『100万回死んだねこ』が文庫になったよ
『100万回死んだねこ』と聞いて違和感を感じたあなた、司書または書店員の才能があります。
『100万回死んだねこ』は、福井県立図書館で実際にあった覚え違いのレファレンス事例(図書館で起きた、問い合わせの事例)です。ちなみに本当のタイトルは『100万回生きたねこ』です。アハ体験とも言える覚え違いですね。
そんな覚え違いを集めた『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』が文庫になりました。
スペースを取らず気軽に持ち運べてちょっとお安い文庫は手に取りやすいですよね。買いました。買ったその日に読み終わりました。自分で本のタイトルを当てられるか、チャレンジしながら楽しませていただきました。
ほんのちょっとだけ例を紹介。
「僕ちゃん」
→『坊っちゃん』
「男の子の名前で『なんとかのカバン』」
→『ハリーポッターとアズカバンの囚人』
「村上春樹のオオサキさんがどうかしたとか…」
→『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
あー惜しい!というものからもう全然違うじゃんというものまでギッシリ。残念ながらこれが現実なんです。人間の記憶というものはあまりに不完全なものなのです。老若男女関係なしに起こるのです。
この本は経験が物語る司書の方達の名推理が詰まっているのですが、エンタメとして楽しむだけでなく、レファレンスサービスのアピールでもあるのです。
私は大学で司書資格を取得しました。そこで検索の仕方(OPACやらなんやら)や、「司書はどんな難解な問い合わせが来ても答えを導き出せるようにならなければいけない」ということを学びました。もちろん資格を取る過程でこの本の元ネタである福井県立図書館の覚え違いタイトル集も教えてもらいました。
図書館に行ってわからないことがあったら。
→司書に聞く。
もちろん正解の一つです。
でも司書って猛烈に忙しいと思うんです。あとそんな謎解きみたいなクイズ毎日出されたらストレスで爆発してしまいそうです。私だったら耐えられないかもしれない。
だからこそ、自分で調べる力が必要なのではないのでしょうか……そのためにレファレンスサービスは存在するのです。
図書館は公共の知的財産です。もちろん司書の力に頼るのもいいですが長年の叡智が積もりに積もったレファレンスサービスを活用することで、より図書館ライフをエンジョイできるのではないか?なんてね。
まあ正直なところ自分で調べてもらった方が司書の負担は減るので、本書を読み、ただ「おもしれー!」と思うだけでなく、「なんでこんな覚え違いしちゃうんだろう」という視点も、持ってほしいな、と書店経験あり司書資格持ちは思いましたとさ。
(本の楽しみ方は自由です!レファレンスサービスを使え!司書の負担を減らすのだ!のような発言をしましたが、それを頭の片隅に置きつつ、この本で自問自答クイズや、本好きで集まって擬似司書クイズをやるのも、楽しみの一つだと思います!)
