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徹底的に実務にまみれてきた1年間。ーースタートアップHRのリアルな年末総括

noteで発信してきたことと、実際の現実

こんにちは、Shippioの伊達です。
2025年も残すところあとわずかとなりました。今年から、Shippioという組織が目指す姿を言語化するために、2週間に1回というペースでnoteを書き続けてきました。

ありがたいことに、記事を読んでいただいた方から「自分のモヤモヤが言語化されて楽になりました」とか、「人事として目指したい状態が勉強になりました」といった過分なフィードバックをいただく機会も増えました。読んでいただいたことがきっかけで登壇の機会をいただいたりと、人事・組織という正解のない問いに向き合う中で、僕の発信が誰かのヒントになっているのであれば、これほど嬉しいことはありません。

ということで、年の瀬ということもあり、今回は少しだけ「舞台裏」の話をしようと思います。

noteでは整然とした論理を並べていたりしますが、一方、僕の日常は決してスマートなものではありませんでした。noteに書いている内容以上に、実際の現場はもっと泥臭い。

僕のPCの画面に映っているのは、綺麗にまとめられた戦略ではなく、参照先が複雑に絡み合って「#REF!」と表記されたセルと格闘する評価集計のスプレッドシート。
指先が覚えているのは、3年後のビジョンを語る綺麗な言葉ではなく、候補者一人ひとりのプロフィールを読み込みながら、一通一通「お願いだから読んで、興味を持って欲しい」と願いを込めてタイピングしたスカウトメールの感触です。

「戦略」という言葉の響きとは裏腹に、僕の2025年は非常に泥臭く、個別具体的な業務に埋め尽くされた1年でした。

「スマホ中毒の保護者」だと思われていたかも、、、

シリーズCでの資金調達を経て、僕たちは「100人から300人へ」という組織拡大のフェーズに突入しました。

「採用こそが、現在のShippioにとって経営の最優先事項の一つである」
これはShippioの経営チーム全員が一致して持っている認識です。
自分自身が一人のリクルーターとして、様々なダイレクトリクルーティングサービスやSNSで候補者を探し、スカウトを送り、カジュアル面談の席につく。

累計では恐らく数千人の方のレジュメを見た上で、厳選した方にスカウトを送り、対話を重ねる日々。

夜、自宅の仕事部屋でキーボードを叩く。子供のバスケの引率をしながら携帯でSNSを見る。空手道場の待ち時間にも、ひたすらプロフィールを追い続ける。

恐らく周囲の保護者からは「あの人、スマホ中毒じゃないか」と思われていたはずですが、その実、僕は必死に「これからのShippioを共に作る仲間」を探し続けていました。

その時に僕の脳内を占めていたのは、「中長期的な人的資本経営のフレームワーク」などではなく、「どうすればこの方に、Shippioの面白さを1ミリでも多く伝えられるか」という極めて局所的で、熱量だけが頼りの「戦術」です。

こうした泥臭い実務は、間違いなく事業を伸ばすための「must have」です。この一歩一歩の積み重ねがなければ、戦略はただの絵に描いた餅に終わります。

しかし、その実務の「密度」が上がれば上がるほど、僕の中である種の「不安」が増幅していっていました。

「思考の衰え」という不安。

その不安とは、「思考の刃が錆びついているのではないか」という恐怖です。
日々の業務に忙殺されていると、僕たちの脳は次第に「最適化」という名の罠に陥ります。

いかに効率よくスカウトを送るか、いかにミスなく評価を集計するか。これらは「1を1.1にする」作業です。 しかし、人事が経営そのものであるならば、本来向き合うべきは「0から1を生み出す問い」や「1を10にするための非連続なジャンプ」のはず。

「最近、自分は新しい問いを立てただろうか?」 「目の前の課題解決に必死で、3年後のShippioに本当に必要な構造を疑うことを忘れていないか?」
実務に追われ思考の「余白」が少なくなっていくと、思考は自然と短期的・近視眼的になっていきます。

複雑な問題を複雑なまま受け止めるよりも、安易な「正解らしきもの」に飛びつきたくなる。
この「短絡的な思考」に留まっている感覚は、組織の未来を描く役割を担う自分にとって、非常に恐ろしいものでした。

ただ一方で、この「後ろめたさ」を感じるほど現場にまみれた経験こそが、スタートアップ人事としての最大の武器であり、地に足がついた「強い戦略」の源泉になるのだとも思っています

スカウトメールの一通、スプレッドシートの一行。
その手触りを知っているからこそ、組織図の線一本が持つ重みや、制度変更が現場に与える混乱を、解像度高く想像できる。
数千人のレジュメを見てコツコツとスカウトを打った指先には、今のShippioのリアルな熱量が、たしかな実感として残っています。

なぜ「走りながら考える」には限界があるのか

スタートアップに限らず、変化の激しい環境においては「走りながら考えろ」と言われます。僕もそれを大切にしてきました。 しかし、1年を終えようとしている今思っていること。

それは、「大上段の戦略は、走りながらでは絶対に解像度が上がらない」ということです。
スカウトメールを打つ脳のモードと、3年後の組織文化を構想する脳のモードは、使うCPUが違います。
前者は「局所的な最適対応」を追求し、後者は「大局的で、深く潜る思考」を必要とします。

カレンダーが面談で埋まり、Slackの通知も頻繁に鳴る日常の中では、どれほど潜ろうとしてもすぐに水面に顔を出さざるを得ません。

結果として、戦略は「以前決めたことの延長線上」に留まり、アップデートが止まってしまう。

今の僕に必要なのは、速く走ることを追求しながらも、時には一度「完全に停止する」ことなのだと痛感しました。

日常を抱えながら、日常で思考しないことを思考する

今年の年末年始のテーマは、「あえて非連続を思考する」ということです。

2025年の1年間は、これからの社員となり得る多くの方と対話し、社内メンバーと「どう事業と組織を良くしていくか」を対話してきました。

この1年で得た「生々しい手触り感」は、僕にとっての代えがたい財産です。
この現実的な手触り感を抱えたまま、あえて思考を遠くに飛ばす。

  • 今の「Principle」は、300人になった時のShippioを本当にドライブできるのか?

  • 3年後の具体的な事業状態に向かうために、今、何を「捨てる」べきか?

  • management teamは今のままで本当にMissionを実現できるのか?

こうした、普段は時間の波に流されてしまう「深い問い」に対して、年末年始という一定落ち着いた時間の中で、向き合いたいと思います。

2025年、泥臭く手を動かし続けたことは、今のShippioにとって間違いなく必要でした。 送ったスカウトの先に、今一緒に邁進している仲間がいますし、夜鍋して作ったスプレッドシートの先に、メンバーへの正当な報いがある。

ただこれからは、100人の壁を越え、組織の再現性をどう高めるか。階層化が進む中で、どう推進力を落とさず思考を同期させるか。一人ひとりが強い当事者意識を持ち続けられる状態をどう作るか。 これらは、僕たちが避けては通れない、明確な課題です。

帰省先の地元で、こたつとみかんの誘惑に引っ張られながら(あるいは共存しながら)、これらをじっくりと整理していきたいと思います。

皆さま、2025年も本当にお疲れ様でした。
まずは一度、その「走り」を止めて、良いお年をお迎えください。

2026年も充実した年になるように頑張っていきましょう。

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