初めてアンティークコインを購入された経営者様との実話
四国にお住まいの70代の経営者様とのご縁は、ある日いただいた一本のお電話から始まりました。
「東京のお友達がアンティークコインを買ったと言うのだけれど、私にもどういうものか教えてほしい」
身近なご友人が楽しそうにアンティークコインの話をされているのを聞き、ご自身も手にしてみたいと思われたそうです。
何度かお電話でやりとりを重ねる中で、ご質問は次第に具体的になっていきました。
お話を進めるうちに「一度お会いして直接話を聞きたい」とおっしゃっていただき、ショールームへご来店くださいました。
お客様はご自身の豊かなご経験を背景に、質問の内容も非常に的確で、こちらが学ばせていただく場面も少なくありませんでした。
ちょうど終活を意識され始めた頃だったようで、資産整理についてのお考えも率直にお聞かせくださいました。
その後、一度ランチをご一緒させていただく機会がありました。
その席で伺ったお話は、今も私の心に深く残っています。
「私も若い頃はあまり裕福ではなかったの。
だからこそ、その頃の経験からお金のありがたみを学んで、今があるのよ」
具体的なご経験を伴ったその言葉には、重みと説得力がありました。
その瞬間、私は“お客様”という関係を超えて、一人の人生の先輩として心から尊敬の念を抱きました。
これからアンティークコインに触れてみたいと考えていらっしゃる方も、特別な知識や経験がなくても構わないのだと、この時あらためて教えていただいた気がします。
大切なのは、何に価値を感じ、どのように向き合いたいかという姿勢なのだと思います。
それから、その時々のご予算に応じて、1枚、また1枚とアンティークコインのコレクションが始まりました。
最初に選ばれたのは、長い歴史を持ちながらも資産としての安定感があり、初めての一枚として無理のないアンティークコインでした。
特に印象的だったのは、2枚目以降はお客様ご自身がしっかりと予習をされたうえでご来店くださったことです。
私の説明を聞かれたあと、
「ああ、やっぱり。そういうことね」
と静かにご納得されるお姿に、こちらの身が自然と引き締まりました。
お客様が本気で学ばれる姿勢に触れるたび、私自身もまた学ばされ、背筋を正される思いでした。
奥深い世界を共に語り合える時間は、私にとって何ものにも代え難いひとときです。
私はアンティークコインコーディネーターとして、アンティークコインを「商品」としてではなく、人生の背景や価値観に寄り添いながらご案内する存在でありたいと、改めて感じた時間でもありました。
「わかる方にはわかる」
——まさに、その言葉がぴったりくる世界なのかもしれません。
このようなご縁をひとつひとつ大切にしながら、アンティークコインという世界の奥行きを、これからも丁寧にお伝えしていけたらと思っております。
この度のご縁に心より感謝申し上げます。
