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【またフェイク動画に騙されてしまった,不味いぞこれ。260813】


また騙された。

今回は、格闘技の動画だった。

BreakingDownの井原良太郎と、RIZINの篠塚辰樹が戦っている。

そして井原が負ける。

僕はその動画をYouTube Shortsで見た。

だから普通に、

「井原ってRIZINで篠塚に負けてたか?」

と思っていた。

ところが調べてみると、

そんな試合は存在しない。

最初は、

「いやいや、見たぞ」

と思った。

記憶違いではない。

動画を見た。

リングの上で二人が戦っていた。

井原が負けていた。

だから、

「公式記録の方がおかしいのか?」

とさえ思った。

もう一度そのShortsを確認する。

コメント欄を見る。

そしてようやく分かった。

AIで作られた架空の試合だった。


僕の記憶は間違っていなかった

ここが今回、一番怖かった。

僕は、

「井原と篠塚が戦っている動画を見た」

と記憶していた。

これは正しい。

本当に動画は存在している。

でも、

その動画の中で起きている出来事だけが存在していなかった。

これまでなら、

「映像を見た」

という記憶は、

かなり強い証拠だった。

文章なら間違っているかもしれない。

噂ならデマかもしれない。

写真なら加工かもしれない。

でも動画なら、

少なくとも、

「何かは起きたのだろう」

と思ってしまう。

その前提が、

完全に崩れた。


実は前にも騙されている

今回が初めてではない。

以前、中国のダムが決壊したという動画にも騙された。

巨大な水が街を飲み込んでいく。

どう見ても、

大規模災害の映像だった。

僕は普通に、

「こんなことになっているのか」

と思った。

後になって、

AI生成のフェイク動画だと分かった。

その時もかなり驚いた。

しかし今回、

また引っかかった。

しかも今度は、

実在する格闘家。

実在する団体。

実在しそうなリング。

実在しそうな試合展開。

そこまで揃っていた。

正直、

一瞬で見破れと言われても無理だ。


素人のAI動画が、普通のVFXを超え始めた

最近映画を見ていても思う。

少し前までなら、

「すごいCGだな」

と思っていた映像が、

今見ると妙に安っぽく感じることがある。

もちろん、

最高峰のVFXは別だ。

実写。

美術。

照明。

アクション。

カメラワーク。

CG。

全部が一つの画として成立している作品は強い。

でも、

中途半端なVFXはかなり厳しくなると思う。

今や個人が、

巨大洪水。

都市崩壊。

戦争。

怪物。

格闘技。

存在しない人物。

存在しない事件。

そんな映像を、

数秒、数十秒なら、

相当なクオリティで作れてしまう。

しかも、

スマートフォンの小さな画面。

Shorts。

X。

圧縮された映像。

手ブレ。

煙。

雨。

激しい動き。

そういう条件が加わると、

多少の破綻などほとんど見えない。


Netflix級のVFXと見分けがつかない

少し大げさに聞こえるかもしれない。

でも、

「静止画にして拡大すれば見抜ける」

では意味がない。

僕たちは普通、

動画を一コマずつ止めて検証しない。

10秒見る。

20秒見る。

次へ行く。

その瞬間に、

脳は情報を保存する。

「井原は篠塚に負けた」

僕の場合、

これだけが残った。

数週間、数か月経てば、

動画がAIだったことなど完全に忘れる。

残るのは、

出来事だけだ。

ここが恐ろしい。


AIフレディーより罪深い

AIで、

フレディ・マーキュリーに日本の曲を歌わせる。

これは面白い。

本当は歌っていない。

でも、

みんなそれを分かった上で楽しんでいる。

つまり、

存在しなかった歌唱を楽しむエンターテインメント

である。

今回の格闘技AIも、

本来なら同じものだ。

「もし井原と篠塚が戦ったら」

という架空の試合を、

AIで映像化する。

これは普通に面白い。

むしろ、

新しい映像表現だと思う。

問題は、

それが架空だと分からない状態で流れてくること。

そこから性質が変わる。

創作ではなく、

偽情報になる。


フィクションとフェイクの違い

僕自身、

AIを使って小説を書いている。

僕が、

人物。

設定。

出来事。

未来。

構造。

テーマ。

そういうものを考える。

そしてAIが文章にする。

そう考えると、

「井原と篠塚が戦い、井原が負ける」

というストーリーを誰かが考え、

AIが動画にしたことと、

構造自体はあまり変わらない。

ここで、

少し自己疑念も出た。僕らがAIを使う。

**誰かが発想して、AIが格闘技動画を作る。

何が違うのだろう。**

