ショートショート『悪魔召喚、誤字ってパスタ。』

悪魔召喚、誤字ってパスタ。
古ぼけた魔導書を手に入れた。
最初のページには赤文字でこう書いてある。
呪文は正確に書き写すこと。
誤字は命取り。
……そんなこと言われても、魔法陣のルーンは複雑すぎる。
面倒になって、変換候補のまま何個か写してしまった。
「出でよ、冥界の王――ディアボロス!」
魔法陣が光り、煙の中から現れたのは……パスタだった。
唐辛子のきいた赤いソース、チキン、ニンニクの香り。
悪魔じゃなくて、ディアボラ風パスタ。
「……まあ、うまそうだし、いっか」
しばらくして空腹がぶり返す。
「次は……ルチアーナ風パスタでも来てくれたら最高なんだけど」
もう一度呪文を唱えると、空間がねじれ、黒い翼の悪魔が現れた。
「名を呼んだな、人間。我が名はルチフェロ。
契約の対価は……汝の魂だ」
魔導書を見返すと、“ルチアーナ”が“ルチフェロ”になっていた。
また誤字だ。
なんてこった……
そう呟いた瞬間、パンナコッタが召喚された。
あとがき
毎週ショートショートnoteのお題「誤字集合」に参加させていただきました。
今回はネタ自体はすぐ浮かんだんですが、肝心のダジャレに苦戦。
この洗練された僕が、ダジャレなんて……!
(ここでキレのある親父ギャグを差し込めれば完璧だったのに!)
最初の「ディアボロス → ディアボラ」はわりとすぐ出たんですが、
次に呼び出す“イタリアの悪魔”がまったく思いつかず。
「イタリア語にしたのがそもそもの間違いだったのか……?」と悩みつつ、
イタリア料理の一覧を眺めては、「こんな悪魔いそう?」と考える日々。
──でも、いない。全然いない。
そんなとき、「ルチアーナ風……ルシファー……ルチフェロ!?」と閃いて、
「よし、行ける!」と深夜にガッツポーズ。
そしてあのオチ、「なんてこった……パンナコッタ!」にたどり着きました。
言葉の魔導書は誤字ひとつで世界が変わる。
……という言い訳で、今回もなんとか着地しました。
召喚に成功したら「スキ」!
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連載中の『配達員ろること2号』では、悪魔よりやっかいなタワマン住人と戦っています。
Xではフードデリバリーの話を中心に、小説やAIイラストも気まぐれに召喚中。
よければそちらも覗いてみてくださいね。
※本作はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。
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