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tabikuma_oji
あたたかいご飯が食べたい
父が入院していた時、
母は、
病院で、
ずっと、
付き添っていた。
看病疲れで、
日に日に、
やつれていった。
病院の売店で、
おにぎりを買うけど、
美味しくない。
「あたたかいご飯が食べたい」
そう言っていた。
小さい子どもがいて、
なかなか、
病院に行けなかった。
そんな時、
夫から、
早く帰ると連絡がきた。
私は、
母にお弁当を作って、
持っていこうと思った。
そうだ。
母と父が好きなのり弁にしよう。
冷蔵庫を開けて、
ウインナーを焼く。
卵焼きを作って、
余り物の漬け物を入れる。
お釜のご飯を、
つめる。
かつおぶしをのせて、
その上に、
のりをしいて、
お箸で、
穴をあける。
しょうゆをたらして、
明太子をのせる。
できあがり。
日が暮れはじめた頃、
お弁当を持って、
病院へ向かった。
ドアを開けると、
父と母が、
静かに、
病室にいた。
父は、
ベッドに横になっていた。
私は、
「お弁当作ってきたから、
時間ある時に食べて」
そう言った。
母は、
「忙しいのに、悪いね」
「家は大丈夫?」
と、
私の心配をした。
父は、
「ありがとう」
と、
一言だけ言った。
母も、
父に、
よく、
のり弁を作っていた。
父ののり弁には、
明太子ではなく、
昆布のつくだにが、
のっていた。
私が帰ったあと、
母は、
病室に残って、
父の前で、
お弁当を食べた。
あたたかいご飯だったと思う。
