アンティークコインの魅力を橋渡しするという役割
“わからない”を“楽しい”に変える。そのお手伝いが、私の喜びです
初めはまったく興味のなかったアンティークコインの世界。
そんな私がこの世界に惹かれていったきっかけは、すでにその魅力を知っていた「お客様」の存在でした。
お客様がアンティークコインに寄せる思い入れや、未来への期待。
それを日々、間近で感じているうちに、いつしか私の中にあった不安が薄らいでいき、
「もしかしたら、私もこの世界を楽しめるかもしれない」
そんな希望が少しずつ芽生えてきました。
とはいえ、すぐに気持ちが固まったわけではありません。
気づけば、曖昧なままの状態で一年ほどが経っていました。
その頃、会社では引っ越しの予定があり、重い書類やカタログなどの整理に追われる日々が続いていました。
やがて両腕に強い痛みを感じるようになり、病院では「テニス肘」と診断。
夜も眠れないほどの痛みに、思わず涙がこぼれる日もありました。
医師からドクターストップがかかり、やむを得ず上司に相談。
しばらく休養をとることになりました。
ようやく仕事の流れがつかめてきた頃の出来事だっただけに、正直とても残念でした。
身体が思うように動かなければ、このまま辞めるのも仕方がない。
そう思い始めていた矢先、ある注射治療が驚くほどよく効き、それまでの痛みが嘘のように引いていったのです。
身体は無事に回復しました。
でも、気持ちは……とても悩みました。
わからないなりに一生懸命がんばってきたつもりでしたし、少しずつ結果も出ていたけれど、
手ごたえや自信といったものには、まだ程遠いと感じていました。
体調を崩すまで無理をしてしまった自分にも、きっと原因があったはず。
だったら、この経験を次に生かせばいい。
そう思って、「退職」という文字がずっと頭の片隅にありました。
そして1カ月後、会社に「体調が回復しました」と連絡すると、
思いがけず「ぜひ、すぐに戻ってきてほしい」と言っていただきました。
あのときの私は、「会社の役に立ちたいけれど、どうすればいいかわからない」
という焦りの中にいたのだと思います。
せめて引っ越し作業くらいは役に立ちたいと、一人で抱え込んでいたのかもしれません。
今度こそは、お客様に喜んでいただくことを目的に、
学ばせていただくところからやり直そうと決意して、職場に戻りました。
復職後は、イベントにも積極的に参加させていただきました。
お客様との会話の中からヒントをもらい、わからないことは素直に上司に質問して、
少しずつ専門的な内容をわかりやすく説明できるよう努めていきました。
一度離れて外から見直したことで、私はようやく気づくことができました。
私がこの世界で力を発揮できるのは、重い荷物を運ぶことではなく、
お客様のお役に立つことだということに。
お客様が理解を深め、「楽しい」と笑顔を見せてくださる姿。
わからなかったことが「わかる!」に変わった瞬間を一緒に喜べること。
それこそが、私にとって一番の喜びなのだと気づかせてくれた、思いがけない転機でした。
私の上司は、まさに“アンティークコイン博士”と呼べるほどの豊富な知識をお持ちの方です。
その言葉のひとつひとつから、コインへの深い愛情が伝わってきます。
でも、初めてのお客様にとっては、あまりにも専門的すぎて、伝わりにくいこともあります。
だからこそ、私はその「博士」と「お客様」の間に立ち、
専門性と親しみやすさの橋渡しをする存在でありたいと思いました。
このようなポジションを見つけることができたことが、今日の私につながっています。
私の体験が、これからアンティークコインの世界を知る誰かの背中を、そっと押せたら嬉しいです。
そして、皆さまがご自身にぴったりの「楽しいアンティークコイン生活」を見つけてくださること。
それが、コインコーディネーターとしての私の心からの願いです。
