仮想通貨トロンを5000円分買うつもりが、5000トロン(約18万円)買ってしまった話──ポイ活退屈大作戦──
2025年2月24日。日曜日。
特に予定もなく、外出する気も起きず、スマホをいじっていた私は、ポイ活サイト「アメフリ(旧i2iポイント)」を開いていた。
目に飛び込んできたのは、
「BitTrade新規口座開設で、12,000円分のポイントGET!」
暇な休日の脳に、こういう甘い誘い文句はよく刺さる。
条件を見ると「販売所で10万円分の仮想通貨を購入」。
高いなと思いつつも、銀行口座には中途半端に余った30万円があった。
とくに使い道もないし、まあいいかとBitTradeに30万円を入金。
条件クリアのため、ビットコインやシバイヌなどを販売所で合計10万円分購入。(2月21日にハッキングされて話題だったイーサリアムも1万円分購入)
これでポイント獲得の条件も済んだ。ここまでは順調だった。
問題は、そのあとの「暇つぶしの延長戦」で起きた。
「せっかく取引所を開いたんだし、板取引もちょっとやってみるか」
販売所より安く買えるらしいし、どうせ数千円だし──軽い気持ちだった。
選んだのはトロン(TRX)。
理由はない。たまたま目についたから。
板取引の画面には、「成行」と「指値」のタブがあり、
私は「成行」でサクッと買ってみるつもりだった。
ところが、いろいろ操作しているうちに成行と指値のタブを何度か切り替えてしまった。
すると、表示される入力欄の位置が微妙に変わる。
その変化に、私は完全に気づいていなかった。
私は日本円の金額を入力するつもりで、「5000」と打ち込んだ。
ちょっとだけ試すならこれくらい、という金額感覚だった。
──しかし、入力していたのは数量欄=5000トロン指定だった。
このときのトロンの価格は約36円。
つまり、5000 TRX = 約18万円。
確認画面では「5000 TRX」としっかり出ていたのだろうが、
「成行注文だからこういう表示なのかな」と勝手に解釈してしまった。
完全に「5000円分を買った」と思い込んだまま、購入ボタンを押してしまった。
異変に気づいたのは数日後。
BitTradeのマイページ表示はとにかく見づらい。
グラフの色分けは直感的でなく、損益もぱっと見でわからない。
評価額が動いていても、「それが多いのか少ないのか」が初心者には判断しにくい設計。
ようやく取引履歴を開き、真実を知る。
「購入:5000 TRX 単価:36円台」
……え?
18万円……?
私、5000円のつもりだったんですけど……?
さらに翌日、2025年2月25日。
仮想通貨市場が全体的に大きく下落。
トロンの終値は34.15円。
目を背けていたウォレットには、
気づけばかなりの含み損ができていた。
仮想通貨の世界には、華のある銘柄がたくさんある。
ビットコイン、イーサリアム、リップル──語れる人も多い。
でも、トロンは、話題にもならず、誰も語らない。
ただ、ひっそりと、ウォレットの中で私の過ちを記録し続けていた。
──そして4月、衝撃のトランプ関税による大暴落。
再び市場が大きく動いたとき、
トロンだけはなぜか踏ん張っていた。
他の通貨が沈む中、値を保ち、
短期足ならわずかに上昇するタイミングまであった。
私は、あの日買った5000トロンを見てこう思った。
「……お前、案外悪くないな」
そのまま取引所を開き、今度は入力欄を慎重に確認して──
……結局、買い足していた。
最初はポイ活。
次は誤操作。
今は、よくわからない執着からの愛着。
投資は自己責任。
でも、操作ミスで始まった縁のほうが、長く付き合ってしまうこともある。
たぶん私は、これからもトロンを持ち続けるだろう。
理由はただひとつ──最初の出会いが、あまりにも印象的すぎたからだ。
もはやこれは投資じゃない、5000枚分の後悔との共存だ。