たぶん、

違いは一つしかない。

受け手に、それを何だと思わせているか。


「これは小説です」


僕が小説を書く。

読者は、

「これは創作だ」

と理解して読む。

未来の人物を描いても、

実際に起きた事件だとは言わない。

それなら、

どれだけリアルでも創作だ。

AI動画も同じ。

最初に、

「AI生成です」

「架空の試合です」

「もし二人が戦ったら、というシミュレーションです」

と書いてあれば、

何の問題もない。

むしろ面白い。

でも、

そこを隠す。

本物の試合映像のように見せる。

ニュース映像のように見せる。

そこから、

創作と偽造の境界を越える。


映像はもう「証拠」ではない


これはかなり大きな変化だと思う。

昔は、

百聞は一見にしかず

だった。

でも今は、

一見したもの自体が作れる。

中国のダムが決壊する。

戦争が始まる。

政治家が発言する。

芸能人が事件を起こす。

格闘家が試合をする。

全部、

起きていなくても映像にできる。

ならばもう、

「映像を見たから本当」

という判断は捨てた方がいい。

これから映像は、

証拠ではなく、

情報の入口

くらいに格下げした方がいい。


見たら、確認する

ダムが決壊した動画を見る。

まず、

「こんな映像がある」

と認識する。

そして、

本当にダムが決壊したのか確認する。

格闘技の試合を見る。

公式戦績を見る。

政治家の発言を見る。

元の会見を見る。

戦争映像を見る。

複数の報道を見る。

面倒だ。

ものすごく面倒だ。

そして、

日常的に流れてくる動画を、

全部確認するなんて無理だ。

そこが一番不味い。


偽物を見破る時代ではなくなる

よく、

「AI動画を見破る方法」

みたいな話がある。

指がおかしい。

口の動きが変。

影が合わない。

文字が崩れる。

物理法則がおかしい。

でも、

それも時間の問題だと思う。

今日見破れる特徴は、

明日には消える。

生成AIは進化する。

動画生成AIも進化する。

だから、

人間がフェイクを見破る能力を鍛えれば解決する

という方向には限界がある。

むしろ必要なのは、

作る側が、

AI生成。

再現。

フィクション。

そう明示する文化だと思う。


一番怖いのは、人間の記憶だ

AI動画そのものより、

僕はこっちが怖い。

人は、

出典を忘れる。

どこで見たか忘れる。

誰が言ったか忘れる。

でも、

内容だけ残る。

今回なら、

「井原は篠塚に負けた」

だけが残った。

僕は、

その試合を見たと思っていた。

正確には、

その試合の映像を見た。

でも、

試合そのものは存在しない。

映像が、

僕の頭の中に、

存在しない出来事を記憶として作った。


偽の集合記憶を作れる時代

一人なら、

まだいい。

100万人が見る。

1000万人が見る。

その中の何割かが、

本物だと思う。

動画が削除される。

半年が経つ。

すると、

大量の人間の頭の中にだけ、

「起きなかった出来事」

が残る。

これはもう、

単なるフェイクニュースとは少し違う。

偽の集合記憶を作る技術

になり始めている。

政治。

戦争。

災害。

選挙。

外交。

ここへ使われた時、

かなり厄介なことになる。


でも、AI動画そのものを悪者にはしたくない

一方で、

僕はAI動画生成そのものを否定したいわけではない。

むしろ、

とんでもない表現革命だと思っている。

今までは、

巨大な予算がなければ作れなかった映像を、

一人の人間が作れる。

頭の中にある世界を、

映像にできる。

これは、

小説。

絵画。

映画。

写真。

その延長にある、

新しい表現だ。

だからこそ、

「これは創作です」

という一本の線だけは、

ものすごく重要になる。


不味いぞ、これ

僕は、

一度目は中国のダム決壊。

二度目は井原と篠塚の架空試合。

二回騙された。

たぶん、

これからも騙されると思う。

映像生成AIが、

僕より速く進化しているからだ。

それを認めるしかない。

だから、

自分の目を過信しない。

「見た」

と、

「起きた」

を分ける。

この二つは、

もう同じ意味ではない。


昔は、

百聞は一見にしかず。

だった。

これからは、

少し変えた方がいい。

一見は、一確認にしかず。

そして、

僕自身、

それを忘れないようにしたい。

また騙された。

笑い話で済むうちはいい。

でも、

政治や戦争や災害で同じことが起きた時、

笑ってはいられない。

不味いぞ、これ。



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神原月見|言語化審神者(げんごかさにわ) 再び空を飛ぶ為の訓練費用に使わせていただきますm(_ _)m