ち寄り、
途中絶景スポットでランチなるものも済ませ、
約6時間かけての到着でした。
さすがにオッサンは疲れ、部屋に荷物を置き、
とりあえず蓼科の「極上水」風呂を頂く事に。
あの生き返ったような感覚が、今でも蘇ってきます。

一旦部屋に戻り、小窓から見た夜空には、
ダイヤモンドを散りばめたような無数に輝く
満天の星。それは自然のプラネタリウム。
地元では絶対に見れない幻想的な星空でした。

ひとしきり感動に浸った後は、待望のディナー。

国産黒毛和牛と国産豚のシャブシャブ

オーナーさんが選び抜いたお肉達の美味しさと言ったら、、、食レポできない程の美味しさ。
何より嬉しさのサプライズは、前菜で手作りの
「肉じゃが」がを出してくれた事。
ペンションご飯て、オシャレな盛り付けで
特に昨今は「映え」を意識した演出が先行し、
量的に「腹六分目」ぐらいを予想してたのですが、
それでも見栄え良く盛られた前菜の「肉じゃが」は、「1番ピッチャー大谷」の先頭打者ホームランに匹敵する驚きと、洗練された優しい味が、
さらに心の炎症を鎮めてくれました。

ワインなどもいただき、
ほろ酔いだった私の口は軽くなり、自ら職業を明かしてしまっていたのです。
それからです。オーナーさんとの距離が少し縮まったのは。
ひと通りのお料理が出尽くし、最後のデザートの前に、オーナーさんも同席してくれて、同じ接客業の苦労話しなどに花が咲き始めました。
そうなると、もう止まりません。
そのうち私は、自分の抱えてる問題や悩みを打ち明けていたのでした。
そこには、いつのまにか医師と患者という構図が出来上がっていました。

オーナーさんが宿の名称を「Andante」にした理由と経緯、そしてこのペンションをオープンさせた目的と今後の生き様について、
決して患者の私を嗜める事なくお話ししてくださいました。

Andante・・・歩くような速さで。
この屋号に込められたオーナーさんの想いは、
いつしか私の病みかけていた心の特効薬となったのでした。

仕事に戻れば、平均の睡眠時間は4時間程度。
下手すると、途中で目覚めてしまう事も。
でも、この日は7時間ぶっ通しで夢も見ずに眠れたのです。

夜のAndante

蓼科の森に朝が訪れました。
モーニングタイムです。

野鳥
地元新鮮野菜とベーコンエッグ

ベランダ越しに、森林の朝を見渡せる
特等席でのモーニング。
こんな爽やかな朝、今まで味わった事があったでしょうか。
数種類の野鳥達が、警戒しながらオーナーさんが用意したモーニングを目指し、代わる代わるやってきます。
小鳥の鳴き声。
森の声。
全てが私に処方された心の鎮静剤だったのです。

その後、何度も伺いました。通院と言ってもいいかもしれません。

当時は、行く時期さえ選べば、このような日が何日かありました。
でも、ここに来られたお客様は、私同様
完全なリピーターとなり、その数は年々増える一方で、今では数ヶ月先でも予約が取れない
知る人ぞ知るペンションとなっています。
当然と言えば当然です。
あのオーナーさんの、品格に満ちた所作、優しさに満ち溢れた笑顔、1秒を1分に変えてしまう魔法に、心を奪われない人は居ないはずです。

私の心の闇に、光を与えてくださった、
【山歩きと音楽の宿】《Andante》さんの
益々のご発展を心よりお祈りしております。

〒391-0301
長野県茅野市北山 5522-450

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