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“何かある?”と聞かれても、あるとは言えない職場〜聞く姿勢を装う院長の落とし穴

~“頭のいい医師”が見落とす、チームマネジメントの盲点~

「聞く姿勢」は正しい。でもやり方がズレてると逆効果

ある日、パートである私たちにも、面談があるらしいという噂が流れた。「パートは評価制度の対象外だけど、院長が“みんなと面談した方がいい”って言い出したの」
正直、ちょっと期待した。 パートだって、意見を持っている。
でも、それから何も動きがなかった。
そしてある日、院長がスタッフ全員の前でこう言った。
「何かある?」
……その瞬間、私たちは答えられなくなった。

医師が見落としがちな“職場の空気”

医師は頭がいい。医療のプロ。
でも、組織運営やチームマネジメントは、まったく別のスキルが求められる。
特に医師が経営者や管理職になるときに見落としがちなのが、
「言えない空気がある」という事実だ。
とくにパートや非正規スタッフは、意見を言ったことで仕事を減らされる・干される…という不安を常に持っている。
だからこそ、“聞き方”がすべて。

「聞いたふり」が現場を壊す

「みんなの前で“何かある?”と聞く」――これは最悪のやり方だ。
意見を言える場を用意したつもりでも、誰も言えない空気。 実際に中堅のスタッフが、こうこぼしていた。
「あれって、聞いてるようで“言わせない”って感じだったよね」
ベテランパートさんは、「何もないっていうしかないよね。」と苦笑い。
それを知ってか知らずかその場にいた社員が後に私に、
「(ベテランパートの)あの人、なんもないっていってたよ。」
と言ってきた。
何もないと言ったことを、まともに真に受けてたから、それも引いた。

 本当に問題がないのか、それとも“言えなかっただけ”なのか。
答えを急がず、耳を澄ます姿勢こそが大切だった。

開業したいなら、まず“信頼の聞き方”を学んでほしい

開業医になりたい、クリニックを任されたい。 そう思う医師は多いけれど、それだけではうまくいかない。
スタッフとの信頼関係は、一朝一夕では築けない。
・話しやすい雰囲気はあるか
・1on1の場があるか
・「聞くだけで終わる」になっていないか
主任に全部任せきりにしてないか
特に“現場の声”を本当に聞きたいなら、 主任のフィルターを通さないヒアリングが不可欠だ。

静けさの裏に、次の離職予備軍がいる

沈黙は、抵抗の一種。
“聞く姿勢”を装って、実際にはスタッフの声を潰してしまうようなやり方では、 静かに、でも確実に人は離れていく。
職場の“静けさ”は、実は危険信号かもしれない。
たとえば、受付の一番若い子――とても仕事ができて、気が利いて、患者さんからの評判もよかった子が、突然辞めたことがあった。
受付主任は「まあ、あの子はいろいろあって、続けられないでしょ」と他人事のように言っていたけれど、正直思った。
あんたも、自分を振り返った?って。
何があったかは全部はわからない。でも、“辞めていった側”だけが悪いわけじゃないはず。
だからこそ、
「聞くつもりがある」じゃなくて「聞ける状態をつくる」こと。
それが、これからの医師に求められる“マネジメント力”なのだと思う。


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