放送大学で学ぶ:心と体のセルフケア講座【第95回】心理的安全基地をつくる:自分の心の避難所
ストレスや不安が強いとき、私たちは「安心できる場所」や「自分を守ってくれる人」を無意識に求めています。心理学では、こうした心の支えとなる存在を「心理的安全基地」と呼びます。子ども時代には親がその役割を果たしていたかもしれませんが、大人になった今、私たちは自らの力で心の避難所を作ることもできます。
今回は、自分自身の「心理的安全基地」を築くためのヒントをお届けします。
「心理的安全基地(secure base)」という言葉は、愛着理論の研究から生まれました。元々は乳幼児と養育者との関係を説明するための概念で、子どもが安心して探索活動に出かけられるのは、信頼できる存在がそばにいるという安心感があるからだとされています。
この考え方は、私たち大人の心にも当てはまります。人生には不安や迷い、失敗や喪失がつきものです。そんなとき、自分を責めたり、無理に元気を出そうとするのではなく、まず「安心して戻れる場所」があることが大切です。それが、心理的安全基地です。
心理的安全基地は、必ずしも他者である必要はありません。信頼できる友人や家族がいてくれることは大きな支えになりますが、それだけに頼ることが難しいときもあります。そんなときに役立つのが、「自分の中に安全基地をつくる」という視点です。
たとえば、心が乱れたときに立ち寄れるお気に入りのカフェや、静かに深呼吸できる場所。あるいは、自分が安心できる言葉を書き留めたノートや、包み込まれるような温かい毛布。そんな「心を落ち着けられる習慣」や「安心感を呼び起こすモノや環境」が、自分にとっての心理的安全基地になり得ます。
また、「どんな自分でも受け止める」という自己受容の姿勢も、心の避難所になります。失敗したとき、落ち込んだとき、うまくいかないときにも、「それでも私は大丈夫」と言ってあげられるもう一人の自分がいれば、安心して前に進むことができます。
心理的安全基地を持つことで、私たちは無理をせず、少しずつ自分のペースで日常に戻ることができます。逆に、基地がない状態では、ストレスの海に飲み込まれたような気持ちになり、行動する力を失いやすくなります。
だからこそ、「安心できる居場所」を意識的に作っておくことは、心の健康を保つうえでとても重要なのです。
まとめ
心理的安全基地は、私たちが安心して立ち戻れる心の避難所です。信頼できる人や、安心できる環境、そして自己受容の姿勢を通して、自分なりの安全基地を作っていきましょう。
日常への活かし方
疲れたときに立ち寄れる「安心できる場所」を決めておきましょう
自分を励ます言葉やフレーズをノートに書いておくのも効果的です
自分を責めるのではなく、「よくがんばってるね」と声をかけてあげましょう
